第53話:凄く面倒な約束させられたんだけど…
最初の戦いを終え犠牲者の蘇生を終えた俺達は1日の行軍を終え遂に最前線に到達した。
小高い丘に作られた天幕の前に人が立っている。
「あっ、あれ…シド様?」
横にいるエアリスに声を掛ける。
「そうですね、あの立ち姿はお父様ですね」
偵察役の兵士が馬に乗って戻って来た。
「勇者様!姫様!シルヴェーラ様がお呼びです!」
えっと…とりあえず他の皆を呼ぼうかな…
通信器の魔道具で皆に声を掛ける、すると程なくして皆が集まったのでシド様の元へ向かう。
「シルヴェーラ様!姫様!勇者様及びそのお仲間をお呼びしました!」
「ほう…久しぶりだなユウキ」
「お久しぶりです、シド様」
「お久しぶりですお父様」
「エアリスも良く来たな」
「とりあえず入りたまえ、それと副官は誰かな?」
「ホークアイツ侯爵です」
「そうか。おい、ホークアイツを案内してやれ、軍の置き場が無いのは困りものだ」
「はっ!」
シド様が補佐の1人に声を掛け補佐の人はホークアイツさんの所へ走っていった。
「さて中に入るがよい」
そう言って先に天幕の中に入っていく
「まずはユウキ、再度こちらの世界に来てくれてありがとう」
「いえ、実は色々ありましてね」
「そうか、それは勝った後の宴席で聞かせて貰うとしよう、それでそちらの娘達は?」
「えっと…嫁です」
「は?ユウキお主いつから…女好きに…」
「いやいや!元々女の人は好きですよ!?」
「なんじゃ…てっきりエアリスに手を出さないから男色なったのかと…」
手を出すって…アンタな…
「でも俺は、元々帰る予定の存在でしたからね」
「それでも、エアリスが好いていたの知っておったじゃろう?」
「………知らなかったです」
「は?」
「えっと…お父様、本当の事です…」
そこで耀が手を上げる。
「えっと、君は?」
「優希の幼馴染で優希の妻の1人で、
「わかった、だがその幼馴染が?どうしたんだい?」
「えぇ…実は優希、エアリスさんの事好いていたんですよ」
「ちょ!?え?話したっけ?」
「最初のプロポーズの後に話してくれたじゃん、異世界で好きな子が出来たって…」
「……あぁ!!!」
思い返すとそんなこと言ってたわ…プロポーズの事しか頭になかったし!
「しかも優希は、私が数年間アタックしてるのに気付かないですし…」
「私達はダイレクトに伝えたんだけどね」
「それが功を奏して私達はすぐお嫁さんにしてもらえたんですけどね」
「私ハ、恥ずかしい所見られて、責任取ってもらいましタ」
「私は襲った」
ちょ!?何言ってるの!?てかピースしないで!
「わっ、私はあの時救ってもらった時からです!」
顔を真っ赤にしていきなり爆弾発言をした。
ユキさん!?ちょとまって?林〇先生も知らない初耳学なんですけど!?
「え?なに…みんな知ってたの?」
皆がジト目になっている。
「まぁ優希だし…」
「優希おにーちゃんだし」
「優希おにーさんですし」
「まぁ上凪君だし」
「ん、いつものユウキ」
「旦那様ですシ」
「ユウキ様ですし」
「ユウキよ…あれだけユキはお主にアピールしてたんだぞ…」
「マジですか…」
「うう…」
「ゴメン、ユキ。この件が終わったら、ちゃんと話そうか」
「はい…」
半泣きのユキの頭を撫でる。
「わ…私も一目惚れだったんだぞ!」
「「「「「「いやそれはミュリ(さん)が悪い」」」」」」
「酷い!」
「はぁ…ユウキ…お主いつから女たら…昔からだった忘れてくれ」
「まぁ実際にミュリのせいで私の恋が絶たれてたという事は知ったのでどう落とし前着けようか悩んでますが…」
「え?」
「それなら、ミュリは最低でも騎士団長の役目をクビにするくらいしかないな」
「国王様も!?」
うん…まぁ、仕方ない。だって変装して男の聖騎士として付いて来てたんだもん、しかもうまくごまかされてたし。
「ところでユウキ、お主に聞きたい。ここに居るという事は、この世界とお主の世界、行き来は自由か?」
居住まいを正したシド様が転移について聞いてきた。
「はい、魔力はかかりますが、転移の力を手に入れたので自由ではありますね。」
「そうか…なぁユウキよ」
「大丈夫ですよ、必ず勝ちますから!」
「それはそうだが…お主の軍はつい先日戦ったばかりだろうに…」
「そうですね…まぁ損害は微々たるものでしたけど」
「死者は?2000位いるのではないのか?」
そう言われエアリスと顔を見合わせる。
「「離脱者は50人で死者は0ですけど?」」
「ワシ疲れてるんか?聞き間違いじゃなかろうか?」
「いやいや、ゼロですわ」
「じゃあ、あの報告書は本当だったのか…」
「報告書?」
「あぁ、偵察兵が言うには、モンスターの集団が宙を舞い、巨大な爆発が敵を飲み込み、大型モンスターの頭が水瓜の様に破裂して、身の丈の倍はある大斧を振り回していたと言うのは本当なのか?」
「「「「「「はい、本当です」」」」」」
「ワシ、もう疲れた…」
---------------------------------
それから軍の編成やエアリスの蘇生魔法について話すとシド様は。
「なんなんそれ…ずるい…」
と、いじけ始めたのでエアリスに尻を叩かれていた。
そして俺とエアリスは重傷者の回復に回っていた。
いくつ目かのテントに入ると目の前に会いたくない人達が居た。
「げっ……」
そこには【獣王】のガリウスが居た。
「お?ユウキかお前?」
「イエーユウキナンテヒトシリマセンヨー」
「嘘つくな!その闘気ユウキだろ!」
目を逸らすが一瞬でバレた、つか闘気って何だ闘気って…そんなの出て無いぞ…多分。
「おっ、ユウキかぁ~少し大きくなったのぉ~」
片足を引きずりながら【真龍】のティアニールがそこにいた。
「いやーお久しぶりですティアさん…」
「ほぅ…お主またつよくなったのぅ…」
「いえ…まだまだですよー」
「そうかぁ?ワシの目にはお主の魔力がとんでもない量に見えるがのぅ…」
魔眼の瞳孔を開きながらニタニタと微笑むティアさん…この二人戦闘狂だから会いたくないんだよ…
「とりあえず、獣王様、真龍様傷を治しますね」
エアリスが、ガリウスを、俺がティアさんを治す。
「クフフフ…今のお主なら戦っても楽しそうだのぅ…」
「ほう…真龍にそう言わせると…よし、俺との対決もあったから今度戦おう!」
「ちなみにぃ…逃げたらぁ…人の国を…滅ぼすぞぉ…」
うん…この人はやる…なんせこの世界の生物でトップクラスに強いんだもん…
「わかりました…模擬戦なら良いですよ…」
「良き良きぃ…」
そして笑いながらベッドで眠り始めた。
ガリウスも「俺も寝るわ」と言って眠りに着いた。
テントから出て溜息が出る。
「頑張って下さい…ユウキ様」
「うん…死なない様に頑張るわ…」
あぁ…空が青いなぁ…
---------------------------------
帰って来てから疲れて寝落ちしたらこんな時間に…
その内ガリウスとティアニールのイメージ出しますね。
ちなみにティアニールの名前つけたの主人公です。
それまでは真龍としか呼ばれてなかったので。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます