第11話:耀の不安、旅の準備完了

それからディナーを食べ終え二人で、自宅最寄り駅まで帰って来た。(ちなみに俺はかなりお腹いっぱいだったので半分くらいメアリーが食べてた)


「あーっ…優希さン…」


「どうした?メアリー?やっぱりお泊りする?」


「そっ…それハ!まだいいでス…」


「じゃあどうしたの?」


「えっト…優希さんの呼び方でス…」


「俺は別に好きに呼んでくれていいよ、メアリーの呼びたい呼び方で良いんだよ」


「でハ…普段は旦那様デ、二人きりの時ハ、名前でよろしいですカ?」


「呼びづらくなければ良いよ、それにメアリーに旦那様呼びされるのも悪くないしな」


繋いだ手とは逆の手で頬を掻く、少し恥ずかしいけどそれも良いだろう。


「では優希さン!帰りましょウ!」


メアリーに引っ張られマンションの入り口を潜った。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「ふーん…それで帰って来たんだ」


「うーんまずかったかな?」


隣に座る耀に問いかける。


「大丈夫よ、メアリーは恥ずかしがり屋なだけだから、あの子のペースで待ってあげてね、それに年上だし自分の事くらい自分でわかるわよ」


「そっか…ならよかった…」


そう言ってメアリーを見るとウッキウキで俺が先程作った花瓶に薔薇を活けている。


「それにしても病院で私にプロポーズした優希が、クルーズ船の上でなんてねぇ~」


露骨にニヤニヤしてつついてくる耀。


「何かゴメンな…華が無くて…」


「良いわよ、病床の優希なんて今はもう珍しいもの、逆に誰もしてないプロポーズなんだもの」


「逆はメアリーにされたけどね…」


「おっ言うねぇ、じゃあもう一度どっかでプロポーズしてもらいましょうか…」


「そうなったら豪華にしないとな…」


「はぁ…確かに豪華なプロポーズも良いけど、私は割と素朴なものが良いわ…」


「そっか…、じゃあうんと派手にしないとな」


「話聞いてた!?」


「耀が良くても俺がやりたいの」


「じゃあ、しょうがないか」


そう言って耀は苦笑いをする。


「耀…ありがとうな」


「ん、私もありがとう」


「俺、耀に感謝される事したっけ?」


「これだけ、沢山の魅力のある子達に囲まれてるのに。私を捨てない事かな」


少し甘えて腕にひっいて来る耀。


「捨てる訳ないじゃん、俺の人生の大半を占めてるんだから」


「そっか…」


そう言うと今度はすりすりと腕に顔を押し付けて来る。


「どうした耀?」


「なんとなーく」


(うーん。これはなんかあるな…)


「そっか、じゃあ寝ようかお姫様」


「わわっ」


お姫様抱っこで耀を持ち上げる。


「メアリー」


「何ですカ?旦那様」


「俺と耀は寝るけど…メアリーはどうする?」


抱かれている耀を見たメアリーは少し考えて。


「私ハ…今日はやめときまス」


「そっか、おやすみ」


「おやすみなさいでス。旦那様、耀さん」


ベッドに耀と共に入り耀を撫でていると耀がぽつりぽつりと話し始めた。


「明日の夜に異世界に行くじゃない?」


「そうだね」


「絶対、優希の事好きな人いるなーって思ってね」


「どうだろう…考えすぎじゃない?」


「むぅ…優希は異世界救ってるんだよ?そんな人ほっとく訳ないじゃん」


「それに絶対綺麗な人だし…」


「うーん…」


「本当にそんな人居るのかな…」


「政治的にならいるわよ、優希の血を欲しくてたまらないだろうし…」


「そこまでなのか…」


「そこまでの事よ」


「まぁ何かあったら逃げるよ、こっちの世界には追って来れないし」


「そうね…」


「それに耀が居なきゃ、俺はダメ人間だしね」


「もう…そんなこと無いでしょ…」


「だって皆の事だって、耀に背中押してもらわなかったら、どうすればいいかわからなかっただろうし…」


「それ位は自分で考えなさいよ…」


「いやー、アドバイス貰えるのが幸せだなぁ…」


「まったく…」


そう言うと耀がより抱き付いてくる。


「すぅーはぁー」


「ちょ、くすぐったいって…」


「まったく…これでも、心配してるのよ」


「そっか…ごめんな」


「いいのよ、私が優希と共に居て選んだ道なんだから、ずっとついていくわ。だから…置いてかないでよ」


「あぁ…耀を置いてどっかには行かないから…」


そしてゆっくりと月に照らされながら互いに眠りに着いた。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「よし、それじゃあ準備は大丈夫か?」


