第18話:魔法工房へ

エルフの始祖様が俺達の子孫だったり、俺とユフィが子供を作ることを言われたりなんかやたらとんでもない事実を知らされた素材探索は終わりを告げた。


夕食後洗い物を終えた俺は、リビングで寛いでるユフィに声をかける。


「それでユフィ、この枝の加工はどこで行うんだ?」


一抱えもある枝を指差しユフィに聞く。


「魔法工房、ドワーフの」


「え?ドワーフ?この世界に居たの?」


「正確には、居た。今は色んな種との混血ハーフしかいない」


「そうだったのか…」


「ユウキも会ってるよ?城の魔道具管理者」


「え?あの人なの?」


俺が前こっちに来た時に会った人というと…あの身長180超えてるでかい人だよな…


「ユフィ?聞きたいんだけど。この世界のドワーフは高身長なのか?」


「ん、高身長、でも300年前は身長小さかったって聞いてる」


「へぇ~って、エルフと仲良いんだ」


「??????」


何言ってるんだコイツみたいな顔された。


「ドワーフは手先が器用、でも魔法は下手。エルフは手先が微妙、でも魔法は凄く上手。モノ作りが好きなドワーフはエルフの魔法技術が欲しかった、エルフは生活が向上するドワーフの作ったものが欲しかった」


「あぁ、だから必然的に仲良くなるんだね」


「ん、それにこの森の樹で作る炭、すごくドワーフに好まれた」


「へぇーそんな良いものなんだ」


「魔力を含んでて、火力も燃焼時間も思いのままだから」


「それは凄いな…」


「それもあってドワーフとエルフは仲が良い」


「そうだったんだ、じゃあ明日はその工房に行くんだね」


「ん、ここから1日だし。明日には行けるはず」


「そうか、じゃあ今日は早く寝るか」


「???」


「いや、何そんなもう寝るの?みたいな顔してるの?明日工房に行くんでしょ?」


「おまたせー…ってどうしたの?」


耀がお風呂から出てきた。


「ほら、耀もお風呂から出てきたし、早く入ってきなよ」


「むぅ……」


ユフィは膨れた頬をそのままにお風呂へと向かって行った。


「いやね、明日の話をちょっと…」


耀にお風呂上がりの冷水を魔法で出して渡す。


「ありがと、それで?」


「明日はここから一日の距離にある。ユフィの魔法工房に行くんだって」


「ユフィさん魔法工房なんて持ってるんだ」


「そうみたい、それにこの世界にドワーフが居る事初めて知ったし」


「そうなの?」


「うん、純粋なドワーフは居なくて殆どがハーフみたい」


「そうだったんだ」


「そうゆう事もあって明日は、春華達に追い付けそうだね」


「そっか…じゃあ今日は早く寝ないとね♪」


「そうだな、かなり歩いて疲れたよ」


「私も…あんなに森の中歩いたの初めてよ…」


帰りは三人で飛翔魔法を使い楽に帰れたけど、行きに数時間かけて歩いた分は疲れが残っている。


「じゃあ私、先に寝るわね」


「おう、お休み」


それから30分程でユフィが出てきて「出た」と言うので俺もお風呂に向かった。


「なんだろう、お香の匂いが凄いな…」


まぁ気にする程では無いか、頭と身体を洗い湯船に浸かると心地よくて眠くなる。


「そういや…このお風呂、世界樹の湖の水を使ってたな…」


明日…少し貰っていくか…


「やばい…眠る前に出ないと…」


湯船から出て体をさっと流し着替える、部屋に辿り着くとそこには耀とユフィが居た。


「ちょ…二人共なんで…いるんだ?」


その言葉に二人は立ち上がり寝巻きを脱ぎ始める


「それはユウキを」


「襲う為」


「は?」


思考回路が一瞬停止した俺はベッドに引き倒された。


「わぁ…」


「おぉ…」


二人共どこ見てるの!?


「ちょっと!どうして?」


「いやーあはは…優希はどうせ奥手だし手を出さないかなーって思ってね」


「ん、だからこれを盛った」


ユフィが小さいビンを取り出した。


「それは、まさか…」


「ん、エルフの秘薬」


「秘薬?」


「ん、エルフは子供が出来辛い、だからこの薬を使う」


「媚薬じゃねーか!」


「しかも遅効性で、体温が上がったら効き始める」


「とゆうわけで、観念しなさい」


「ん、年貢の納め時、俎板の鯉」


「えっと…二人も飲んだの?」


「うん」


「ん」


どうやら王手とチェックを同時に掛けられたらしい…


「覚悟してね♪」


「ん、寝かさない」


「アーッツ!!」


◇◆◇◆◇◆◇◆

翌朝(昼だけど)、気絶している二人にタオルケットを掛けてお風呂場に行く。


「最近このパターンが多い気がする…」


魔道具でお湯を沸かしながら体を洗い待っている。


まぁ高校生だし…(身体は成人してるけど)仕方ないじゃん!!


「また、指輪を買う相手がふえたなぁ…」


思い当たる複数人の顔を思い浮かべながら笑いが漏れる。


そういえば神様はそろそろ起きたかな?


後で呼びかけてみるか…


お風呂が沸いたので湯船につかりぼーっとしていると本格的に眠気が来た。


「やばい…お風呂で寝るのは…Zzz」


その後お風呂に来た耀とユフィに慌てて引っ張り出された。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて、出発するか」


「ん、掃除もした」


「ありがとう、ユフィ」


「食品とかは纏めたわ」


「ありがとう耀、空間収納アイテムボックス


食品や保存のきかない調味料をしまう、準備完了だ。


「おーい、ユウキ様~ヒカリ様~ユフィリール様~」


上を見ると始祖様が降りてきた。


「はぁ…間に合った」


「どうしたんですか?」


「ヒカリ様の杖に使うと思ってね、急いで持ってきたんだ」


そう言っていくつかの宝玉を手渡してきた。


「わぁ…綺麗…」


「!?!?!?!?!?!?!?」


めっちゃユフィが目を開いて驚いている。


「ユ…ユウキ、それ…」


「これ?何か重要なものなの?」


「コクコクコクコク」


ユフィが首を取れるんじゃないかって程に振る。


「それは、【世界樹の実】その実を使うと性能の高い杖が作れると思うよ、じゃあ!」


言うだけ言って始祖様は還って行った。


「なんか凄い人だったね…」


「あぁ…」


二人で苦笑いをしていると、ユフィにガッと肩を掴まれた。


「ユウキ!!早く!!!転移!!転移!!転移!!!!」


人が変わったように揺さぶってくるユフィ、脳がゆれるうううう…


「わかった!わかったから!今転移するから!」


春華と冬華の魔力を探し転移を発動する。


「じゃあ捕まって!」


「えぇ!」


「早く!!」


耀とユフィを抱え転移を発動した。


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