第18話:第二の街に到着。
起きるといつの間にか次の街についていた。変わった事といえば、奴隷の人達が乗った馬車が付いて来れてないのと、隣でレナが気持ち良さそうに寝ていたくらいだ。
「ご主人様起きられましたか」
「あぁ、セレーネかおはよう」
「おはよう……とは何ですか?」
「あぁ、俺の世界での起きたときの挨拶だよ、朝起きたり昼寝から起きた時に言うんだ」
「そうなんですね覚えました!」
むふーと鼻息荒く拳を握るセレーネ。まぁ挨拶くらい特に問題無いか、朝起こしてもらう訳じゃ無いし。
「それで今はどういう状況?」
「奴隷の皆様はご主人様の所有物ですが皆さん冒険者の登録証を持っていましたので、そのまま冒険者ギルドへ向かってもらいました。恐らく手続きに時間がかかると思うので、終わり次第後を追ってもらう様にしましたが大丈夫でしょうか?」
「ありがとう、でもそれで良かったのかな?」
「はい、レギルさんとライラさんが仲介をしてくれてますし。お二人がこのやり方が一番いいと教えてくださいましたので」
「そっか。現役の冒険者が言うなら正しいのかな?」
「あら? 起きたのね?」
馬車の外からいつの間にかシスター服に着替えたシャリアと法衣を着たアミリアが顔をのぞかせていた。
「あぁ、おはよう二人共。それでアミリアはなんで正装?」
「今、この街の司教に呼ばれていたのよ、さっき私達が起こしたアレのせいで」
「あーそういう事か。すまん、そういう時は起こしてくれればよかったのに」
「良いわよ、私達で応対できたし、危ない所はシャリアさんが誤魔化してくれたから」
「んふふ~大丈夫よ、アミリアちゃんが頑張ってるんだもの、私もがんばっちゃうわ♪。それにしてもお兄さんのくれたこの服良いわねぇ~」
くるりと回るシャリア。コスプレ用なので少し生地が薄いけど、それ以外は完璧に似合っている。
「ねぇユウキ。あの服本当に修道女の服なの? やたら艶めかしいんだけど……」
「あぁ、俺達の世界だと修道女が着るんだ、レナも着てるし」
はしゃぐシャリアを見る、うん確かにエロい! エアリスのコスプレ用だったし、ロングスカートだったから平気と思ったんだけど……アウトだわ!
「角も尻尾も隠せるから良いと思ったんだけどなぁ……」
「確かにあの頭の奴は良かったわね、尻尾はなんかギリギリっぽいらしいけど」
「そっか、どうしようかな、別の服もあるんだけど」
「別の服?」
「うん、これなんだけど……」
エアリスのコスプレ用のゴスロリ服を取り出す。
「……なんでそんなの持ってるのよ」
「嫁の趣味です……」
「そ、そう……」
あ、引かれてる、すまんエアリス。
「とりあえずそれは豪華すぎるわね、奴隷に着せる服でも無いし。それに聖女の護衛としては駄目でしょ」
「だよねぇ……」
「それじゃあ、当分はあのままで過ごしてもらうか……」
「それしか無いわね……」
そして戻って来たレギルとライラが、馬車を出発させる。
「旦那、宿は本当にここで良かったんですか?」
「あぁ、あんまり高級宿だと聖女が泊まってるとバレるしね」
「そうですね、まぁこれだけのメンバーですから誤魔化すのも難しいですが……」
「まぁ、小さな宿を丸々一つ貸し切った方が、警戒もしやすいしここでOKだよ」
「わかりやした、それじゃあ俺は馬を繋いできます」
「私は鍵の受け取りに行ってきます」
「あぁ、頼んだ」
そうして二人が動き皆馬車から降りる。
「それじゃあ部屋はアミリアとレナの部屋を中心に階段に近い方はセレーネ、奥はシャリアで今回は手狭になるだろうけどアミリアとレナは俺と同じ部屋で階下はライラとレギルに任せるつもりだ」
「わかりました」「「わかったわ」」「はい!」
4人が頷く。
そうしてる間にレギルとライラが戻って来る。
「今日は私達で貸し切りですね、食事は夜と朝出してくれます」
「そうか、二人共今日は酒場には行かせてあげられないけど、市場でお酒を買ってきてくれていいよ」
酒代を冒険者組に渡す、レギルは喜びライラは少し申し訳なさそうな顔をする。
「すみません毎回」
「旦那! ありがとうございます!」
何だかんだ言って、一番お酒飲むのはライラなんだけどね。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから宿に入ると、従業員は気の良さそうな老夫婦だった。
話を聞くと、この街でもう50年以上やっている宿で、老夫婦で2代目らしい。アミリアとセレーネそしてレナが可愛がられ。いつもは出さないというおばあさん特製デザートまでいただいてしまった。
それからお風呂を設置して交代で入って貰う、お酒を飲んだ三人は翌日に回す。
「さて……寝るよ~」
ランプを消して寝袋に入る、ベッドはアミリアとレナの二人でいっぱいだ。
「今日は、女の子拾ってこない様にね!」
「ね!」
「大丈夫、特にレナスからの依頼も無いし」
苦笑いして答えると少し懐疑的な目を向けられる。
「それに今日は疲れたし、すぐ眠るよ」
「Zzz……」
「ほら、レナも寝たし、早く寝た寝た」
アミリアの頭を撫でると、アミリアが手を出してくる。
「ん!」
どうやら信用が無いのか逃がしてくれ無さそうである。
「わかったよ」
手を繋いでいると、アミリアの寝息が聞こえ始めた。
「さて……寝るか」
俺も寝袋に入り、アミリアと片手を繋いだまま眠りに落ちた。
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