|章間|:武術大会(優希編)①

あまり気乗りしない、ガリウスとの模擬戦の為に舞台上に上がる、ガリウスは待ってましたとばかりに嬉々とした声を上げた。


「遅かったじゃねーか!!待ちくたびれたぞ」


「あはは……ガリウスは準備万端だね……」


「おう!楽しみで昨日は6時間しか寝てないぜ!!」


「うーん……十分熟睡してるね」


「まぁ、んな事はどうでもいい。それで何を使うんだ?剣か槍か刀か?まさか徒手空拳ステゴロなんて事は無いよな!」


「ガリウスに合わせるよ」


「言うじゃねーか!!じゃあ徒手空拳ステゴロで行くか!」


「おもいっきし自分に有利なの選んだなぁ……」


「ユウキだってやれるんだろ?」


「まぁ、そうなんだけどね……」


『それでは特別興業、午前の部!!【勇者】カミナギ・ユウキ様VS【獣王】ガリウス・アストラ・ゲルジウ様の模擬戦を開始いたします!!!』


互いに離れて構えを取る、向こうは中国武術っぽい構えでこちらは普通のファイティングポーズだ。


『時間無制限、魔法使用可、それでは!!試合開始です!!!』


「「「「「「うあああああああああ!!」」」」」」


歓声と共にガリウスが飛び出してきた。


「やっぱり早い!!」


身体強化を使い受け止める。


「おいおい、止められるのか……」


「お陰様で昔より強くなってますの……で!」


掴んだ状態で相手の左側頭部目がけて蹴り上げる。


「うおぉぉぉ!!」


ガリウスが驚きながら俺を投げ飛ばす、流石に頬をつま先で掠めるくらいだったが驚かせられた様だ。


「やるじゃねーか!!」


「お褒めに預かり恐悦至極……じゃあ今度は俺から行きますよ!!」


「来いやぁ!!」


接近しつつ残り数メートルの位置で脚に力を込めて飛ぶ、顔面に飛び膝蹴りが当たる高さで飛ぶ。


「フン!!そんなの見え見えだ!!」


そう言うとガリウスが垂直に右脚を上げ踵落としの体勢に入る。


「もらったあああああ!!」


振り下ろされる瞬間ガリウスの右足を左手で弾く、そのまま視界が回転する。


(狙い通り!!小鳥遊流守りの型———流水)


流水で受け流した回転の勢いで右足をガリウスの肩に叩きつける。


―――バキバキ!!


そのまま鎖骨の骨を叩き折る。


そのまま着地して「ふー」っと息を吐く。


思い切り叩きつけたので地面が割れている、流石にガリウスも相当なダメージだろう、ここでやっと実況の声が耳に入る。


『あーっとガリウス様!ユウキ様の強烈な一撃に立てない!!このまま決まってしまうのか!?』


そして土煙の中に居るガリウスのシルエットが変わる、【獣化】をした様だ。


「フフフ……ハハハハハ!!!流石だユウキ!!我が娘と結婚するだけある!!」


土煙は吹き飛ばしながら出てきたガリウスがとんでもない事を言った。


「今なんて言った?」


「今なんて言った!?(大事な事なので二度言う)」


「なんだユキの奴話してなかったのか……ユキは俺の養子になった!以上!!」


「まじかああああああ!!」


「それよりもだ!!この状態になったからにはユウキも武器を使って良いぞ!!!」


「まぁ後の事はぶっ飛ばしてから聞くとして……じゃあ本気のを使わせてもらうか!」


空間収納アイテムボックスから昨日夜にユキから預かった神器を取り出しガントレットに変化させる。


「あくまでそこまでか……いいだろう!!」


高らかに吠えるガリウス、だけど終わりじゃないんだよなぁ……


「は?誰がこれで終わりだと?」


「は?」


「魔装——マルバス」


昨日からわっくわくして作ってた呪文を唱える、両手と両足に魔力の爪が現れ魔力でかたどった獅子の尻尾を生やす。


「待て待て!なんだそれは!!」


途端にガリウスが狼狽したように叫ぶ、


「【獣化】への対抗策で昨日思いついた、ガリウスが獅子だし丁度いいかなって」


「クソっ馬鹿みてーな魔力でやりやがって!!」


「まぁこのモード3分しか持たないからね!!」


魔装状態で飛び掛かる、身体強化と回復魔法を体にかけてるため、許容量以上の力が出る。


「はああああああああ!!」


「がああああああああああ!!」


魔力で象った爪でガリウスを引き裂く、ガリウスも負けじと爪を伸ばすがこちらの足技のが早く弾き飛ばす。


(次は!!)


四足の状態からの飛び出しでガリウスの背後に回るそのまま蹴り上げ連続攻撃を入れる。


「うごぅ……ぐふっ……ぐぞぉ!!」


流石獣王と言わんばかりのカウンターで地面に叩きつけられる、受け身を取る。


そうして降りてきたガリウスと相対する。


「チッ……ノーダメージかよ……負けだ負け!!」


突然ガリウスが【獣化】を解くと、敗北宣言をして仰向けに倒れた。


『え?あっはい!!獣王様の降参により、勝者ユウキ様です!!』


そんなガリウスの元に魔装を解除して寄る、回復魔法を掛けながらガリウスに問いかける。


「もう終わりで良いの?」


「流石に常時ほぼ無限に回復してくる相手には無理あるわ!これ以上やっちまうと本当に殺し合いにしかならねーし……そもそもなんだよその反則技!!」


復活したガリウスが飛び起きて肩を組んでくる。


「元々、刀でやってる魔力の刃を上手く素手でも出来ないかなーってやったんだけど難しくてね、ユキに借りた神器これに魔力を纏わせるのなら出来るかなーってところから思いついた。使った事は無いけど上手くいけて良かった」


「足と尻尾は?」


「脚は元々身体強化の延長で、なんちゃってだから爪ではないかな、尻尾も同じで服のベルトだよ」


説明すると呆れた顔をされた。


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あとがき


作者です。

主人公強くし過ぎかな?と思う今日のこの頃。

次回劉英リーエンと闘います。


71万100PV超えました!!感謝!!

セブンイレブンやん。

昨日は6200PVでした!

それでも読んでいただける方、ありがとうございます!


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