|幕間|上凪家と結菜
「んっ……んんっ……ここは……」
目が覚めると見知らぬ天井だった……。
確か私は優希さん達と異世界で新しい装備の試運転をしていたはず……。
「目が覚めましたカ」
「!?」
声の方向を見ると、目を見張るほどの美人な銀髪メイドさんが居た。手に持ったお盆には日本でよく見る青いラベルのスポーツドリンクが載せられている。
「こちらスポーツドリンクですガ、飲む事は出来そうですカ?」
コップに注がれたのを手渡される、喉も乾いていたので美味しさが体に染みる。
「無理しなくて良いですヨ、ゆっくり飲んで下さイ」
「は、はい……」
「申し遅れましたネ、私はメアリー=アーリンストン。優希様のメイドであり妻の1人でス」
そう言って正座からの礼で綺麗な銀髪が地面に広がる、というか優希さんメイドさんも奥さんにしてるんだ……。
「わ、私は
ソファの上で正座をして頭を下げる。顔を上げるとメアリーさんは柔らかい微笑みを浮かべている。
(綺麗な人だなぁ……)
「そうだ、今は深夜ですがお腹は空いていませんカ?」
――くぅ……。
恥知らずな私のお腹の虫が鳴る。
「えっと……はい……」
「ふふっ、それでしたらご用意しますので、少々お待ちください」
「あっ……はい……」
微笑みを浮かべながらダイニングキッチンへ向かって行った。
(メアリーさんは深夜って言ってたけど。一体、何時間寝ていたのだろう、放課後異世界に向かってから少ししてだから……)
スマホを見ると深夜三時になろうかという所だ。
(九時間も寝てたの!?)
道理で頭がとってもスッキリしている訳である。
「お待たせしましタ、卵雑炊でス。熱いので気をつけて下さイ」
「はい……ふぁぁぁぁ~」
ふわっと香るだしの匂いと、卵の黄色に散らされた青ネギ。
よく知っている、シンプルな卵雑炊である。
「一応関西風のお味にしていますガ、関西風は作り慣れていないのデ、味が濃かったら申し訳ありませン」
「い、いえ! とっても美味しそうです!」
――くぅぅぅぅぅぅ……。
先程より、長く大きなお腹の虫が鳴る。
「うぅ……二度も……」
顔に熱がこもる、一度ならず二度までも……自分の節操の無さに茹ってしましそうだ。
「大丈夫でス、私しかおりませんのデ」
そう言ってお茶碗によそってお盆に乗せて渡してくれる、蓮華で掬い息を吹きかけてて冷まし、一息に口へ入れる。
「んんっ!?」
凄く美味しい!? まろやかなだしの味に少量の醤油、そしてほんのりと感じる卵の甘味……メアリーさんは謙遜していたが今までにない位に美味しい。
「お味はよろしかったでしょうカ?」
少し不安そうな顔でメアリーさんが聞いてくる、想像以上で手が止まっていた……。
「凄く美味しいです……今までこんな美味しい卵雑炊は食べた事無いです!」
「それは良かったでス、まだたくさんあるので沢山食べて下さイ」
そう言って笑うメアリーさん、その言葉は嬉しいけど……深夜に大量に食べるのは……。
「あーでも……深夜にたくさん食べるのは……」
「大丈夫でス、旦那様の元で魔法の訓練を行っていると消費カロリーはとてつもないですから」
そういえば、優希さんとの訓練を始めてからお腹が減るスピードが速くなったように思える、食べる量も少し増えた様な。
「心配でしたラ、後でお風呂の際に体重計は用意してありますのデ、計ってみると良いかもしれないですネ、きっと驚きますヨ」
うーん、確かに目の前に居るメアリーさんは出るところが出ていて引っ込むところが凄く細い、そんな人が言うのだから心配は無さそうだ。
「それでしたら……おかわり、良いですか?」
「はイ、任せて下さイ」
お茶碗によそられる、雑炊の期待感に私のお腹の虫が余計に大合唱をし始めるのだった。
◇◆◇◆
そして食事の後にお茶をいただき、用意されたお風呂もいただいてしまった。
「うぅ……なんかここに居ると罪悪感が溢れて来ます……」
「優希さんが連れて来たのですかラ、お気になさらずにお寛ぎくださイ」
お風呂上がりのお茶を持って来たメアリーさんが隣のソファーに座る。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、それよりも麦茶で良かったでしょうカ? 冷たいお茶で常備しているののがそれだけになってしまっているのですガ……」
「あっ、大丈夫です! いただきますね!」
氷の入った麦茶を飲む、これもまた凄く美味しい……。
その時リビングの扉が開いて、可愛らしい女の子が入って来た。
「…………誰?」
「優羽ちゃん、こちらは京都校でのお父様のクラスメイトでス。魔力切れで寝込まれてしまっていたのですが先程起きられたんですヨ」
「ど、どうも。土御門 結菜です、陰陽師をやってます」
「
そう言って頭を下げる優羽ちゃん、なんか凄くしっかりしてるような……。
「私の方が優希さんに、色々迷惑をかけてしまっていますので……いつも助けてもらってます」
「お父さんの人助けは趣味……生きがいみたいなものですから、気にしないで下さい」
「そ、そうなんですね……確かに、そうかも……」
普通だったらここまで面倒見てくれる訳ないし、そう言われると何か納得できる。
「そうだ、お父さんのお話を聞かせて下さい、京都で何をしているか知りたいです」
「それは私も知りたいでス」
隣に座る優羽ちゃん、その前に差し出される麦茶、いつの間に……。
「まぁ。もう寝れないですし、朝まで語りましょうか……」
私がここ数日のとても濃密な時間を思い出しながら、話始めるのだった。
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作者です。
【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!
228万7000PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も4万4300超えました!!
毎日ありがとうございます!!
☆も1322になりました、1320超えました!ありがとうございます!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
気付いたらブクマも6100超えました!!感謝!!
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