第69話:決闘都市へ到着

それから他の皆に聞いて回ると、鳳さんの事は二つ返事でOKが貰えた。


寧ろ「何で私達に聞くんですか?」と首を傾げられたりとか「ユウキなら二つ返事でOKすると思った」とか「まだだったの!?」とか言われた、俺って……。


その後、明日向かう事を伝え、ゴンさんへ説明すると学校への説明などをしてくれるとの事だった。


そして翌日、俺と鳳さんと優羽とユキで異世界へ出発した。


「はい到着、優羽大丈夫?」


「はいです、優希さん」


「ユウキ様、いらっしゃいませ」


異世界に到着すると、ガリウスの側近のジーヴさんが待っていた。


「あれ、待たせちゃいましたか?」


「いえ、こちらで待機するよう仰せつかっておりましたので……」


「そうだったんですか……すみません」


「大丈夫です、ご主人様の無茶はいつも通りなので」


そう苦笑いするジーヴさん。


「それでは、ご案内しますね」


それからガリウスの元へ向かい、ユキの身分証明などを表した徽章を受け取る、そして今その部族の元へ向かっている、人力車で。


「わっわわわわわあぁぁ!?」


「ほら、優羽こっち」


段差で跳ねた優羽を膝の上に乗せる、舗装と言っても荒野に砂利と砂を撒いて押し固めただけの物なので所々でこぼこしている。


「大丈夫だった?」


「は、はひぃぃぃ……だいじょうぶです優希さん」


「到着するまで膝に乗ってようね」


「はいぃ……」


優羽の耳が赤くなる、まぁ家族とはいえ恥ずかしいもんなぁ……。


「そっちはどう?」


「だだだだだいじょうぶですすすすっす」


「はわあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!?」


二人共悲鳴を上げている、大丈夫かな?


「すみませーん! 一旦止めて!」


そう言うと急ブレーキで止まる人力車、上がる悲鳴が起きる。


「優羽はちょっと待っててね……」


「はひぃ……」


目をまわしてる優羽に回復魔法ヒールをかけて後ろの人力車へ行くと座席からずり落ちかけてる鳳さんとユキが居た。


「大丈夫二人共?」


「大丈夫です……」


「大丈夫ですぅ……」


「とりあえず回復魔法をかけるね。それと、すみません少し休憩しても良いですか!?」


回復魔法をかけて車力しゃりきさんに声をかける。


すると馬人族の女性二人が手を上げて答えるたので、鳳さん達に向き直る。


「それはそうと、何か飲む?」


「お水を……」


「私も……おねがいしますぅ……」


空間収納アイテムボックスからペットボトルを出して手渡すと、二人共ゆっくり飲み始めた。


「それじゃあ二人共、俺は車力さんと話してくるね」


「わかったわ」「わかりました~」


それで車力さんの元へ向かう。


「すみません、途中で止めちゃって」


「あぁ! 慣れっこだもんな!」


「そうよ~ ガリウス様に比べれば優しいわよ~」


そう言って二人共耳がせわしなく動く、見てて可愛いな。


「それで今、どのくらいの行程まで来てますか?」


「あぁ、今はえっとな……あっ、ここだ、ここ」


そう言って地図を見せて来ると、半分を過ぎた所らしい。


「ありがとうございます、そうだ何か飲みますか?」


「そうさねぇ~フルーツジュースとかあるかい?」


「ありますよ、ほうれん草とか食べられますかね?」


「ほうれん草? あぁ~大丈夫だよ、馬と違って馬人族の食生活は人だからね」


「好き嫌いはあるけどね~」


「それなら……お手軽に……」


空間収納からパックの野菜ジュースを取り出す。


「この細い棒をこうやって、伸ばしてここの銀のとこにさしてみてください」


「こうやるんかい?」


「ほ~凄いわ~」


「ではでは、どうぞ」


そうして手渡すと不思議そうにストローを吸う。


「!?!?!?」


「美味しい!!」


「これ何て飲み物だ?」


「野菜ジュースですね」


「野菜がこんなに甘いのか……」


「そうですね、色んなフルーツなんかも入ってますから」


「私これすき~」


そう言って持ってきた6本を飲み尽くしてしまった。


「ふぅ……ありがとう勇者殿」


「美味しかったわ、勇者様」


それから回復した優羽も水分補給をして走り出す。


「どう二人共?」


「今度は大丈夫です!」


「えぇ! さっきよりは楽よ!」


身体強化のゴリ押しで耐える二人、というかこの人力車が壊れないのが不思議なんだけど……。


そうして、お昼手前には件の部族へ到着した。


◇◆◇◆◇◆◇◆

入り口には門番が二人いて、それなりに発展しているように見える……。


だが労働者の大半は首に魔道具を付けた奴隷達だ。


「こんな典型的な集落があるのね……」


「ですね」


「だね~」


「それじゃ、あたしらは一旦戻るさね


「あ、はいありがとうございます」


「迎えは良いのかい?」


「はい、大丈夫です」


「そうかぁ……またあのジュースのみたかったんやけどね……」


相方の方が言うと二人共耳が垂れてしまう……。


「じゃあ今度、差し入れに来ますね!」


そう言うと二人共耳がピンっと立った。


「それは本当か?」「破ったら後蹴りするわよ!?」


「わかりました、この件終ったらガリウスに渡しときますよ」


「「やったぁ!!」」


抱き合って喜ぶ二人、尻尾もゆらゆら上機嫌に揺れている。


「それじゃあ行きますね」


「「はーい、またね~」」


二人に見送られ門を通る、すると速攻に囲まれた。


「おい兄ちん、いい女連れてるじゃんえーか」


「え? いい女しか聞き取れなかったんだけど」


「てめぇ!!」


そう言って聞き返すと狼人族の男が懐から手袋を投げつけてきた。


「うわ、汚い」


黄ばんでたのでそのままはたき落としたけど


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