第75話:茨木童子の被害者たちとバレた秘密

 ◇伊吹童子side◇

無き別れた自身の身体と壊された祭壇を見ながら我は考える。


(どうして! どうしてこうなった!?)


私の計画は間違っていないはずだった、憎々しい陰陽師の娘を使い酒吞の再臨を望んだ、それは何の間違いでも無い筈だ。


(ま、まだ龍脈を使えば……奴の身体に仕込んだ術は発動可能だ……)


鬼と呼ばれる存在の我々だが、酒吞と我は陰陽術を学んでいた事もあり鬼道は扱える。


(それに奴等は油断している……今なら……)


龍脈を探す、探す探す探す探す探す探す探す探す……。


(見つからない……だと……)


龍脈の気配が無く術の発動が出来ない、それどころか体の再生もしない。


(そうか……身体の傷が回復しないのも……)


あの男が原因だろう……あの剣この時代の物では無い……。


(酒吞の顔を見れないのは心残りだが……鬼の世の為……仕方ない……)


最後の力を振り絞り、鬼道を呼び起こす。


(流石に、今の我ではここが限界か……後は、頼んだ…………酒吞童子……)


再び都を鬼の世に……。



◇◆◇◆◇◆◇◆

ダンジョンが崩れ、伊吹山の山頂に放り出される。


『倒しました! 伊吹山の龍脈も安定しています!』


アマテラスさんが耳元で言う。とりあえず伊吹山と茨木童子の件はここで終了か。


「ん、優希これ見て」


ユフィが祭壇のあった場所を指差す、そこにはいくつかの人骨があった。


「これって……人間だよね?」


「ん、形的に人骨」


「マジかぁ……アマテラスさーん」


アマテラスさんを呼ぶとふわふわと近づいて来る。


『どうしました様優さん?』


「えっと、この骨の人って死んでからどのくらい?」


『そうですねぇ……一人が3日残りが昨日と一昨日ですね』


蘇生……出来るかなぁ……。


『優希さんの今の力なら蘇生は可能ですよ。推定ですが5~7日程度ならば可能です。ちなみに今は魂もダンジョンに囚われていたのですぐに戻ります』


「そうか……って、何で考えてる事わかった?」


「優希、顔に出過ぎ、私はすぐにわかる」


『今のは私でもわかりました!』


二人に言われ気恥ずかしくなる、顔に出やすいのは知ってるけど、俺そこまで顔に出るのかぁ……。


「ん、でもそんなところが好き。皆も素直な所は好きって言ってる」


「とは言っても……なんか恥ずかしいな」


「ん、そこが良い」


軽く微笑むユフィ、そう言ってくれるのは嬉しいけど凄い気恥ずかしくなってきた。


「と、とりあえず『鑑定』で判別しよう」


誤魔化す様に『鑑定』して人ごとに並べる、そこから『復元』で肉体を再生する。


「ん、優希そこ骨がちょっと違う。大人だからもう少し大きい」


無い部分をユフィの指示で補いながら全員分再生をした。


「——ふぅ……。なんとか全員分の再生が終わった……」


「お疲れ優希、はいこれお茶」


いつの間にか背後に来ていた耀がお茶を出してくれる。


「それにしても、いつ見ても凄いわね……」


「自分でもそう思うよ、でも今回は凄く疲れた……」


流石に神経をすり減らしてたからその場に座り込む。


「では今の間に私達は服を着せちゃいますね」


「おにーさん、見てても良いけどムラムラしないでね♪」


「まぁそうしたら私達が相手にしてあげるわよ」


「ア、アミリア!? さすがに山の頂上は恥ずかしいのでは!?」


空間収納から服とかを取りだしながら言う春華・冬華・アミリア・ミュリ、流石にミュリの言う通りここでするなんてちょっと……。


「あー大丈夫。流石に内臓から見すぎてちょっとそんな気分じゃない……」


今回は骨の足りない分から肉と臓器を大まかに再生して、復元で細かい個人の特性を順々に再生してたのでちょっと違う方で刺激が強すぎた。


「ですが、優希さんは以前私わたくし達を丸々作っていたじゃないですか?」


心愛がひょいっと覗き込みながらしれっと言う。


「うーんとね、以前三人を作った時は元々の肉体情報が体の一部にあったからね。比較的にすぐ作れたんだ」


「つまり、私達の裸を見た優希さんは悶々としていたと?」


「…………ノーコメントで」


確かにあの時皆との身体見てたけど……必死に耀達の身体を思い出してたから許して欲しい。


「まぁ、その件は後で問い詰めましょう」


うん、お説教の予感がする。


「ん、先に彼女たちを蘇生しないと」


「そうですわね、戻ったら警察と連携して被害者さん達をお家に返してあげませんと」


そう言って、スマホでどこかへ電話をかけ出した。


「そうだね『運命の輪の中、悔い残した者よ、その魂を神の奇跡をもって呼び戻そう!————リザレクション』」


光が集まり再生された身体に吸い込まれる、そして命の息吹を吹き返した女性たちが目を覚ます。


「うぅ……私……」


「ここは……どこ?」


「ひぃぃぃ!? 助けて!?」


「うぅ……やめて……やめてぇ……」


死ぬ直前がフラッシュバックしてたり居場所がわからなくなっている。


わたくし達が状況説明してきますね。ユウキ様は結菜さんを頼みます」


いつの間にか結菜の隣にいたエアリスがやってきてた。


「ありがとう。エアリス、皆」


今も寝かされている結菜の元へ行くのだった。



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作者です。


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