第39話:蔵間先生

それから。シラバスや資料を渡されたり、各施設の説明やカリキュラムについての説明をされる。


「それじゃあ、カリキュラムや施設に関しては問題ないよね?」


「はい」


「ん」


「ありがとう、これで説明は一旦は終わりだ。それで、一旦お二人の学力を見たいから、筆記試験をしたいんだけど大丈夫かね?」


理事長が二人に聞く。


「二人共、大丈夫?」


「問題ないですわ」


「大丈夫、事前に勉強した」


「いつの間に……」


「これでも王女なので、ある程度の計算や政治等は学びましたし。中等教育の卒業ですとそこまで難しくないと聞き及んでます。それにメアリーさんからも『これなら高等教育から参加しても大丈夫』とお墨付きをいただきましたわ」


「ん、基礎は全部学んだ」


(そこまで心配しなくても大丈夫かな?)


「では。エアリス殿下とエンバレンスさんは別室でテストを、上凪さん達はその間【補講】になります」


「わかりました」


「ん、頑張る」


「頑張ってね」


「頑張って下さい」


「任せて下さい!」


「え~授業かぁ~」


「ほら、冬華がんばろう」


その後、各々に別れてテストと学年別補講を受け始める。


「あ"ぁ〜」


「ほら、上凪早く解け」


担任の蔵間くらま先生がホワイトボードを叩く。


各教科の小テストから始まり、夏休み前から二学期の中間テストまでの勉強を詰め込まれている。


「流石に集中が切れますよぉ……」


「そうね、私も疲れましたぁ……」


「仕方無いな……30分休憩するか」


そう言って先生も席を立って外に出ていく。


しかし……蔵間先生は担当教科以外も教えるのが上手い、お陰で大体の教科の勉強が進む進む。


(飛ばし飛ばしの内容なのにちゃんと理解が追いつくし、内容に抜けがない)


教科書をパラパラとめくりつつ思い返す。


(まぁそれでも、わからない部分は出てくるな……)


どの教科も大まかな流れがわかるし、解けもする、ただそのまま進むとどっかで詰むかもしれない。


(後で担当教科の先生に聞けって事なんだろうね)


そんな事を考えていると、隣からうめき声が聞こえた


「うぅ……優希〜回復魔法かけてぇ〜」


机に突っ伏した耀が呻く。


「そっか、その手があったな『――ヒール』」


耀にヒールをかけながら自分にもかける、凝り固まった筋肉が解れていく感覚が気持ち良い。


「癒やされるぅ〜」


「それで耀はどんな感じ?」


肩を揉みながらノートをのぞき込むと、結構綺麗にまとまっている。


「まぁ、それなりって感じかなぁ……反復とかは後々自分でしないといけないからとりあえず、わかるわからないひっくるめてノートに書いてる」


「やっぱりそうなるよな」


「あくまで急ぎで教えてる状態だからね~あぁ~そこそこ」


回復魔法をゆるくかけた肩もみで耀がとろける。


「肩凝ってるなぁ……」


「そうねぇ……優希の好きなもんがぶら下がってますから……」


「いきなり下ネタを突っ込まないでくれ」


「そうは言ってもねぇ……優希に揉まれてるせいで、サイズが一回り大きくなったんだから」


「マジで?」


「割と早めに優希と婚約した私達は軒並みサイズアップしてるわよ、してないのメアリーやユフィ達じゃないかしら?」


そう言いながら胸を持ち上げる、やめなさい見ちゃうでしょ。


「流石優希、ガン見するわねぇ~」


「あっ、すまん」


「良いの良いの、まだ何年かは優希の物なんだから」


ニヤニヤと笑いながら言って来る耀、確かにまだ早いと思うけど……授かりもんだしなぁ……


「まぁ少なくとも、高校卒業までは気にしましょう」


「そうだ、耀は大学どうするの?」


そういえば気になってたことを聞く。


「そうねぇ……正直学びたい事は無いのよ、それよりも優希の近くにいる事のが大事だし」


目を細めつつ微笑む耀、相変わらず可愛いな。


「まぁ、優希の手助けになるなら、どっかの大学に入って学ぶのも悪くはないかな?」


「耀……」


嬉しくなってそのまま後ろから抱きしめ、顔を近づける。


「おい、お前ら。一応ここ学校だぞ」


「「!?!?!?!?」」


いつの間にか蔵間先生が戻って来ていた。


「せせせ先生、いつの間に!?」


「お前達が乳繰り合い始めた所だ」


「なら早く言って下さいよ!」


「えぇ……めんどくさい」


心底嫌そうな顔をして答える蔵間先生。


「学校でなければ、特には咎めんが、避妊だけはしとけよ。夫婦だからといって、俺が担任の内に孕まれても。監督責任だーとかで、難癖付けられて小言言われるのが嫌だからな」


「孕……って何言ってるんですか!?」


「せんせーそれはセクハラですよ~」


「うおっ……マジか……訴えるのだけは止めてくれ」


「流石にしませんよ、ねぇ優希?」


「そりゃね……悪いのはこっちだし」


「まぁ、安心してください、訴えませんから」


「とりあえずさっきの続きから始めるぞ」


そう言って、ホワイトボードに数式を書いて行くのであった。


「「はーい」」





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あとがき

作者です。

今日からちょいちょい投稿時間を変えつつ様子見してみようと思います。

来週から人気投票第二弾やります。


読者選考を突破できるかは皆様次第!!

作者も頑張ります!よろしくお願いします!

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ランキング落ちてますがどうせ一過性ですので!!来週から挽回したいです!!

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