|幕間|髪のお手入れをします。(後編)

◇巴のターン◇

次に来たのは巴ちゃんだ、お手伝いの綿貫さんもいっしょだ。


「おっ、おねがいします!!」


「お願いします♪」


「いらっしゃい、じゃあこっちに座って」


「はっはい!」


「私も良いんですか?」


「いいですよ、ケア自体はお風呂入った後でも続きますし」


「では、おねがいします」


そのまま綿貫さんも巴ちゃんの隣に座る。


「じゃあまずは…巴ちゃんからね」


「はっは……ふぁぁぁぁぁ~~」


既に完璧に乾かされた髪にヘアオイルを垂らし馴染ませていく。


「ほひゅうぅぅぅぅぅ」


そうして何故か緊張しすぎる巴ちゃんが意味不明な奇声を漏らすまでが流れである。


「ふぇぇぇぇぇぇ」


そうしてヘアオイルを馴染ませ、櫛と回復魔法で整えていく。


なんか痙攣してるけどいつもの事だし大丈夫かな…


「じゃあ綿貫さんもやっていきますね」


「はっはいぃぃ~♪」


綿貫さんは髪が短いので少し肌に触れるけど、どうやらくすぐったいらしい…気を付けないと…


「はぁぁぁ♪」


まぁ気持ちよさそうだし良いか。


「そうだ綿貫さん、このまま頭皮マッサージもしますね」


ついでに頭皮マッサージもしておこ。


「はえ?ひぃぃぃぃぃ♪」


「大丈夫ですか!?力入れ過ぎました?」


「だっだいじょうぶですぅ♪」


「優希さん、それ後で私にも!」


復活した巴ちゃんに詰められた。


「わかったわかった、順番ね」


そうして巴ちゃんの頭に手を置いた。


「「あひぃぃぃぃ♪」」


大丈夫かこの二人……


◇◆◇◆◇◆◇◆

「ゆうきしゃん…ありがとうございまふぅ……」


「おりょうさまぁ…あしもと、ふらふらですよぉ♪」


「そうゆーわたぬきしゃんも、ふ〇らふぇ〇ですよぉ~」


おいなんか、今やばい言葉でなかったか!?


「えへへ~」


「えへへ~♪」


うん、やりすぎ注意だな!(遠い目)



