第12話:宝石獣の少女・前編
長くなったので前後編に分けます!
---------------------------------
二人が寝静まった後、結界魔法を貼り外へ飛び出す。少し気なる噂を耳にしていたからだ。
「とは言っても、噂だけで情報が全くないのも困りもんだよなぁ……」
となると、あそこに行くしか無いか……。
見えるのはこの街一番の建物、豪華な装飾が施され松明の明かりが煌々としている。
念の為に買っといた、成金お金持ちに見えるゴテゴテした服を物陰で着替える。
「よし、これでいいか」
そのまま施設へ足を向ける、屈強な門番の居る受付をすんなり通され中に入るとここだけ世界が違った。
逆バニーだっけ? アレの様な服を着て大事な所を薄い前垂れの布で隠した女性が練り歩き、脂ぎったおじさんがその女性を尻を揉みながらカードゲームに興じる。その奥では剣闘士だろうか、上裸の男同士が剣と盾で攻防を繰り広げ、そこに熱狂するご婦人達。
噂だと、ここで行われてると聞いたんだけどな……。
「はぁ~い、お兄さん遊んで行かないのぉ?」
先程の煽情的な服を着た別の女性の二人組が声を掛けてきた、賭博場に着て遊ばないのも疑われるか。
「えぇ、ここは初めてなので、どういったものがあるか見ていたんです」
「そうなのねぇ~じゃあせっかくだし、カッコイイ新人くんには私が付いちゃおうかしら♪」
「あ~先輩ぃ、ずるいですよぉ~」
更に小柄だが豊満な胸を押し付けて来る女性が加わる、巴ちゃんと同じくらいの身長で、巴ちゃんよりデカい!
「それじゃあ、お二人にお願いしましょうか」
そう言うと二人に連れられ、別のカードゲームテーブルへ連れて行かれる。
「キミはブラックジャックで遊んだことはあるかしら?」
「あーそれだったら、昔酒場に来た冒険者のおじさんに教えて貰いました。たしか21に合わせるんでしたよね?」
「せいか~い! でもここではお金をかけてもらいま~す!」
それから二人に色んな所をまさぐられながら説明を聞く、その後ゲームが始まる。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「おっ、又21(ブラックジャック)だ」
「「は?」」
「いやー、運がいいねぇ~」
既にディーラーが三人変わっているが、相変わらず大勝をしている。
元々あった元金の4~50倍は稼いでいる。
「それじゃあ、そろそろ……」
「あ、あら? もうおわりなの?」
「え、えぇ~つまんな~い」
若干というか、かなりドン引きされている二人に断り席を立つ。
そして換金所に向かい、換金を待っている途中、背後から声を掛けられた。
「お客様、少々よろしいでしょうか?」
「あ、はい。どうかしました?」
執事服を身に纏った、老紳士が声を掛けて来る。
「私、この賭博場オーナーの秘書を務めています『ゼカリヤ』と申します、初心者ながらとても大変幸運なお客様がいらっしゃると聞きお声がけをさせていただきました」
「あ、はい私の事ですね」
「それで。もしよろしければ、この後特別な催しが行われます。そちらのチケットをお客様へお渡しさせて頂きたく思った所存です」
「へぇ……特別な催しですか……」
(これは当たりっぽいな)
「わかりました、どのくらいで始まるんですか?」
「えぇ、もうすぐ始めさせていただきますので、こちらへどうぞ」
通された先は地下に続く階段で、そこ降りると大きな闘技場があった。
すると先程の二人が部屋に入って来る。
「やっほ~また来ちゃった」
「来た当日にここに呼ばれるんなんて、いつ以来かしら?」
そう言いながら二人が両隣に付いてそのまま革張りの高級そうな観覧席へ座らせられる。
「ここは何する所なの?」
「うーん、私は初めてだからわかんない!」
あっけらかんと答える子と、少し言い辛そうにする女性。
「ここは闘技場よ、借金苦に身を落とした奴隷や。魔王領で捕らえた魔人と呼ばれる人たちとこちらの人間が戦う……」
この後の事を想像してるのか少し顔が青い。
――カチャカチャ。
「っておい、何故ベルトを外そうとする!」
「え~だってぇ~そういうご奉仕も含めて、
「あぁ、そういうのは良いから……」
「えぇ~つまんな~い」
「お客様に失礼をするんじゃありません」
そう言って先輩の女性が後輩ちゃんにチョップをしている。
『皆様お待たせしました! 今宵の裏闘技場へようこそ!』
司会っぽい人が色々と喋る、賭けの仕方や部屋の事、備え付けの女性の事も説明が入る。
(うーん、悪趣味だな)
この子達も基本は奴隷身分の子で、買い取ることも可能という。そして出てくる魔人も気に入れば購入することが出来る、との事だ。
1~8戦目は非常に激しい借金奴隷たちの戦闘で、勝った者の中には買われていく者も居た。
『さぁ! 本日のメイン!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます