第45話:……何か言いなさいよ。

買い物を終えてユフィの家に戻るとどうやら神楽坂さんの魔法鎧が仕上がっていた様だ。


「ほら!ユウキ君が帰って来たぞ!見てもらいなさい!」


そう言って神楽坂さんは俺の前に連れてこられた。


「どっ…どうかな?」


見た目はミュリの魔法鎧に近い形で二房のおさげとマント胸の青い魔石が特徴的だった、ただミュリより出るとこが出ているのでなんかカッコよさと煽情さが合わさっている。


「うん、凄く可愛いしカッコいいね」


「あっありがとう…上凪さん…」


「そうだろう!そうだろう!いやーリンカちゃんの可愛さを残しながら、それでいて騎士の様な恰好良さを表現するのが大変だったよ!!」


「腰のベルトは武器を収めるのに使えるようにしてあるから上手く利用してくれ!」


「はい、ありがとうございます」


「耐久性も春華ちゃんや冬華ちゃんのより少し硬めにしてあるよ、その分重いけどね」


「でもこれ位なら、十分軽く動けますね」


ぴょんぴょんと跳ぶ度にカチャカチャという鎧の音ヒールの音、それと目を引く部分がブルンブルン揺れる。


「いやこれは…すごいわねぇ…」


「あっ、ああ…女の私でも見てしまう…」


「衣装の問題よね…持ち上がってる分凄いわ…」


「鈴香おねーさん…凄い…」


「凄いですネ…」


俺含め5人の視線に気づいた神楽坂さんが顔を赤らめる。


「上凪さんの……えっち……」


「すみませんでした」


「まぁ、リンカちゃん、今ので胸の部分がずれたりしてないか?」


「大丈夫です、この魔法のブラジャー凄いですね…」


「あぁ、魔法鎧の魔石から魔力が供給される間は激しい運動でも成形されるからな、これを応用すれば探索者や女騎士でも胸が邪魔にならないからね」


「あの…俺が居てその話しても良いんですか?」


「まぁユウキ君だし」


「優希だし」


「上凪さんですし」


「おにーちゃんですし」


「ユウキだしなぁ…」


「旦那様ですシ」


俺の尊厳!!まぁ…見ちゃうけど!!仕方が無いじゃん!!男の子だもん……


「さて、これで試着は終了だね、自由に脱いでくれ」


「ありがとうございます」


そう言って神楽坂さんは服を持って自室へ入って行った。


「後は、ヒカリちゃんとミュリの鎧の復旧とメアリーちゃんの魔法鎧だね」


「どのくらいで出来ます?」


「そうだねぇ…ヒカリちゃんのは縫い合わせだから今日中には終わるけど…ミュリの含めて今からだと2日…3日かな…全員分の魔法鎧も調整したいし」


「それじゃあ、王都まで行った方が早いかな…」


「そうですね、ここも明日か明後日には出発しますし」


「そうだな、リンカの武器も用意しないといけないし」


そう話しているとユフィの部屋の扉がバンッと開いた。


「出来た」


扉開けた際とのテンションが合わないが、何が出来たのだろう?