俺は、綴さんと鳳さんが持ってきた最新鋭のボディースーツに身を包みその上に向こうで来てた服を、武器は鷲司さんが持ってきた新しい刀を佩き準備を終える、俺の着替え等は昼の内に空間収納アイテムボックスに入れてある。


「よかったわ、間に合って」


「これ…動きやすいですね。ありがとうございます、綴さん」


「しかし、優希君おっきくなったわね…」


「あはは…一応肉体年齢は5年後の姿ですから」


「優希、荷物はこれくらいね」


「うおっ…なんか凄い量だな…」


「まぁ…色々あるから」


「まぁ、いいか。荷物はそこに置いといて」


「はーい」


「おにーさん!」


「おにーちゃん!」


入れ替わりに春華と冬華がくっついてくる。


「どうですか?」


「どう?この衣装?」


春華と冬華は専用のボディースーツを着ていたそこにアレンジしたTシャツとスカートを履いている、ぱっと見ストリート系のファッションにも見える。


武器の方も改良されていて春華は今までは腰に備えた武器が取り出し易い様に前腕部に装着している、盾の方は四隅の部分に硬質の金属パーツを装着して打撃及び刺突が出来るようになっている、小太刀の方は小鳥遊のお爺ちゃん謹製である。


冬華は数種類の鏃を新たにした矢筒を腰に備えている、底の部分に磁石が入っていて逆さにしても落ちない様になっている、それと番える左手に小型のバックラーを背中に弓を備えている、太ももに俺が使ってるのと同じ投げナイフを装着している。


「うん、二人共似合ってる」


「ありがとうございます!」


「やったね!」


耀の装備については異世界のが見つかるので保留にしている。


なので普通の服にアンクルパンツを履いた状態だ。


一応護身用のハンドガンは持たせたけど使わないに越したことはない。


「お待たせしましタ」


少し遅れてメアリーがやってくる、いつものロングスカートに各種弾倉を装着したマガジンポーチを装着している、弾は全部で5000発くらい持たされた。


メアリーの武装はPGM ヘカートII1丁、ベレッタM92二丁、隠し玉のデザートイーグルMark.XIX1丁だ。


因みに俺達、魔力使える組が魔力を込めて撃ったら駐屯地の壁をぶち抜いてしまったので常用出来ないとなった。


因みに春華ちゃんはその弾をぶった斬りました(撃たれてから抜刀して)。


「メアリも荷物はそれだけ?」


「はイ、これで全部でス」


お茶やらお菓子屋らが大量に入った段ボールを置くメアリー


「じゃあしまっちゃうよ」


空間収納を使い全部仕舞うと感嘆した綴さんの声が聞こえた。


「本当に凄いわね、その魔法…」


「あはは…転移も凄かったでしょ?」


「あれには驚いたわ…」


「優希~そろそろ時間~」


耀に呼ばれたので皆の集まる地点へ向かう。


「じゃあ里菜ちゃん綴さん行ってくるね」


「巴ちゃん、里菜さん、綴さん行ってきます」


「巴ちゃん行ってくるね!里菜おねーちゃんも綴おねーちゃんも元気でね~」


「綴さん鳳さん行ってきます」


「気を付けてね」


「お気をつけて」


「気を付けて下さい」


「それと、巴ちゃん」


「はい?」


「留守は任せた」


そう言うと握りこぶしを作った巴ちゃんが元気に答える。


「はい!任せて下さい!ここが私の戦場なので!」


そして軽くキスをすると綴さんと冬華が「ヒューヒュー」と囃し立てる。


「それじゃあ皆!行くよ!」


神様に貰ったお札を使い転移する、行き先は世界樹の湖のほとり、つまり出発地点だ。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「本当にいかなくて良かったの?」


「はい!それに少しきな臭い動きしてる人たちが居るんですよね?」


「全く…どこから情報を仕入れて来るんでしょうか…」


「紡家怖いわね~」


「そうだ、明日用事無ければこの後、我が家にに泊まりませんか?」


「良いわね、明日は仕事も無いし、美魚さんに連絡してきます」


「私は…遅番の仕事だから明日のお昼には帰っちゃうけど…大丈夫よ」


「それでしたら、どうぞ我が家に!」


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作者です。


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