第51話:神器の作成装置

「マリアン、いるー?」


神様の空間に転移するとマリアンが何やら怪しい装着を弄っていた。


「あ、優希さん! もしかしてもうできちゃいました?」


「うん、出来ちゃったんだけど不味かった?」


アニメで見る様な培養器が付いた装着を見上げる。


「いえ、大丈夫です! この装着は趣味みたいなもので。私の神力を液体にして宝珠や武器に閉じ込める為の装着ですから」


「そうなのか、俺はまた。この中に人間を入れてホラー作品に居るモンスターでも作るのかと思ったよ」


「そんな酷い事はしませんー、これでも私、女神ですよ?」


「そういえばそうだった」


「酷い! いくらイケメンの優希さんでも許しませんよ!」


「あはは……マリアンは。ほら、気の良い友達感覚だからさ!」


取り繕ったように言うとジト目をしていたマリアンが大きなため息をつく。


「仕方ないですね、私は寛大な女神なので許しますよ」


「そうしてくれると助かる……」


「それにしても、あの時のお友達発言は、出任せじゃ無かったんですね……」


「心外だなぁ、流石に出任せで友達とか言わないよ……」


「でも優希さん軽いからなぁ……」


訝しむ様な目で見て来るマリアン、少し反撃するか……。


「心外だなぁ……これでもマリアンの負担が減るように不眠不休で急いで作って来たのに……」


肩を落として悲しそうなふりをすると慌てだす。


「えぇ!? そんな! 私3日も爆睡しちゃいましたよ!?」


「いや、嘘です」


「酷い! 騙したんですか!?」


「いや、休みはしたけど。毎日剣は打ってたよ……」


「すみません、本当なら私が神器の制作を行わないといけないのに……」


「まぁ、適材適所というにはほど遠いけどね」


「いえ、それでも助かりました!」


作った武器を台座に置くと自動的に培養槽の中に移される。


「それと、これを入れてっと……ぽちっとな」


拳大の宝珠を複数入れてスイッチを押すと虹色?に発光し始める。


「なんか凄い色なんだけど大丈夫?」


「だ……大丈夫なはずです!」


――ゴウンゴウン、——ガガガッ!


「変な音し始めたんだけど……」


「だ、大丈夫なはずです!」


それから心配になりつつ眺めていると光が収まって来た。


「良かったぁ……壊れなくて……」


胸を撫で下ろすマリアン、培養槽の液体は無くなり、宝珠の色が混ざり合い各武器に収まっていた。


「大丈夫そうだな」


「良かったです……はぁ、つかれたぁ~」


へたり込むマリアンを支えて椅子へ座らせる、なんか凄い疲れてるな。


「良かったら、お菓子食べるか?」


「良いんですか?」


「あぁ、とはいっても俺の世界のお菓子だけどな」


「優希さんの世界のお菓子は大好きです! この間、皆さんとお茶した時に食べさせてもらったんですがすっごく美味しかったんです!」


前のめりになって来るマリアン、さっきとは違い元気だ。


「じゃあお菓子とお茶を置いておくから、休んだら渡しに行ってあげてね」


「わかりましたぁ~」


置いたお菓子にパクつきながら手を振るマリアン、その姿に少し苦笑いをして戻った。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて戻って来たけど……皆はどこにいるかな?」


戻って来ると工房には居なかったので魔力を頼りに歩く。


とりあえず訓練場に居るアミリア達の方へ向かうか。


訓練場に入るとアミリアとセレーネが模擬戦を、シア&クロコが観戦をしていた。


「ふっ! はっ! はぁぁ!!」


右手左手、からの舞う様に空中で身体を捻り踊るように連撃をする。


「わっ! ちょ!? きつい!」


大太刀で受け止めるがアミリアの双剣で弾かれる、そのまま下がるがぴったりとくっついて連撃を与える。


「まだいけるでしょ!」


「そうだけどぉ!」


次第にアミリアの動きが速くなりセレーネが壁際に追い込まれる。


「ああ、もう! 知らないんだから!」


そう言うとセレーネは宝石魔法で自身の周囲に様々な魔法を発動して放つ。


「わわっ! 流石セレーネ!」


魔法を斬り、身体を捻り避けるアミリア、流石に手数で押されて防御に回らされる。


「今度はこっちの番だよ!」


大太刀に魔法を纏わせ攻撃を始める、上段の振り下ろしから身体を捻り横薙ぎ、折り返しに地面から跳ね回転しながら振り下ろす。


「くっ! やばっ!」


大きな音を立てアミリアの左手から剣が落ちる、咄嗟にもう片方の剣を離して避ける、そして大きな音を立てた後、決着する。


「ふぅ……危なかったぁ……」


「はぁ……やっぱり駄目かぁ……」


「凄いですね……私じゃ最初の連撃で終わりです……」


「凄いですっ! 聖女様、セレーネさん」


「あはは~、負けちゃったけどね~」


「いやーアミリア様は攻撃重いし、手数が無いと対抗できなかったよ……」


「そう言うセレーネこそ、大太刀の攻撃が重すぎて手が耐えられなかったわ」


アミリアは手首を擦りながら立ち上がる、そろそろ良いかな?。


「お疲れ二人共」


「あっ! ユウキさん!」「優希!」「ご主人様」「お兄ちゃん」


回復魔法を二人にかける、アミリアは石の破片やセレーネの攻撃を受けた際の手に。セレーネはアミリアの攻撃で出来た真空刃で切れた所を。


「ご主人様~私もぉ~」


シアはメイド服を捲り上げ、打ち身の部分を見せて来る。


「うわぁ……大丈夫?」


「うん、僕は痛みには慣れてるから見た目よりはマシだよ、でもちょっとの間、痕に残っちゃうからね出来れば直して欲しいんだ」


「あぁ、任せて『——回復ヒール』」


それからクロコの魔力が尽きるまで、5人で模擬戦をしていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る