第76話:土御門家に帰還
殺された人達の蘇生が終わり落ち着いた所で、土御門家に帰って来た。
「皆さんはここで待ってて下さいね~」
耀が明るく皆に説明をしている、その間に結菜を抱えた心愛と共に家のベルを鳴らす。
「「結菜!!」」
結弦さんと菜緒さんが息を切らして飛び出て来た。
「結弦さん菜緒さん、今戻りました。結菜はまだ寝てますが無事ですよ」
「よ、よかったぁ……」
「うぅ……結菜……」
腰が抜けてしまう結弦さんと泣き崩れる菜緒さん。
「それと、ダンジョンで茨木童子に捕まってた人達を救出したんですが、少し休む場所を借りれませんか?」
「わかった、すまないが腰が抜けてしまったので、案内は彼女に任せていいか?」
結弦さんの視線が向く、そこには姫崎さんが深く礼をして立っていた。
「姫崎さん、戻りましたわ」
「心愛お嬢様、無事のご帰還、大変嬉しく思います」
「でも、姫崎さんがなぜここに?」
「心愛お嬢様より連絡がありまして。戻り先が土御門家になる事と、結菜お嬢様のご両親が上凪様達の事が心配で、何も手につかないかもしれないとのご推察でしたので、お世話をしに来たのです」
「そうだったんですね、結弦さん持ち上げますよ」
姫崎さんと話ながら結弦さんを起す、先に結菜の部屋に5人で向かう。
「お布団は敷いてありますので、結菜お嬢様はそちらへ。
「わかりました、頼みます。心愛はどうする?
「
結菜の頭を撫でると、立ち上がる。
「わかった、結弦さん・菜緒さん。少し席を外しても大丈夫ですか?」
「あぁ、行ってくると良い」
「ありがとうございます、それじゃあ行こうか」
部屋を出て耀達の元へ戻る、そのまま一度リーベルンシュタインへ皆で転移した。
◇◆◇◆
「ふぅ……疲れたぁ……」
リーベルンシュタインに備え付けられた、来賓男性用の浴室で俺はとろけていた。
「気が抜けたから……少し眠いな……流石に、人一人を元に戻すのは精神力がいるよ……」
湯船に浸かってリラックスしてるのか、思考が漏れ出す……。
「ふぁぁぁあ……出ないと……流石にお風呂で寝てあの世へ行ったらおこられ……る……」
「そうね……流石にそれは、怒るわよ?」
「あれ? 耀?」
夢かな? まぁいいや……。
「とりあえず寝ても良いけど、少ししたら魔法で運ぶわよ」
「あぁ……頼む…………」
俺は眠りに落ちた。
◇◆◇◆
「はっ! 俺、風呂で寝て……あれ?」
「おはよう優希、服は勝手に着せたわよ」
起き上がると、Tシャツに下着だけの簡易的な格好だ。
「流石にびっくりしたわよ、運んでも、ドライヤーで髪乾かしてても、ぐっすり眠って起きないんだもん」
「そうだったのか……ありがとう」
「お礼なら、皆に言いなさいよ? さすがに私一人じゃ無理だから皆に手伝ってもらったのよ、優希重いんだから」
「重い……」
俺そんなに太ってたかな?
「違うわよ、優希はその身体だと筋肉質だし身長も伸びてるじゃないの。それに意識の無い人間は脱力してるから重いのよ」
「そっか、そういう事か……よかったぁ……」
「そもそも、優希は昔からそこまで肉付いて無かったじゃないの。筋肉もだけど……」
「あはは……確かに、こっちに来てから鍛えたもんなぁ……」
「むぅ……その時の優希見たかったなぁ……」
「あれ? エアリスから話聞いたんんじゃ?」
「それはそうだけど~ 見たいものは見たいのよ~」
むくれる耀、流石に無理な話だよなぁ……。
「そういえば、俺どのくらい寝てた?」
むくれる耀の頬を揉みほぐしながら聞く。
「んー1時間くらい?」
時計を取りだして見せて来る、そんなに寝てたのか……。
「じゃあ一旦戻らないとな、救出した人達の事も警察に伝え無いとなぁ……今日中に終わらないし」
「そうね、優希は先に戻ってて、私は皆と戻るから」
「わかった。はぁ、また警察に御厄介なるのかぁ……」
「諦めなさい、今日中に片付けないと優羽に呆れられるわよ」
明日は水族館の約束があるしな、さっさと済ませてしまおう……。
「そうだなぁ……ちょっくらお父さん頑張ってくるわ」
「はいはい、お母さんはご飯作って待ってるわよ」
「おっ、それは嬉しい報告だ。やる気が出て来た」
やる気が出て来たので服を着替えて支度を済ませる。
「よし、それじゃあ行ってくる」
「はい、頑張ってらっしゃい」
行ってらっしゃいのキスを交わして土御門家に戻るのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇結菜side◇
「ここは……どこ……?」
「ここは君の精神の中だよ」
声がした方を振り向くと目の前には私そっくりの少女が居た。
「誰ですか?」
「私は、酒吞童子と呼ばれる存在の魂だよ」
「酒呑童子ってあの……ですか?」
「あぁ、その酒呑童子だね。大昔に討伐されたんだけど、どうしてかここに居るんだよね……」
目の前の私が困ったかのように肩を竦めた。
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作者です。
もうちょい結菜パートは続きます
【第12回ネット小説大賞】二次選考通過してました!!
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