第51話:【里守の儀】③

「族長さん、これでやる事は終わりですか?」


龍魚の狩りが終わり族長さんに問いかけると、申し訳なさそうな顔をされた。


「それがのう……もう一つあってのぅ……」


「もう一つ」「ですか……」


「そうじゃのう、代々の【虹の子】が行っておる祠が森の中にあって、そこに報告しにいくことになってるんじゃよ」


「そうなんですね、それはいつ頃向かえば良いんですか?」


「うむ……本来なら後日でもいいのじゃが。あの龍魚を調理するのに時間がかかるから先に行ってしまおうか」


そう言って族長さんが森へと歩き出した。


◇◆◇◆◇◆◇◆

そうして10分程歩くと扉の付いた洞窟に到着した。


「今鍵をあけるからの、よいしょっと」


――――ギギギギギギ……。


「中に入り少し歩くと行き当たりに祠がある、その祠に赴きこれをかざすのじゃ」


族長が首から下げていたペンダントを手渡す。


「これは何ですか、里長?」


「里長に代々受け継がれているものじゃよ、持って行けばわかるわい」


「わかりました」


そうしてセレーネがペンダントを受け取りポケットにしまう。


「それじゃあカミナギ様、【虹のセレーネ】を頼みますぞ」


「わかりました、任せて下さい」


「それじゃあの」


族長が扉を閉めると、セレーネの髪が灯りの代わりという様に浮かび上がる。


「灯りいらないですね」


「そうだね、外だとそうでも無かったけど。暗いと明るさがわかるね」


「昨日はあの目隠しでよく寝れました、あれがなかったら寝不足になりそうでした」


「なら良かった、早く明るくなくなるといいね」


「そうですねぇ~」



◇◆◇◆◇◆◇◆


広間に到着すると奥の壁に小さな祠があったので、そこにセレーネが預かったペンダントを置くと、セレーネの髪から光が抜けていく。


「わわっ!?」


そうして光が集まり複数の光球となる、すると……。


『君が今代の【虹の子】か……』


「「!?」」


突如聞こえた声に身構える。


『ははは、身構えなくて大丈夫だよ』


『私達は害のある存在じゃないから』


『しかし、まさか人族の男の子が伴侶とはな……』


『感じる魔力がとても高いし、隙も無いわね……』


「貴方達は誰なんですか?」


井戸端会議の様に話始める光球に向けて問いかけると、俺達の周りをくるくる回り出す。


『光魔法は使えるかい?』


「あ、はい使えますよ」


『光の輝きをもって我が周囲を照らせ——照明ライト


打ち上げた灯りで広間全体が照らされる。するとセレーネが声を上げる。


「わぁ……綺麗……」


「あぁ……凄いな……」


広間全体に宝石が散りばめられ、受けた光で輝きを放っていた。


『ここは歴代の【虹の子】が無くなった際、その遺品である宝石を収める場所なんだ』


『とは言っても殆どの子達はもう転生しちゃってるんだけどね』


『ここに残ってるのは奇特な奴等でね、まぁ殆ど能力の高かった始祖に近い者しか居ないけどね』


『その私達も数十年に一度、【虹の子】が来たときに魔力を貰って、少しの間起きて儀式を行う位しか出来ないんだがな』


「儀式ですか?」


ぽかんとしていたセレーネが問いかける。


『あぁ、里守の長として、そして里長としての武器を授けるのだよ』


「武器ですか……どうしましょう……」


「さっきは短剣二本使ってたよね?」


「はお、でも私の得意なのは剣なんですよ」


「じゃあ剣にするのはどうなの?」


「うーん……それも闘技場で使ってただけでしたので。えっと、ユウキさんお願いがあるのですが……」


「ん? なんだい?」


「一度、ユウキさんが使っていたあの武器を使ってみたいんですが……」


「えっと……どの武器?」


「あの片刃の凄く綺麗な武器です」


片刃で綺麗……刀の事かな?


「もしかしてこれ?」


空間収納アイテムボックスから予備の刀を取り出して見せる。


「それです! 触ってみても?」


「あぁ、良いよ」


下げ緒を柄に巻いて手渡す。


「っと……重いですね」


「うん、太刀っていう武器なんだけど、今は怪我しない様に鞘を着けてるからちょっと重めだね」


「出しても大丈夫ですか? 少し振ってみたいです」


「わかった、抜き方を教えてあげるね」


『それじゃお主ら。決まったら教えてくれ』


『旦那さんのお陰でここに魔力が凄く多いから久々に自由に出来るわね』


『とはいっても、簡単な話だけだがな……』


3人? の光球は飛んで行き隅っこで固まっている。


「それじゃあ、紐を解くね」


「はい、お願いします!」


そうして少しの間刀を振っていると満足したのか、刀を鞘に納めて返してきた。


「決めました! 私この【刀】にします!」


キラキラとした顔でご先祖様達に駆け寄り色々と説明をしている。


「ユウキさーん。助けてください~」


説明がしきれなくて俺を呼ぶセレーネの元へ寄り実物を見せたり説明するのであった。


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