第41話:騒動の終わりと邂逅
リリアーナとの戦いに当てられた人達を回復したり、運んでたりしてたら夜も更けていたので、今はノクタールさんの部屋で二人でお酒を飲んでいる。
「ユウキ殿、ありがとう」
「いえいえ、当然です。それと改めましてノクタールさん、リリアーナを貰います」
頭を下げるとノクタールさんが不思議な顔をする。
「ユウキ殿、それは一体?」
「あぁ、これは俺の世界の作法というかなんというか……そういったので結婚の挨拶みたいなもんです」
「そうか、そんな風習があるんだね、妻にも報告したかったよ」
「そういえば奥さんについて聞いて無かったのですが、今はもう?」
「あぁ、とは言っても転生というか……眷属としての生まれ変わりをしているので後100年位は仮死状態なんだけどね」
あははと笑うノクタールさん、この世界そんなのあるの?
「吸血鬼の呪法でね、吸血鬼自身がその血を永続的に得る為。眷属となる時に一度死んで元の身体で生まれ変わるんだ」
「じゃあ俺もその内そうなるんですかね……」
「その可能性もあるけど、リリアーナ自身が拒否すればそうはならないよ、その場合はリリアーナ自身もユウキ殿と命を終わらせると思うよ」
「それは後追いとかですか?」
「うーん……リリアーナ自身は多分後追いをするかもしれないけど、普通の吸血鬼はその身の血と魔力が尽きるまで様々な活動や生活を行うんだ、おおよそそれでも2~30年は生きるんだけどね」
「ノクタールさんはそれで良いんですか?」
そう聞くとノクタールさんはワイングラスを傾け一口飲むと、大きな一息を吐く。
「無論寂しいけど、私としてはリリアーナの意思を尊重するし。止めたら私じゃ殺されるのがオチだよ」
はははと笑うノクタールさん、流石にそれは無いと思うんだけど……。
「あぁ、殺されるのは妻にだよ。元は
「それ、勝手に結婚して、俺怒られません?」
「大丈夫じゃないかな? リリアーナが選んだ人だし、何より戦って強い人が好きだからね」
「そうなんですか……リリアーナが少し好戦的なのって」
「そうだね、それと今のユウキ殿を見たら墓から蘇って来るんじゃないかなぁ~」
「マジですか……」
「今度行ってみるかい?」
「遠慮します……」
そう言うと大笑いするノクタールさん、お酒飲むと変わるなぁ……。
「でも良かったよ、ユウキ殿がこうしてリリアーナを受け入れてくれて」
「そりゃ受け入れなければリリアーナが死ぬって言われたら受け入れますよ……」
「ほう、それじゃあリリアーナを盾にすればユウキ殿を上手く扱えると……」
「リリアーナと奥さん起こしてけしかけますよ?」
そう言うと笑っていたノクタールさんの笑顔が固まる。
「すまんかった、それはやめくれ……」
「なら変な事は言わないでくださいよ……」
そうして朝になるまで呑むのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇リリアーナ・アミリアside◇
リリアーナとベッドに潜り込んだアミリアは優希の話で盛り上がっていた。
「それでアミリア様、カミナギ様にはもう想いは伝えたんですか?」
「えっと、それが……まだです……」
「てっきり私より先に伝えているかと思ったんですが……」
白魚のような細い指がアミリア様の頬を撫でる。
「私はまだやりたい事の途中で、それが終わってからユウキにちゃんと伝えようと思ったんです」
「そうなんですね、差し支えなければ教えていただけないでしょうか?」
「えっと……」
アミリアがぽつぽつと今まであった事を話し、その為に自身のやりたい事を語るとリリアーナが大粒の涙を目尻に溜めていた。
「ぐすっ……アミリア様、そんな今まで大変な事、それとその想い、私感動しました!」
伸びてきた手に抱き留められアミリアはリリアーナの胸に顔を埋める。
「わふっ……リリアーナ様少し苦しいですっ……」
「すみません、これからは私も共に戦います。どうかアミリア様のその理想を叶える為に私の力も役立てて下さい」
少し緩められたがその細さに見合わない力強い腕に抱かれたアミリアは気恥ずかしくなる。
「そんな、私のやりたい事は独善で場合によっては不幸にもなる人が居るんです……そんな事にリリアーナ様を巻き込めません!」
「大丈夫です! 私達魔王の奥さんですよ? だったら独善的でも良いじゃ無いですか、それで救われる人が居るんです。なのでやってやりましょう!」
「リリアーナ様……」
「そうだ、私の事はリリアーナと呼んで下さい! 私もアミリアと呼びますので」
「えっと……リリアーナさん?」
「『さん』は要らないですよ~」
抱き付かれわたわたするアミリアと楽しそうにするリリアーナの二人だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「という訳で二人共、優希の為になりたいなら訓練を頑張る事!」
「今日からはいつもの1.5倍くらいかな?」
「2倍は行けますよ、私も治療しますし
「それじゃあ二人共、がんばろ~!」
「「えっ? えぇぇぇぇぇぇ!?」」
二人の前に立った耀、春華、冬華、エアリスがにっこりと微笑んだ。
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