第34話:ナタリアさんと秘密と愛の囁き合い。

7章プロローグの前半の後の話です

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「魔王様、飲み物は何にいたしましょうか?」


「あぁ、飲み物は用意したよ。俺の世界の『ウィスキー』という飲み物でな。俺はあまり酒を嗜まないがそこに居る奥さんと一緒に飲むがいい」


「「っつ!?」」


闇に潜んでいたナタリアさんをあっさり看破すると、二人の息を呑む声がした。


「それで? 俺を試したんですか? それとも騙し討ちでもするつもりでした?」


ニッコリと笑って言うとナタリアさんが暗闇から出て来た。めっちゃ際どい衣装で。


「バレてしまうとは……申し訳ございません」


胸を揺らしながら膝を着く、さっきからリリアーナの殺気が凄いので視線を向けない様に地面を向いている。


「優希様ぁ?」


やめて! 羽根でちくちくしないで! 痛いというよりくすぐったいよ!。


「あ、あの。素性を知らなくて、ウルベリックさんの話を聞いてたら呼ぼうと思ってたんです! それと、なんかちゃんとした服着て下さい!!」


羽根のちくちくに飽き足らず、飛んで俺の顔に頬をぐりぐり寄せて来るリリアーナ。


「え? あぁすみません。奥方様が居るのにこれは飛んだ失礼を……」


ウチの嫁はむくれて飛んでるけどね!!


「すまない魔王様、これで大丈夫だよ」


「リリアーナチェック、お願いします!」


顔を下げれなくなったので代わりに目を瞑っている、なのでリリアーナに判別してもらう。


「大丈夫ですよ、旦那様」


リリアーナのお許しが出たので目を開くと、ナタリアさんがぶかぶかのガウンを着ていた。


「先程は失礼しました魔王様、以前は簡単なご挨拶でしたので改めて。ナタリア・ミローズ、ウルベリック・ミローズの妻です」


以前見せた朗らかな顔とは違い、表情を抑えた暗殺者の様な顔つきだ。


「すまない、妻は仕事モードだとこうなるんだ。でも子供の前だとデレデレになってとろける様な顔をするんだ」


「ちょちょっちょ!? 旦那様ぁ!?」


顔を真っ赤に瞬間沸騰したナタリアさんがウルベリックさんの肩を掴み揺する。確かに凄いギャップだ。


「まぁ、魔王様相手なら話して良いか……元々彼女は裏社会の人間でね、俺を暗殺しに来た所を返り討ちにしたって訳だ」


「でゃでゃでゃんなしゃまぁ!!」


慌てるナタリアさんに動じず続けるウルベリックさん。


「へぇ……毒とかですか?」


「いや、閨で刺し殺そうとしたんだけど、腰抜かしててね……」


「まぁ♪」「えぇ……」「ひゃああああああああ」


閨という事はそういう事らしい、まぁナタリアさんが可哀想だし止めるか。


「あれ? でもナタリアさんってウルベリックさんのお兄さんと結婚する予定じゃ?」


前に催眠した時はそう言ってたんだけど……。


「ちょっと待て、どうしてそれを?」


額に汗を滲ませながら聞いてくる。


「えっと……あったあった、何々奥さんのどこが好きという質問に『強くて、愛情深くて、それでいて本来四男に生まれた私とでは無く兄と結婚するはずだったのに、嫌な顔をせず、卑屈だった私を好きになってくれた所だ、感謝している』って言ってましたよね?」


「ふぇ!?」「まぁ♪」「んなぁ!?」


以前に催眠かけた時の台詞、メモに書いててよかったぁ。


「ちょっと待ってくれ! そんな事を言った覚えが無いのだが!」


「まぁ催眠かけてましたし、覚えて無いですね、でもデギンさん・ダギンさんに聞いたらわかりますよ」


そう言ったら手で顔を覆って隠している、だけど耳まで真っ赤なのでわかりやすい。


「という事で、確認するならあの二人に」


「えぇ……ありがとうございました魔王様、旦那様は中々正直に口に出してくれませんので……」


「そうですよ、女性には愛を囁かなければいけないんですよ、魔王様」


そう言ってしなだれかかって来るリリアーナ、会談の場なんだけど……。


(まぁ良い、乗るか)


「そうだね。いつも助けてくれてありがとう、頼りにしてるよ。それと愛してる」


そう言って撫でるとリリアーナが首元まで朱に染まる。


「ひゃっ……ひゃい……ありがとうございます……」


するとウルベリックさんが驚いた顔をしていた。


「凄いな……俺より若いのに手馴れてるとは……本当に人間かい?」


「人間ですよ、これでも22です。まぁ奥さんが多いので実践する機会が多いだけですよ」


「ははは! まさか好色家だとは思わなかった、ちなみに何人居るんだい?


えっと……耀、春華・冬華、巴、メアリー、エアリス、ユフィ、ミュリ、ユキ、鈴香、里菜、アミリア、セレーネ、リリアーナ、かな? 今の所は。


「14人ですね」


「じゅっ……まぁ刺されても大丈夫そうだし心配しなくても良いか」


「いや、俺も刺されたくは無いですよ!」


「後目争いだけは気を付けておけよ……」


いきなり真剣な顔になって忠告して来るのであった。



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