第35話:古代魔法と酒乱リリアーナ。
お互い落ち着いた所でウィスキーを開けて飲み始める。
「素晴らしいな……こんな美味い酒初めてだ」
「えぇ、素晴らしくまろやかな口当たりですね」
「これは、以前飲んだのより美味しいですわね……」
「あーうん、ちょっと前のより良いやつにしたんだ」
「ずるくないです? 私達の時は安酒だったのですか?」
ジト目で睨んで来るリリアーナ。
「いや、そういう訳じゃ無いんだけど……丁度人へのお土産にできるものが無かったんだよ」
「むぅ……じゃあもっと美味しいの飲ませて下さい」
そう言って膝上に座ったリリアーナが首筋に牙を立て血を吸いだす。その後ウィスキーを口に含み美味しそうに咀嚼する。
「はぁ……美味しいです……魔王様の血は」
恍惚の表情で飲んでるリリアーナに若干苦笑いが隠せてない二人。
「ほらリリアーナ、二人共引いてるから……」
「い、いや……初めて吸血行為を見て驚きはしたけど引いてはいないよ」
「はい、それにリリアーナ姫を見ていると幸せそうなのが伝わってきます」
そう微笑ましそうに笑うナタリアさんに言われ、恥ずかしそうにするリリアーナ。
「でも確か、吸血鬼は生涯で1人の血しか飲めなのでは?」
「はい。死別等、例外などはありますが、基本は1人の血のみです。それに相性というものがありますので、誰でも良いという訳ではありません。特に私は特殊でして、魔王様以外の血は受け付けれないのです」
「そうなのか……」
「でも、それだと吸血鬼という種は、その人を喪ったらもう生きる事は……」
「ありません、喪ったらそこで終わり、後は僅かながら残した血を飲み朽ちるか。思い人と共に冥府まで生き果てるかの二つです。そして伴侶以外の吸血は大罪、同胞によって消されるでしょう」
ゴクリと二人が息を呑む、情報通のナタリアさんも知らなかった様だ。
「正直、数があまり増えない理由も。吸血鬼という数少ない種が上に立ち続けているのも不思議だったが納得がいったよ」
「えぇ、でも高い能力を有するが故の代償、納得です」
そこで二人が気付いたように俺を見る。
「でも、魔王様は人だよね?」
「えぇ、ですので魔王様を喪ったら私は息絶えるでしょう。まぁ、ありえない事ですが魔王様を殺害したなら全てを根絶やしにして、後を追いますのでどうかお見知りおきを」
魔力を出して妖しく笑うリリアーナに二人の表情が凍る。というかリリアーナ、酔い過ぎだな。
「こーら、リリアーナ。大分酔ってるでしょ」
「えへへ~ばれましたぁ~? 優希様の血と~お酒の相性があまりに良くてぇ~」
ふにゃりと表情と魔力を崩し笑うリリアーナ。なんだこれ普段より可愛いぞ。
「はいはい、お酒は終了。すみません、ちょっと椅子出しますね」
リリアーナをお姫様抱っこで抱え、座っていた椅子とリリアーナの椅子を
「はい、寝てて良いからね」
「ふぁ~い~Zzz……」
そう言うと眠りに落ちてしまった、というかリリアーナってお酒強い筈なんだけどね……俺の血を混ぜて飲んだからかな?。
「すみません、リリアーナが。椅子は後で戻しますので」
「お、おう。何をしたのかわからないけど……凄い事をしたんだろうなという事だけはわかる……」
「まさか、それは古代魔法ですか?」
「「古代魔法?」」
「はい、かつて数千年前に現れこの国の基となるグリルニムス教国を救った聖騎士様も同じ魔法を使っていたと」
グリルニムス教国? もしかして……。
「グリルニムス? グリームスじゃなくてですか?」
「わかりません。私が、組織による学習の際に読んだ歴史書にはそう書かれていました」
「その歴史書って、今も手に入ります?」
「えぇ、ですが写本ですよ」
「ナタリア、その本は何て名前だい?」
「【フィルレイシア建国記・外伝。
「うむむ……外伝は我が家には無いな。都市の本屋か、そこに無ければ王都の本屋だな」
「わかりました。その内王都にも入り込むので、その時に探してみます」
「すまない、力になれなくて」
「いえ、実は探していた情報に近しいものでしたから、僥倖です」
「そうか、それなら良かった。それで本題についてだが……」
「えぇ、ここからの動きなのですが……」
その日は朝日が昇る前にまでこれからの計画を話すのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、ほーら皆。起きた起きた」
爆睡してるリリアーナを置いて他の皆を起こす。
「おはよう……ユウキ……」
「おはようございますぅ……朝は豪勢な食事がいいですぅ……」
「んふぁぁぁぁあユウキさんオハヨウゴザイマス~Zzz……」
「おはよう、アミリア。ほら、セレーネは二度寝しないで起きて。今日はレギルたちと会うんだから。それとロップルさん、朝食は普通のです」
「そうだったわね……ほら、セレーネ起きるわよ」
「うぅ……そうでしたぁ……けど眠いですぅ……」
「うぅ……高級肉……カムバック……」
とりあえず眠そうながら起きた様だ。
「それじゃあ着替えて下に降りてきてね、リリアーナは朝まで起きてたから起こさないように」
「「「はーい」」」
俺は皆の返事を聞くと一足先に階段を降りるのだった。
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作者です!
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