「ユフィ…何が出来たの?」


「あっ、ユウキ、おかえり」


「うん、ただいま。それで何が出来たの?」


「コレ」


そう言って取り出したのは?魔石の付いたブレスレットだった。


「それって、前に貸してくれた簡易的な魔法の杖?」


「違う、空間収納アイテムボックス


「「「「「ええぇぇぇ!?」」」」」


「ドヤァ…」


「凄いなぁ…ユフィ…」


「そんな簡単に作れるものなんですか?」


「難しかった、でもこれのおかげ」


そう言って空間収納アイテムボックスから取り出したのは俺が買ってきた図鑑だった。


「これに載ってる、ドラ〇もんっていうロボット?がもってる四次元ポ〇ットを、トウカに説明してもらった」


「それで再現できるの凄いわね…」


「とゆう訳で、ユウキ以外の皆の分作った」


そう言ってユフィがぽいぽいと渡していく。


「じゃ、私部屋に戻る」


まるで嵐の様に皆に空間収納アイテムボックスの魔道具を配っていった。


「凄い…本当に仕舞える…」


耀が試しに椅子を出し入れしている。


「これでお買い物が楽になります!」


「うむ、これで軍の糧食などにも困らないな…」


「鞄もいらないって凄いわね…」


「私も貰ったのだが…良いのだろうか…」


「良いと思いますヨ。それにしてモ、これで無限に弾薬の補充が出来まス」


それから空間収納アイテムボックスに仕舞っていた皆のものを渡して各個人で仕舞うと各々作業に戻って行った。


◇◆◇◆◇◆◇◆

夕食は異世界組がまたもや感動していておかわりの争奪戦だったが楽しく食事が終えられたので良しとしよう。


そして夕食後に耀新衣装が完成したらしく雛菊さんと耀が部屋に来た。


「おーいユウキ君居るかい?」


ノックの音に答えるとまず雛菊さんが入って来た、その後ろに耀が居る。


「さぁ、どうだい?中々に良いだろう?」


そう言って見せられた耀の衣装はゴシック風の衣装で胸の部分に大きな紫の魔石を備えている、胸の部分はレース状なのだが見方によっては透けずに覆ってるように見える。


「……何か言いなさいよ」


「いやっ…ゴメン…あまりに綺麗だから見惚れてた」


顔を赤くしたひかりにポコポコ叩かれる。


「まぁまぁ、これで終わりじゃないんだ、ヒカリちゃん魔法鎧を起動してくれ」


「はい?良いですけど…」


そう言って耀が魔法鎧を起動する、すると今まで肩を覆っていた部分が変化し肩が出て髪色が変化する。


「すごい…」


「魔力の感じが変わった?」


「そうだろう?見た目は肩を出すことになるが魔力の放出とクールダウンが効率的に扱えるんだ、余剰に出る魔力は魔石に吸収され杖に効率よく供給される仕組みだ、髪色が変化するのは元々だが純粋な魔力で余計鮮やかになっているよ」


「あれ?イヤリング?」


「そんなの付けて無かったよね?」


「あぁ、それは余剰の魔力を上手く流す中継でね、ヒカリちゃんの魔力の具現化みたいなものだよ」


「うん、綺麗だよ…耀」


「あっ、ありがとう…」


「おやおや、まだ終わりじゃ無いぞ!」


「「へ?」」


「今は未だ具現化されていないが、魔力の充填具合で様々な髪飾りが現れるんだ、ちなみにランダムで入れてある。君の世界のザッシ?を参考にさせてもらったよ」


「だからさっき冬華ちゃんのとこに行ってたんですね」


「彼女の服の知識は私も舌を巻くよ…残念な事に彼女が裁縫師じゃ無い事が残念でならないくらいだよ…まぁ、それは置いといて。ユウキ君、ヒカリちゃんの魔石に魔力を流してくれないかい?」


「はい、じゃあ耀行くよ」


「えぇ…」


耀の手から魔力を流していく、すると耀の頭部に髪飾りが現れた。


「おぉ~凄い…」


側頭部に近い場所なので部屋の鏡ではなく、大きめの姿見を出して耀の前に置く。


「おぉ~凄い…」


「君ら本当に仲が良いねぇ~それじゃあ私はメアリーちゃんのに取り掛かるよ~ごゆっくり」


ニヤニヤしてる雛菊さんがひらひらと手を振って出て行った。


「そういえばね、この衣装…実は…ここの部分のレースが消せるんだ…」


「え?」


「雛菊さんがね…夜のお楽しみに使えるだろう?って…」


「そ、そうか…」


つい目が向いてしまい咄嗟に逸らす。


「えっと…見る?」


「良いの?」


「うん…流石に他の人には見せたくないけど…優希になら…」


「じゃあ…お願いします!」


「わかったわ…」


そう言うと耀が明かりの魔道具をオフにした。


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耀の新衣装近況ノートに上げておきますね!!

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