|幕間|とある伝令が見た地獄②

なんか200話超えてました…いつも読んでいただいてありがとうございます!!

企画はこれ以上できないのでやるとしたら500話とかかも!(続くのか?)

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◇とある伝令A◇


「目が!!目がああああああああ!!!」


単眼筒で覗いていた俺は、とてつもない閃光と轟音、に木から落ちかけた。そして届いた爆風、一体何が起きたんだ!?


「敵は崩れた!皆!!!いくぞぉぉ!!」


その声に未だにチカチカする目を擦りながら見ると、モンスターの大群が居た場所に大穴が空いていた。


「勇者様は何という兵器を所持してるんだよ!」


両目で見た瞬間サイクロプスとミノタウロスが倒れた。


「は?」


慌てて単眼筒で死体を確認する。


頭が水瓜の様に粉々で飛び散っている。


「おえっ…」


今までモンスターの頭が潰れてること等は見てきたが…綺麗に砕けて飛んでるのは初めてみた…


「もう水瓜とトマト食えないかも…」


「ウオオオオオオオオン!!」


今度はなんだよ!!!!


「は?」


敵が宙を舞ってるんだけど?


単眼筒を覗いて原因の中心を見ると、大人の獣人と子供が居た、しかも子供は馬鹿でかい斧を持っている。


しかも戦場のど真ん中に居る、あれじゃあ圧し潰され…


「二人の開けた穴を広げるんだ!」


「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」


地鳴りの様な鬨の声が響きそこに兵士が雪崩込む、そしてモンスターを次々殲滅していく。


戦場の色が黒から兵士の鎧の色である銀色に広がっていく。


「「「ギャアアアアアア」」」


というモンスターの叫び声と――――ドドドドドドドドという地鳴りの音が響く


「騎兵を突っ込ませるんじゃなく、外側から敵を倒してる?」


そして更に敵中央の部隊に魔法と矢が降り注ぐ。


「「「ギャアアアアアア」」」


「「「ブモオオオオオオ」」」


モンスターの悲鳴が響き段々と中央残存部隊は死んでいく。


そして今度は閃光が敵陣を薙ぎ払う。


「俺は…何を見てるんだ?」


蹂躙されると思った仲間たちがほとんど無傷で倍近い敵を蹂躙していく。


「わぁ♪まるで敵がゴミの様だ♪」


もう思考が追い付かない…


今までの戦場と言えば火球が飛び矢が飛び、怒号が響き騎馬が駆け抜け歩兵の地鳴りで両軍が消耗していく、そんな光景ばかり見てきた。


とりあえず、異変を知らせる魔道具を握り魔力を込める。


するときゅ急激に明滅して砕け散った。


「これで異常が知らされるはず…」


そうこうしている間に、敵陣を切り裂く二人の少女によって敵陣が崩されていく。


そしてその途中でいきなり暴風が二人を包んだ。


しかしそれはすぐに解除され高らかな獣人の声が上書きをする。


「ウオオオオオオオオン!!!!」


そして突っ込んだこんだかと思いきや敵が宙を舞い更に次々太い道が開ける。


「なんだあれ…片方は鎌を持った女の子…さっき斧だったよな?もう一人は…あの傍に描かれた紋章を背負ってる?まさか勇者様なのか?」


いやまぁもう驚かんぞ俺…


そうして三人が抜けると敵兵は包囲殲滅され形を成してるのは現在魔法を撃ち込まれてる一体だった…


「ん?なんか飛び出した?」


竜人でもいるのかと思い単眼筒を覗くとそこには大賢者のユフィ様と見慣れぬ少女が居た。


「わぁ♪人って飛べるんだぁ♪」


もう驚かないと言ったな……あれは嘘だ…


「もうやだこの人たち…報告書を書いても絶対嘘言うなって言われるじゃん!!」


これから先に起こる事に頭を抱えていると二人の大魔法によって残りの敵が分断された。


そこに地鳴りを響かせ騎馬が突撃して片方の敵軍を殲滅する。


後は歩兵達が倒すのであろう…


俺は報告書を書く手が止まった。


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◇とある伝令C◇


俺は新人の伝令役で今回の任務が初めてだった。


正直あの数のモンスターを見て初めて死を覚悟した。


「でもあの人は、俺を逃がしてくれたんだな…」


少しうるさくて、グチグチ文句が多い上司だったが、職務には忠実だったしたまに酒や飯を奢ってくれた。


そんな上司の異常を知らせる魔道具が壊れたと知って胃の奥がキューっとなった。


きっと今はもうこの世に居ないかもしれない、そう思うと寂しくなった。


俺はこの事実を指揮官である王様に伝えなければいけない。


「失礼します!」


中に入ると長い遠征で疲れている王様の姿が目に入った。


「上長の異常を知らせる魔道具が壊れました!」


そう言うと王様は少し悔しそうな顔をして「そうか」と一言いった。


「ありがとう、君は少し休みなさい」


「ですが…」


「良い、これから少し軍議に入る、内容次第では働いてもらう必要がある。今は休みなさい」


そう優しく言って王様は俺の肩を叩いた。


「了解しました!」


そう言って天幕を出る、出る瞬間振り返ると王様は側近を呼んでいた。


そうして自分の班のテントに戻り眠っていると、別班の伝令係に起こされた。


「おい、お前の班の伝令鳥が帰って来たぞ」


「ありがとうございます」


ブーツを履き上着を羽織り外に出る、伝令鳥の胸元を撫で足に付いた書簡を開ける。


「は?」


正直書いてある事がわからなかった、極限状態のせいだろうかとてもおかしい事ばかり書いている。


「とりあえず…他の先輩に聞いてみるか…」


それから他の先輩に聞くと一応些細な事でも報告した方が良いとの事だったので王様へ広告をしに行った。


「失礼します!」


天幕の中に入ると王様と主要幹部が揃っていた


「うむ、どうした?」


「えっと…それが、今現在後方の敵軍を監視してる上長から連絡が来まして…意味が分からない事を書いてあるのです」


「ふむ、見せてみなさい」


「上司からの報告書を手渡す」


「どれどれ………は?」


「失礼」


側近の1人がメモを貰い受けて読む。


「王よ…私はここに書いてある事が理解できませぬ…」


「うん、ワシも良くわからん…」


そして王様はこちらに向き直り口を開いた。


「お主に任務を課す、馬を使い早急にこの事実を確認せよ」


「は!」


「すまぬな」


「いえ!行ってまいります!」


俺はそう言って天幕を出た。


「おーい」


呼び止められる声がして振り向くと上司二人が戻って来ていたのだ。


「どうしたんですか!?任務は!?それに馬!?」


「あぁ、勇者殿の軍より借り受けた」


「えぇ…よくわかんないんですが…」


「うん…俺も良くわからん…」


「まぁ、後は俺が報告をしてくるから…」


そう言って上長は、天幕の中に入っていった。


「お願いします!」


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「という訳です」


「もうわけわからん」


「私もです」


「いや…果たして本当に勇者様ならとても心強いですぞ」


「そうじゃの、この膠着した戦況を打開できるであろう…」


「とてつもなかったです…」


「とりあえず軍議は終わりだ、各将はいざという時に動けるようにしといてくれ!」


「「「「はっ!!」」」」


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次回、合流。

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