第39話:リリアーナ・ノーブルブラッディ②

「はあぁぁぁぁ!!」


リリアーナさんが出してきた剣を咄嗟に空間収納アイテムボックスから出した剣で受け止める。


――――ガガガガガン!


波の様に一振りの剣が5連撃を与えて来る。


(1撃かと思ったら五回!?)


「やはり防がれますか……ではこれなら!」


リリアーナさんが地面を踏むと俺の影から赤い刃が飛び出してくる。


「うわっと!?」


「流石カミナギ様!」


跳び下がった俺の動きに合わせてリリアーナさんも詰めて飛んできた。


「あはははは! 凄いです!」


数の増えた深紅の剣でドリルの様に回転させて突っ込んで来る。


「これならば!」


――ガガガガガガガ! バキン!!


強化していた量産品の剣が削られ砕かれる、まさか壊されるとは……。


「くっ……」


「あははは! これでもダメなんですねぇ!」


「今の凄いな……どうやったんだ?」


凄まじい威力の攻撃に舌を巻いて聞くと、凄く嬉しそうな顔で答えてくれた。


「カミナギ様の魔力を纏わせたわたくしの血ですわ♪」


「血?」


「えぇ、躁血魔法という魔法で、武器や防具を纏う事が可能ですの、特に私はそれに吸血や吸収した相手の魔力を乗せることで相手の防御を抜くことが出来るんですの!」


つまり今の俺の防御は、俺自身の攻撃で崩されてるって事か。


「だったら!」


刀を取り出し従来より強めの魔力を込める、これなら壊れづらいだろう。


「くっ! さっきとは太刀筋が違う!?」


五振りの剣を纏めて弾き返す、このまま武器を破壊すれば止まるだろう。


「はぁっ!」


打ち上げた剣を叩き折ろうと横薙ぎの攻撃を当てる瞬間刀がリリアーナさんに吸い込まれ身体を切り裂く。


「え?」


思わず途中で力を抜いてしまい刀が止まる、その瞬間リリアーナさんの顔がこちらを向きニヤリと笑う。


「今っ!」


刀を手放し、後ろ飛びでリリアーナさんの攻撃範囲からギリギリ抜ける、服が綺麗に割け薄く切りつけられた肌が見える。


「まだ! 私の攻撃は終わってませんわ!」


鳩尾あたりに刀が刺さった状態で突っ込んで来るリリアーナさん、先程斬れた身体はドレスごと再生してる。


(いやいや、ありえないでしょ!?)


空間収納から新しい剣を取り出し受け止める、安物じゃ初撃か2撃目を防ぐのが精一杯だ。


そのままリリアーナさんの懐に入り刀を引き抜け……ない!?


「捕まえましたぁ♪」


手の上から刀ごと握られ骨が悲鳴をあげる。


「凄い力ですね……」


「えぇ、吸血状態の吸血鬼は竜の首を折る事が出来る位ですので♪」


「それは……凄いですねっ!」


左腕に魔力纏わせ右手首から切り落とす、ついでに刀を回収する。


「あぁぁぁ! これでもダメなのですか!」


「いえいえ、流石に今のはヒヤッとしました、今までに戦い方をするので対処が遅れました……」


「むぅ……そうは言いますが、全くダメージが入ってないじゃ無いですか!」


再度、武器を。今度は倍の10本の刃にした剣を振って来る。


「これで! どうです!」


「ふっ!」


剣を破壊しながら受け止める、だが先程よりも威力が下がっている。


(下がってる? 魔力を大分使ってるからかな?)


弾き飛ばすとリリアーナさんが膝を着く。


「リリアーナさん!」


「来ないで下さいカミナギ様!」


駆け寄ろうとしたらリリアーナさんが叫ぶ。


(待てよ……何で今日にした? 今日は吸血の日、つまり吸血鬼は魔力を補充している、それを今回は魔薔薇で代用してる?)


「考え事ですか!!」


今までの血液を大剣にしたリリアーナさんが迫る。


(多分、ここで終わりにしないとリリアーナさんの身体が駄目になる気がする……)


「はぁぁぁあああああ!!」


「『小鳥遊流刀剣抜刀術改——風影斬ふうえいざんごう!』」


纏めた斬撃を横から大剣にぶつけ砕く、するとリリアーナさんの力が抜け倒れ込んでくる。


「よっと……」


リリアーナさんを受け止めそのまま抱き上げる。


「カミ……ナギ様……」


「リリアーナさん。今、死のうとしましたよね」


「うっ……」


目を逸らして黙るリリアーナさん、とりあえず回復のために少し切った指をリリアーナさんの口に突っ込む。


「どうしてこんな事をしたんですか?」


「ふぉれふぁ(それは)……」


「ともかく、先に吸血をして下さい」


「(ふるふる)」


仕方ないな……。


舌を嚙み切って、強引に口付けをして流し込む、リリアーナさんがびっくりした顔をしているが気にせず飲ませる。


「——んくっ、んくっ……」


そのまましばらく飲ませると、リリアーナさんの顔色が良くなって来た。


「それで、どうしてこんな事したんですか?」


口内を回復魔法で治してリリアーナさんを座らせるとバツが悪そうな顔をしている。


「話したくないなら仕方ないですが……俺としてはちゃんとリリアーナさんと話をしたいと思ったんです」


そう言うとリリアーナさんな少し悩んだ後顔を上げた。


「それは……私が居無くなれば。このままカミナギ様が憂いなく、全ての事柄をこなして行けると思ったのです……」


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