第42話:翌朝の二人と、市街の巡回

ノクタールさんとの飲みを終え仮眠を取って起きてくると、げっそりとしたアミリアとリリアーナが朝食の席に居た。


「二人共大丈夫? 『——ヒール』」


「あ゛ぁ~ありがとうユウキ……」


「ありがとうございますカミナギ様……」


二人に回復魔法をかけると顔色が良くなってくる。


「一体どうしたの?」


「ヒカリさん達にしごかれた……」


「あの様な強い方が居るなんて驚きました……」


「あーあはは……俺といい勝負出来る位だからね……」


「ヒカリさんの魔法はとんでもないし……同時進行でハルカさんに教えて貰ってる剣術はとんでもないし……」


「全力の私が30秒持たずにやられました……」


「へぇ……春華が剣術教えてるんだ……」


「えぇ、なんでもミュリさんという方から教えてもらった剣術なんだけど……あんなに凄い動き私には出来る気がしないわ……」


「しかも刀というのですか? カミナギ様も使っているあの武器。構えてからの動作が見えませんでした……気付いたら頸も腕も落ちていましたので……」


あの再生が追い付かない程なのか……というかどんだけ本気でやってるんだ……。


「はいはーいお待たせ~、あぁご主人様おはよう」


話をしているとシアが二人の朝食をワゴンに載せて持ってきた。


「おはようシア、昨日は大丈夫だった?」


「ボクは全然大丈夫だよ、アミリア様も平気そうだし城内の手伝いをしてたんだ」


「そうか、ありがとう」


「ご主人様の朝食は用意するかい?」


配膳をしながらシアがこちらへ聞いてくる。


「あぁ、でも食堂で食べようと思ったんだけど……」


「あー食堂はやめた方が良いよ。今の時間凄く混んでるから」


「そうなのか、じゃあ任せようかな……」


「かしこまりました、では少々お待ち下さいご主人様」


そう言って頭を下げると足取り軽く外へ出て行った。


「二人共今日の予定は?」


「私は公務に行くわ、3日程南に行った都市で形式的な催事をしてくるわ」


「そうか、護衛は……シアが居るし大丈夫かな?」


「そうね、リリアーナさんは?」


「私も少しづづお父様のお仕事に顔を出すことになっておりますの、昨日いつもより多めに血をいただけたので」


「そうか、それなら俺は兵舎の方に顔を出すかなぁ……」


「兵舎? どうして?」


「いつもの訓練ですか?」


「いやーそれが、昨日のリリアーナとの戦いで当てられた人を休みにしてたら城下の見回りの人数が足りないって事になってね、もし時間があれば行ってあげて欲しいとノクタールさんに言われたんだ」


あのでろでろに酔いつつも、部下に求められるとちゃんと仕事をしていたノクタールさんの姿を思い出す。


「そうなのですか……私が行くと、余計に大変そうなので後で隊舎へお顔を見に行く程度にしますわ……」


「それが良いわね、流石にリリアーナさん見て気絶する人は居ないと思うけど……」


「居たら軟弱者と叩き起こしてあげて下さい、彼等ならそれ位大丈夫でしょうけど……」


「それは……私が怖がられませんか?」


「今更でしょ?」


「酷いですアミリアさん!」


「ごめんごめん!」


食事中ながらはしゃいでる二人を横目に見つつ朝食が届くのを待っていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「それではカミナギ様! よろしくお願いします!」


「了解、それじゃあ午前に西と南の半分、午後は東と南の半分だね」


「はい! もしサボっている兵がいましたら連れてきて下さい! 城壁マラソンをさせますので!」


「そこまではしなくて良いんだけど……」


「いえ! 腑抜ける輩は居ませんので!」


「あー無理はしない様にな、体調とか悪くなったなら詰所に戻ると良いよ」


「「「「「はい!!」」」」」


「それでは各自、装備を確認後解散!」


それから俺は付いてきたセレーネと共に見回りに回る事になった。


今日のセレーネはタンクトップにホットパンツ、腰の辺りからはいつも隠れているち尻尾がちょこんと出ている。それでいて腰には女衛兵が使う細剣レイピアを装備して右手にガントレットを装備して、額にフロントレットという装身具を装着している。


どうやら額ににある宝石に合わせて頭を飾る為の物で宝石獣カーバンクルが付ける物らしい。とリリアーナに説明された、しかしつける時になんかセレーネが恥ずかしがってたけど……何でだろうな?、今度セレーネの里にノクタールさんの名代で行く事になってるからその時に聞いてみよう。


「うぅ……ユウキさんこの格好なれません……」


「でも似合ってるよ?」


「っつ……」


耳まで赤くして俯くセレーネを傍らに見て回る、衛兵は基本見回りをする際は普通の服に兵士用の剣と防具を装備するだけなので、ぱっと見市民に溶け込んでるようにしか見えない。


「いやーこうして見ると、この国は治安がいいね」


「そうなんですか?」


「うん、ここは大通りから一本入った道だけど、店先に物を置いて商売してるでしょ? 俺が召喚された国……セレーネも捕らえられてたあの国は大通りでも店先に物は殆ど置いて無いよ、一部の農作物や食品が置いてあるくらいなんだ」


「そんなあの国は困窮してるんですか……それなのに貴族は賭けの闘技場で遊んでるんでるんですね……」


セレーネが苦々しく言葉を発する、その中には自分を嬲り殺しにしようとしていた奴等への憎しみが籠っている。


「まぁまぁ、そんなに怒らないで。今は巡回中だしそんな顔してたら市民が怖がっちゃうよ」


「うぅ……そうでした……すみません」


シュンとなるセレーネの頭を撫でながら再び雑踏を歩き始めた。


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