第46話:ゴメンね、長い事借りてた

翌朝朝食の席でユフィに確認したところ、いつでも出発出来るとの事だったので王都に転移をした。


「よっと…」


「すっご…」


「「わぁ!」」


「綺麗…」


「メイド長さんヲ、呼んできますね。」


メアリーの言葉に反応する様にメイド長が現れた。


「皆様いらっしゃいませ。勇者様、メアリー様、お帰りなさいませ」


「見張ってました?」


「いえ、あらかじめこの部屋に侵入者検知の魔道具がありまして、引っ掛かりますとわたしの元に連絡が来る仕組みがあるんですよ」


「それって凄くない?」


「そうですね、便利なので使ってるのですが…凄いのでしょうね」


「ドヤァ…」


「まさかその魔道具はユフィが作ったの?」


「ん、私が基礎理論から魔法式を構築した」


「やっぱり凄いわね」


「私達の世界の技術と合わせたら多分凄いもの作るわよね…」


「そうですね…」


「昨日の時点でスマホに興味津々だったもんね…」


「今は、通信に興味がある」


「まさかもう読めるようになってる?」


「ん、漢字?は不明だけど、ひらがなは全部読める」


「本当に凄いな…」


「ですね…」


「驚きだわ…」


「しかも一部の漢字は私が読んだのから覚えて読めるようになってるよ~」


「凄いですね」


「私でモ、そこまでしゃべるのニ、相当かかったんですガ」


「やはりユフィちゃんの吸収力は半端じゃないわね…」


「そうしましたら皆様。姫様が正式に勇者様を国賓として、ご招待するそうで簡易的ですが式典を行います、そちらの控室で一度準備をお願いします」


「わかりました」


「式典って…そんなものやるのね…」


「まぁ、ユウキは勇者だしな、国内外にこの状況の安定をもたらす存在が来たことを示す必要が有るからな」


「そうですね、勇者様は恐らく一軍の将として任命されこの度の戦いに赴きます」


「旗印ですか…今回もやるんですね…」


「そうですね…しかも今回姫様が、めっっっっっっっっちゃ張り切ってて勇者様の軍旗を作ってます」


「えぇ…」


「ん、そしたらヒナギク」


「わかったわ、簡易式の正装に使う形で良いわよね?」


「ん、魔法式は任せて、ユウキの晴れ舞台だから頑張る」


「すまないわねメイド長、ユウキ君の軍旗のデザインはあるかしら?」


「はい、複写魔法で作ってあるので予備ならあります」


「よし、ではそれを貰えれば礼装用の簡易魔法鎧はこちらで作るよ」


「ありがとうございます、助かります」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから俺達は控室に通され、少しの間待つ事になった。


