100話記念:ありえたかもしれない未来・中編②
【獣王】ガリウスが連れてきた一人の女性、それは俺が良く知る人物だった。
「えっ……」
そんなはずは無い、だって彼女は……
「耀?」
こことは違う世界に居るのだから…
「私の名前を知ってる?まさか…優希なの?」
「なんで…」
「わからないけど…寝て起きたら洞窟に居て、その獣王さんが治めるアストラっていう国に所属している探索者さんが助けてくれたの」
「そうだったんだ…無事で良かった。でも耀は何で姿が分かれた時のまんまなんだ?」
「そう言う優希はすっごく成長したわね…」
「だって…8年も過ぎてるんだぞ?」
「はちっ…えっ、じゃあ優希は25歳なの?」
「うん、そうだよ」
久しぶりの再会に話が弾んでいると横から突き刺すような視線が飛んでくる。
「んんっ!それで旦那様?そちらの少女は?」
「旦那!?」
「えぇ、
「王妃様!?しかも上凪って…」
「えぇ、私ユウキ様の妻です」
「あっ…あはは…そういえばそうだったね…優希が残る位だもんね、結婚してたって当然か…」
そう言うと耀はぽろぽろと涙を流し始める。
「と、とりあえずこのままじゃ何で嬢ちゃんが来たかわかんないから話を聞こうじゃないか!な!」
この空気に耐え切れなくなったガリウスが、慌てて話題を転換する。
「そうね、何か起きてるのは確実だものね」
◇◆◇◆◇◆◇◆
場所を移し耀の話を聞くことになった俺とエアリス、ミュリはガリウスと訓練に向かった。
「それで、ヒカリさん貴方は何故この世界に?」
「わからないです…本当に。気付いたらこの世界に居たので…」
「うーん、自分の意思でここに来た訳じゃ無いなら原因はあの人だよね…」
「そうですわね、私はお会いした事はございませんがユウキ様が言うのであれば正しいかと」
「でも会えるわけじゃないからなぁ…」
「案外呼んだら出てきませんかね?」
「そんな訳無いやろ~、まあ物は試しだし…神様~」
「はいはーい!」
目の前に光の粒が集まり人の形になる、ゴツイ姿の神様だ。
「「「えぇ……」」」
「出てきてあげたのに何でドン引きするの!?」
いや、想定外でしょ…
「まぁいいか時間も無いし、それで耀ちゃんがこっちに来ちゃった理由だよね?」
「はい…」
「うーんこれから話す事は耀ちゃんのトラウマを抉るかもしれないけど大丈夫?」
その言葉に耀は息を呑む、誰だっていきなりそんな事を言われたら躊躇ってしまう。
「いえ、ヒカリさんの意思はあまり関係ありません」
「ちょ!?エアリスなんて事言うの!?」
「だって、ユウキ様考えて下さい。この世界に異世界の人が何も無しに来る事は無いはずです、それには原因が有り、もしかしたら私達の世界に影響を及ぼすこともあり得ます。ですのでヒカリさんの意思とは関係なく私達はそれを聞く権利があります。それを踏まえてヒカリさんの処遇を決める事にもなりますので」
「そう…ですね。神様お願いします」
そう言って耀は頭を下げた。
いつの間にか青年の姿に変わっていた神様が椅子に座り直す。
「んーまあいいか、実はこの世界と向こうの世界は僕が管理してる世界なんだ」
そう言うと神様は二つの地球を出した、一つは昔見た向こうの世界の地球、もう一つはこの世界の地球だろう。
「それでね、まぁ僕は2つの世界にもいくつも管理してるんだけど、人間が住む世界はこの世界だけなんだ」
神様が指を動かすと人が双方の地球にミニチュアの人間が現れる。
「それでね、人間や人間に準じた生物、この世界だと獣人や魔族、もちろんエルフも竜人にも等しく魂が存在する。これは世界を運営するリソース、つまり資源なんだ」
ミニチュアの地球で人間から魂が出ていく、そうして循環してまた人の形に戻る。
「これは変えられない絶対的な理、他の世界を管理する神様も同じ条件で世界を運営してるんだ」
「それって言っていいんですか?」
「大丈夫大丈夫別に駄目とは言われてないし、都合が悪くなれば神様が介入するから」
そういって神様は優しく微笑む。
「でも、僕たち神様も極力世界には干渉しない様にしてるんだけど。たまーに問題が発生しちゃうんだ」
「問題ですか?」
「そう、さっき説明した魂なんだけど、その器の生涯が幸福ならリソースが増えて、不幸な生涯だとリソースが減っちゃうんだ、だからそこで僕達が介入する、優希君キミをこちらの世界に呼んだようにね」
「そうか…邪神の行為で大量の不幸な人が出ると神様の世界運営に不都合が出ちゃうのか」
「そうそう、ここまで言うとどうして耀ちゃんがこちらの世界に来たか予想はつくよね」
「ヒカリさんが不幸な生涯を送ったって事なのですね」
「そう、それでここからはちょっと嫌な話になっちゃうんだけど…」
「それ、話す必要あります?」
「まぁエアリスちゃんが今悩んでる事を解決するのに手助けになるだろうし、それと僕も少し腹が立ったからね」
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