第10話:前線砦作成①
朝食と昨日の報告が終わり、兵士の皆は掃討と索敵に出ていった。
「えっと……ここか……」
指揮官さんに前線基地を作る旨を伝えると、職人さんに手伝ってもらった方が良いとアドバイスをもらったので訪れたのは工房や鍛冶場が立ち並んだ区画にある
「失礼しまーす」
中に入ると天井はガラス張りで太陽の光を多く採光できる様になっていて、色付きのステンドグラスが目を引く。
「凄いな……」
ランプの形や床のタイル等綺麗な加工が面白い。
「あのぉ……本日はどの様な御用で?」
魔族で獣人の女性がこちらを見ていた。
「あ、あぁすみません。実は石工職人さんと石膏……あの砦の外側に施されている加工の職人さんを探してまして……」
「そうなんですね、お家でも立てるのでしょうか? それとも補修ですか?」
「えっと……この街の砦と先にある砦の間に前線基地を作ろうと思いまして……」
目をぱちくりさせて何言ってるのか信じられないって顔をされた。
「は、はい? も、もう一度よろしいでしょうか?」
「敵の侵攻に対しての反撃用の前線基地を作りたいんです」
「えっ……えええええええ!?」
「こら! 大声出さないの!!」
隣に居たスカーフの色が違う獣人の女性に窘められる。
「す……すみません……でも、この方が……」
「話は聞いてました、暇でしたので。それで前線基地を作りたいとは言いますがどのくらいの規模をですか?」
「簡単な石積みの壁とそれに対応した防火対策、内部は木材が沢山あるのでそれを利用して簡単な家屋を数棟作るだけですね」
「それですとかなりの規模の職人が必要になりますね……警備や警護はどの様な形になりますか?」
「警備は兵士が30人で騎馬が10騎、護衛は俺一人です」
「「は?」」
唖然とした顔で驚かれる、まぁそうなるよな……。
「失礼ですが……大丈夫なのでしょうか? あまり強そうには見えませんので……」
「あーあはは……よく言われます。でも大丈夫ですよ、って言っても微妙ですよね……」
「それだったらギルマスに腕試しを頼めばいいんですよ!」
最初に受付してくれた獣人のお姉さんが思いついたように声を上げる。
「ちょ! こら貴女! ギルマスは忙しいんですよ!?」
もう一人の獣人のお姉さんが目を白黒させながら窘める。
「じゃあ俺が彼の実力を見ようじゃないか!」
なんか金髪に眼帯をしたチャラそうなが出て来た、なんかチラチラお姉さんたち見てるんだけど……。
「「ズークさん!!」」
なんか不安そうな顔で二人共こちらを見ている。
「カワイ子ちゃん二人を困らせる様な奴はおれが成敗するぞ!」
「お、お客様! あの方は戦闘ギルドでも指折りの実力者なんです!」
「その実力は近衛騎士に匹敵する位なのです!!」
「はぁ……近衛騎士クラスねぇ……何で騎士にならなかったの?」
問いかけるとタブーだったのか顔を真っ赤にして肩を震わせ始めた。
「この俺がバカだと言いたいのか貴様ぁ!!」
「えぇ……」
「しねぇぇぇぇ!!」
抜き身の片刃剣を構え一気に距離を詰めて来る、身体強化が使えるらしく確かに一般の兵士よりは強そうだ。
「だけど、クソ遅いんだよなぁ……」
「ぷげらっ!? ————ぐえっ!?」
デコピンの要領で指を弾くと吹き飛び、三回転くらいして潰れた。
「やべっ……生きてるかな?『——ヒール』」
ヒールをかけると腫れたおでこが段々としぼんでいく。
「ふぅ……良かった、死んでないや」
呼吸しているのを確認して振りかえると、二人の受付は涙目になっていた。
「んなっ……にゃんにゃんですか!!」
「おバカだけど実力だけはある、あのズークさんが……」
なんか凄く可哀想な事が聞こえたんだけど……。
「おい、お前達何をして……ホントに何をしてるんだ?」
魔人族の立派な角が生えた男性が奥の部屋から出て来た、恐らくあの人がギルマスなのかな?。
「「ギルマス!!」」
「あー大体わかった……君付いて来てくれ、どっちか何があったか話してくれ。もう片方はあの馬鹿の片づけを」
「わかりました! 私がお話します!!」
「あ、ずるい!! 私あの人の片付けるの嫌なのよ!!」
凄い言われようだ……そんなに嫌われてるのか……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
奥の部屋に通された俺はギルマス達に砦の奪還が王たち主導の計画なのと、
「わかった……そういう事なら職人は手配しよう」
「ギルマス!?」
「それに繋ぎの連絡役としてコイツをつける」
「ギルマスゥゥゥ!?」
先程から獣人の女の子が滅茶苦茶驚いた顔をしてるんだけど……良いのかな?
「良いんですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。それに噂に聞いた聖騎士様ってのもあるからな」
「噂って……」
「おう、昨日な王様達から伝令が届いてな。もし砦の補修や改築なんかの提案があれば手助けしてやって欲しいと。まさか新しく前線基地作るとは思わなかったけどな!」
そう言ってがははと笑うギルドマスター、どことなく楽しそうだ。
「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺の名前はグランツ、この変な顔をしてる兎人族はロップルって言う、よろしくな」
「あはは~もう終わりだぁ~死んだよぉ~(ブツブツ」
そう言って隣のロップルさんを親指で差した後、右手を差し出してきた。
「はい、よろしくお願いします」
互いにニッコリと笑いがっちり握手をした。
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