◇メアリーのターン◇

最後はメアリーか…メアリーはお風呂好きだもんなぁ…


「私がどうしたんですカ?」


「うわぁ!?びっくりした!」


「いエ、最近気配を消すのが上手くなりましテ」


「そうなんだ…でもやめてくれると助かるかな…」


「善処……しまス」


時計を見ると1時を回った頃だ。


「とりあえず座ってよ、メアリーの髪は長いから時間かかるし」


メアリーの髪は膝裏位まであってそのおかげで髪を乾かすのにかなり時間がかかるんだよね。


「すみませン…もし、優希さんニ御迷惑なラ切りましょうか?」


「良いよ切らないで…だってメアリーが気に入ってるんでしょ?」


「はぃ…」


「だったら気にしなくてOK!、それにメアリーの髪触ってるの好きだし」


「なんかそレ変態チックですネ」


顔を赤くしたメアリーがからかって来る


「ひどいなぁ……」


思わず苦笑いで答えるとメアリーは「ごめんなさイ」と謝ってくる。


「どうしたの?今日は?」


「いエ…優希さン今日怪我されたでしょウ、それなのにやってもらうのが少し引けテ…」


「いやいや、回復魔法使ったし大丈夫だよ?」


「それでモ、少しは気にしますヨ…」


「気にするな」


「そう、ですカ…」


それからメアリーの髪を整え終るまで沈黙が続いていた。


「はい、終わり!」


「ありがとうございまス」


そう言って立ち上がりくるりと回るメアリー、丁度入って来た月の光がメアリーのアッシュグレ―の髪に反射し銀色になる。


「こうしてみると、メアリーの髪はドレスみたいだな」


「ふぇ!?なに言ってるんですか!?」


「あぁゴメンゴメン、メアリーの髪が月の光を纏って綺麗だったからね…つい…」


「なっ…なっ……全くあなたって人は…」


「えぇ…感想を伝えただけなのに……」


「いい加減優希さんハその言葉がかなり攻撃力高い事ニ気付いてください…無意識に女性を落としテ何をしようってんですカ」


「えぇ…そんなつもり無いんだけど…」


「ともかク、安易に人に使わないで下さイ、死人が出ますヨ!」


「はい…」


「それと、褒めて下さってありがとうございます、褒めてくれたのは素直にうれしいです。以上!」


そう言い切ってメアリーは自室の方向に歩いて行った。


「さて…俺も寝るか…」


ドライヤーや各々の整髪セットを片づけをして俺も自室へ向かいベットで眠った。



◇◆◇◆◇◆◇◆

ページ数が余ったのでここから下は番外編です。


◇理映のターン◇

目が覚めると俺は神様に呼び出されていた。


「どうしたんですか神様」


「いやー耀ちゃん達が優希君に髪のお手入れされてるの見て、僕もしてもらいたくなったんだ」


「いや…神様はそうゆうのしなくても良いですよね?」


「それはそうなんだけど、なんか『ページを埋めろ』って来てね…」


「良いんですかそうゆう事言って…」


「何か、番外編?って言うのだし良いみたいだよ」


「はぁ…そうですか…」


「じゃあとりあえずお風呂に入ろう!」


「は?」


神様が指をパチンと鳴らすと立派なヒノキ風呂と辺り一面の花畑が広がった。


「よし!これでOK!」


「よしじゃないですよ!また無駄遣いして…」


「なんか番外編だから、僕の力も自由に使えるみたい」


「はぁ…なんか凄いですね…」


「ねー」


「それはそれとしてなんでこんなスイスみたいな景色なんですか…」


「あぁ…これ?コレ地球の風景を投影してるだけだから自由に変えられるよ、はいコレ」


神様がタブレットを手渡してくる、なんかGなんとかアースみたいな感じで選択できる。


「まぁいいか…それで俺は何すればいいですか?」


「そうだね…頭洗って~」


「仕方ないですね…とりあえず湯船に入って下さい。そうしたら頭と髪だけこっちに…」


「はーい、うんっしょっと…」


凄く綺麗な神様の髪がこちらへ差し出される。


「とゆうかこの天使の輪っかって触って大丈夫ですか?」


「だいじょぶだいじょぶ~」


お湯を掬って神様の髪へ掛ける、すると綺麗な髪がしっとりと水分を吸っていく。


「ふぃ~きもちいい~」


そうしたら今度は髪をほぐしながら予洗いをしていく、絡まった部分とかあるので細かくほぐしていく。


「痛い所とか無いですか?」


「だいじょうぶ~」


ある程度ほぐし終えて洗ったのでお湯をかける。


「そう言えば神様、ジャンプーとか無いですか?」


「あ~じゃあこれ使って」


指を鳴らすと市販のシャンプーが出てきた。


新品なのでシュコシュコと何回か鳴らすとシャンプーが出てきた。


「じゃあ洗いますね~」


丁寧に丁寧に泡立て髪に纏わせる、髪の根元はマッサージをしながら、毛先は撫でるだけ、そうしていると神様が気持ちよさそうな声を出してきた。


「うぇ~ぎもちいぃぃぃぃぃ」


「もしかして、神様疲れてます?」


「まぁね~意外とやる事が多いんだ~」


「そうなんですね」


それからは神様が疲れが取れる様に思いながら、髪の手入れをしていった。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふぃー気持ちよかった!」


「それは良かったです」


あの後、神様に無理矢理服を脱がされ混浴させられた…ここの世界は謎の光で隠されるので大丈夫との事だったがとにかく恥ずかしかった。


「じゃあ、もうひと頑張りしましょうかね!」


「この後も仕事なんですか?」


「まぁね~今忙しくて…」


「じゃあ、また何かあったら呼んでください、マッサージ位ならしますので」


「わかったよ~また頼むね」


「あっそうだ」


帰る直前だったけど踵を返して神様へ近づく。


そう言えば…この世界、番外編とか言ってるし、大人の姿になれるかな?


念じてみると目線が高くなった。


「よし、これでよし」


そうして神様の頭を優しく撫でる。


「理映、いつもお疲れ様。理映の仕事は手伝えないけどこうやって気晴らしは手伝えるからね、いつでも呼んでくれよ」


すると、呆けていた神様が突然赤くなり「これが、皆が言ってた不意打ちかぁ…」と呟いた後「ありがとう」という言葉と共に俺の意識は戻された。


◇神様side◇

「ふぃー優希君…やばいでしょあの破壊力…」


僕の不意打ちされた心臓は痛いくらい鼓動が早くなっていた。


生まれてからこの方、男性と付き合う事すら無かった私にはご先祖様の誑しはやばいレベルだった。


「あーあ、皆いいなぁ…」


向うの世界で仲良くする皆を見て羨ましいという感情が芽生えた。


「さて!お仕事!お仕事!」


溜まっている仕事へ目を向け頭を切り替える


「でも、また…呼んでもいいんだよね…」


頭に残る手の感触に思いだした。



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オマケが長くなったけど…ヨシ!


神様のイメージ画上げました!

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