皆が着替えた後に談話してる横で俺は椅子に乗ったヒナギクさんに礼装の最終チェックを受けていた。


「うん、背部の徽章きしょうも問題なく見えているね」


「前回使った騎士用の服がサイズが変わらなくて良かったです」


「うん、カッコいい、これは惚れる」


「生憎、剣が無いのは残念ですが…」


「そうだね、前にパーティーで見た際はとても綺麗な剣を下げてたよね」


「しかし、奇妙な話だな、忽然と消えてしまうなんて…」


「ん、妖精のいたずらって言われてる」


「剣…剣……ああああぁぁぁぁぁぁ!!」


俺の咄嗟の悲鳴に皆がこっち向く。


「どうしたの優希?」


「どうしました、優希おにーさん?」


「びっくりしたよーおにーちゃん」


「珍しいですね、上凪さんが純粋な大声出すのは」


「そういえば耀、編入試験の時に使ってた折れた剣どこにいったっけ?」


「剣?入院してる時は見なかったわね…」


「春華、冬華は憶えて無いよね?」


「そうですね…手と貼り付いてたとかでそのまま病院に運ばれたのは見ましたね」


「そうだね、でも翌日は見なかったなぁ…」


「となると…母さんかなぁ…」


「ダメ元でお願いしてみるかなぁ…神様ー?」


「はいはーい、どうしたの?」


空間から顔だけ出てきた。


「俺が、編入試験の時に使ってた剣、どこいったかわかります?」


「えっとね………あったあった、倉庫部屋に積まれてるよ」


「取って来て貰うの駄目ですかね…」


「いいよー、ちょっと待っててね~」


そう言って神様は頭を引っこめた。


汗を拭ってると袖をくいっくいっと引っ張られた。


「ユウキ、話が見えない」


「そうだぞ、説明してくれ」


「まさかとは思いますが…」


「はーいあったよー!」


神様が折れた剣そのものを、箱に入れて差し出してきた。


「んな…」


「あっ…」


「嘘…ですよね…」


三人がひび割れて折れた剣を見て悲痛な顔をする。


「神様…これ治せないですよね?」


「うーん…治せるけど…それは優希君でも治せるし…」


「え?治せるの?」


「いやいやいや、優希君の回復魔法として使ってるけど、軽く復元魔法使ってるじゃん…」


「あっ…そうだった…」


「じゃあ今すぐ直して…」


そのタイミングでノックの音が鳴る。


「失礼します、お待たせしました勇者様方、式典の準備が出来ましたのでお呼びに来たのですが…」


ドアを開けたメイドさんが固まってる、しかも神様をガッツリ見ている。


「あーどうしよ?」


「とりあえず…行こうか」


「「「「そうですね(ネ)」」」」


「ん」


「仕方ない、これも持っていくか…」


「とりあえず神様はどうします?」


「じゃあ僕も行こうかな」


そう言って諸々を外した神様が一緒に行く事になった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから礼装用の簡易魔法鎧を起動して部屋に入ると、そこには多くの貴族と貴族子女が並んでいた、特に貴族子女は皆目が一様にキラキラしている。


玉座の横に立つエアリスがこちらを真っすぐ見ている。


えっと…階段の手前で止まるので良かったよね!?


エアリスを見るとニコニコと頷いている、それから集まった貴族や貴族子女を一度見回す。


「此度は、急な呼びかけに応じてもらい感謝する。この度、この国を脅かす脅威に勇者ユウキ様が舞い戻った!彼が居れば我が国、いやこの国を脅かす者達に勝利したも同然だ!」


静まり返った会場が拍手や歓声で揺れる。


「ありがとう皆の者、そして勇者ユウキ様再びこの世界をお救い下さい」


そしてエアリスへあの折れた剣がミュリの手で運ばれる、剣を確認したエアリスの瞳が揺れ複雑そうな顔になる。


その空気を察したのか会場がざわつき始める、その空気に押されるように俺はエアリスの前に立ち剣を手に取り復元魔法を発動させる。


剣は輝く光に包まれ元の形を成していく、光が収まるとそこには長い旅の中、よく見た姿があった。


その幻想的ともいえる光景に、エアリスの瞳が驚きに開かれ、涙が一筋零れた。


「ゴメンね、長い事借りてた」


そう言って復元した剣を手渡し、跪く。


両肩に剣を当てられ立ち上がり剣を受け取る。


「勇者ユウキ様、此度一軍の将としてそして救世の勇者として戦場に赴き、見事勝利を飾ってくれ!」


確かここで立って一言だよね…エアリスと目が合うと大きく頷いた。


「ええ!この剣に救われた命!此度はその恩に報いる為、姫様に必ず勝利を捧げます!」


そう言って下がろうとするとエアリスが口を開いた。


「では勇者ユウキ様、見事凱旋の暁にはわたくしを貴方様の伴侶と致しましょう!」


そう満足気に言い放つエアリスに会場が静まり返る。


「「「「えええええええええええええ!?!?!?!?」」」」


会場が割れんばかりの驚愕の声に包まれた。


てか…女王様なんでそんな陰でニヤニヤしてるんですか!?




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あとがき


作者です。

4章、最終パートスタートです!



61万5千PV超えました!!感謝!!

昨日は7500PVでした!ありがとうございます!

それでも読んでいただける方、ありがとうございます!


♡も1万2700!超えました!感謝です!!!

☆640を超えました!!もうすぐ650!

ありがとうございます!感謝!!

新規ブクマもありがとうございます!


☆もらえるとランキング上昇するのでくれると嬉しいです!!目指せ週間50位以内!!!




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です!

総合ランキング

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感謝です!!!!


遂に週間100位より落ちました…そろそろ飽きられ始めたかな?

皆様の☆(星)とブックマークのお陰で登ってます!



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