第14話:身体強化と魔法のお勉強②

ちょくちょく鳳さんから変な視線を向けられつつ、繰り返し耀の体へ魔力を流し込む。


「あー分かってきた…すごいすごい」


片手でスチール缶を潰していく。


「いやーすごいな耀、もうここまで出来るとは…」


「なんか優希の魔力がすごく親和性?高いのか凄くよく分かりやすいの」


「それは良かった、じゃあ次のレッスンだ」


「えーまだ魔法使わないの?」


「もう少しだからね、あったあった」


鞄の中からインターバルタイマーを出す。


「じゃあ先ずは『2分間』身体強化を維持して『2分間』休むを繰り返してね10セットやろう」


「じゅっ…おにーあくまー!」


頬を膨らめながらぽこぽこ叩いて来る、身体強化してるから痛い。


「ちょ痛い痛い!魔力を適切にオンオフするために必要だから!」


「むー」


不満そうな顔だが大人しくなりやり始める。


そうして鳳さんに向き直る。


「じゃあ鳳さんの訓練を始めましょう」


◇◆◇◆


少し離れた所で鳳さんと剣を構え向き合う。


「じゃあ鳳さん狂戦士の能力で向かってきて下さい、抑えるぞって気持ちは忘れずに」


「でっ、でも…」


「大丈夫です、何かあっても回復魔法が使えますので」


「わかりましたっ!行きます!」


そう言うと鳳さんの纏う雰囲気が変わった、呻き声等は上げないタイプの様だ結構厄介な相手だ。


狂った獣の様になるなら一度ボコボコにしてしまえば楽なのだが、このタイプは冷静に見えて理に適わない動きをする、正直面倒なのだ。


そう考えていると唐突に飛び込んでくる大振りの上段だ、それを往なしていく。


叩きつけた剣で地面が少し砕ける、やっぱりか。


鳳さんは身体強化が使えないんじゃなくて『使えてる』んだ、狂戦士の状態で初めて、2重人格が出てる為使えないと感じてる訳だ。


うーむ厄介、二重人格は非常に厄介だ、なんせ当人が意識してないときたもんだ…


「どうしよう…とりあえず疲れさせるまで戦うか…でもまあ剣同士じゃ危ないか」


何合も打ち合う中、鳳さんが振り上げた剣の持ち手を、跳び膝蹴りで蹴り抜く、甲高い音を立て天井へ剣が刺さる。


そのまま相手の両手を掴み肩を折りそのまま前に押し倒し馬乗りになる、絵面が非常にまずいがこれで鳳さんは動けなくなる、後は収まるまで待つか…まさか本当にハ○クタイプだとは思わないでしょ…


そうしてると次第に収まってくる、体力が切れたみたいだ。


「あっあれ?私どうし……いぎゃああああああああ」


「あっごめん、回復魔法」


ぱっと手を放し、速攻で回復魔法をかける、女の子が上げちゃいけない声してたな…


土埃を払いながら鳳さんが立ち上がるその間俺は身体強化を使って天井に刺さった剣を抜く、それから共にビニールシートまで戻りタオルを渡す。


「それにしても、本当に強いですね優希さん」


汗と土埃を拭いながら感心したように言ってくる。


「まあね、でも魔法抜きなら俺よりも強い人は居るんだよね…」


「よろしければその方の名前を聞いてもよろしいでしょうか?」


「大丈夫ですよ、実はその方に鳳さんの修行を頼もうかと思ってたんだ」


「そうなんですか?」


「ええ、その方の娘さん達も同じ学校だから顔合わせには丁度良いかもね」


「お願いします」


「それはそうと、耀は…あぁ、やっぱりか…」


振り返ると耀はビニールシートの上で伸びていた、恐らく魔力切れだろう、慣れない内に身体強化とはいえ初めて魔法を使うんだから当然である。


「じゃあ今日はこれくらいにして戻りますか」


「そうですね」


俺と鳳さんで荷物を片付け俺は耀を背負う、鞄は鳳さんに持ってもらう。


片付けていると複数体のゴブリンが現れた、丁度良い鳳さんに魔法を見せるか。


「鳳さん、いまから魔法を使うね」


「良いんですか?」


「せっかくだからね」


魔力を練って使う技を頭で思い浮かべる。


「風よ風よ我が元に集まり氷の礫を乗せ、我の敵を砕き散らせ――――フローズンストーム」


周囲に氷の礫を浮かべそれを風に乗せ敵へ放つ、風はどんどん周囲の風を取り込みゴブリンへ襲い掛かる。


嵐が収まるとダンジョンの1階層の入り口フロアはズタズタになっていた当然ゴブリンは跡形もない、やりすぎたかもこれ…………


気まずくなって鳳さんを見ると口をあんぐりと空けていた。


「あのー鳳さん?」


「え!?ああどうしました!?」


びくっとしてしどろもどろになりながら鳳さんは返してくる。


「ごめんなさい…やりすぎちゃいました…」


「今日一番驚きました…魔法ってすごいんですね…」


「いや…俺もびっくりしました、まさかここまで出力が上がってるなんて…」


「そうなんですか?」


「ええ…以前これくらいの魔法だとダンジョンをあまり傷つけ無いように使えたんですが…」


「それは魔力を込め過ぎたからとかではなくてですか?」


「そうですね…想定の半分くらいの魔力です…」


「えっとちなみに、さっきの魔法何回ぐらい使えますか?」


「えっと…少なくとも10回は…」


「じゅ…10回…」


「とりあえず鳳さん、戻りませんか?」


「は、はいぃー」


放心してしまった鳳さんと共に入り口の階段を登り外へ向かうのであった。



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あとがき


作者です。三万PV超えました!

昨日も3500PV超えました感謝!


フォロー感謝です!400超えました!!

★も各話の❤ありがとうございます!


順位も週間92位!100位以内入りました!!!

総合325位までジャンプアップしました!

日間82位!

月間176位!

週間ランキングはここからは勝負だと思うので読者の皆様頼みました!作者は地道にストック作り頑張ります!


制作について、2章なのですがやりたいことマシマシにしてたら、めっちゃ話数マシマシになりそうなので、プロット改変して2章の半分を3章に回します(どうせ話数増えるので)

3章前半プロットは4章かなぁ…



~作中小話~

作中の強さランキング

1.主人公(魔法・身体強化使用)

2.ハイオーガ(変異種:シルバーオーガ)

3.主人公(1章時点の魔法・身体強化使用)

4.鳳 里菜(別人格)

5.小鳥遊パパ

6.主人公(身体強化・魔法なし)

6.春華(身体強化あり)

7.冬華(身体強化あり)

8.鳳 里菜(主人格)

9.耀

以下略


ちなみにゴブリンは異世界の10歳くらいの子に負ける。

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