クリスマス特別編:サンタさんは誰? 前編
12月14日、クリスマスイブ迄後10日と迫ったある日、上凪家には一つの問題が浮上していた。
事の発端はその1週間前、優希が
「そういえば、優希は今年のクリスマスだけど。どうする?」
「あーそうか……もうそんな時期か……」
「例年だと……と、いっても優希は5年ぶりよね……」
「そうそう、だからすっかり忘れてた」
異世界に行く前は上凪家と水城家で集まって、ホームパーティーをしていた。
「とは言っても例年通り両家合同だと、凄い人数になっちゃうしエアリスさん達の事もあるしね……」
「流石に、いつもの部屋でもいっぱいいっぱいだもんな……」
「今年は私達だけで良いかな? 優羽もまだ大人に慣れて無いだろうし……」
一応引き取った当日には、上凪家と水城家での顔合わせはしたが。大人の男性にひたすらに乱暴されてきた優羽は、両親達に耐える事が出来なかった。
「それじゃあ悪いけど、今年は両親で楽しんでもらうか……」
優希は、両家両親用のクリスマスディナー予約サイトを見ながら答える。
「そうだ、耀の両親は行きたいとかいってたところある?」
「そうねぇ……確かあのクリスマスディナーの予約が取れないとかいってたホテルに……」
「流石に無理があるだろ……名前何だっけ?」
「ペイタニコンチネンタルホテル」
「ペイタニ……って厳徳さんの会社じゃんこれ」
「そうなの?」
「ちょっと連絡してみる」
厳徳さんに経緯を説明して、どうにかホテルが取れないかと聞いてみるとあっさりとOKしてくれた。
「丁度キャンセルが入ってたのと、予備の部屋を使えるから大丈夫だって」
「わーお、ナイスタイミング」
「それじゃあ、当日は大丈夫そうね」
◇◆◇◆◇◆◇◆
だがその1週間後事件が発生する。
「ユウキお兄様、サンタクロースって一体何者なんですか?」
夕食の席でユキが聞いてきた言葉に、こちらの世界組が固まる。
「えっと、小さい子が1年間良い子で居たら、クリスマスの日になんでもくれる人の事だよ」
流石にこの年齢になると、クリスマスにおけるサンタの事は公然の秘密となってる事もあり気に特に頭の中から抜けていた。
「そうそう、それでユキちゃんはどこで知ったのかな?」
「えっと……絵本を読んでいたら出てきたんです」
そうか……そこまで考えて無かった。そしてこの場には優羽も居るし、偶然にもすずめちゃんも来ている。
一歩回答を間違えれば、
「すずめのとこにもっ! ことしはくるってー!!」
「サンタさんなんて……」
やばい、純粋なすずめちゃんに現実を知ってしまってる優羽からしたら嫌な思い出だろう。
「そんな、慈愛に満ちた方が居るんですね……」
「あぁ、なんとも素晴らしい存在だ」
「? でもサンタクロースの90%はち――(もごもご)――」
危険な事実(実はお父さんでした)を言いそうになるユフィの口を手でふさぎ、爆弾が落ちる前に回避できた。
「よしわかった、サンタさんにお願いをしよう!! そうしたら叶うから」
そう言うとユキとすずめちゃんはキラキラと目を輝かせ、優羽は諦めた目をしていた。
「それじゃあ、三人はご飯が終わったら、欲しいものとかのお手紙を書こうか!」
「「はーい!」」「はい……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから皆が寝静まった頃、俺は神様の所に転移していた。
「頼む理映!」
「うーん……いいけど……オーケーしてくれるかな?」
黒電話を呼び出した理映は、受話器を取りダイヤルを回していた。
そしてそれからしばらくすると、以前出会った
「待たせたのぅ、それでどういった用事かね?」
「えっとですね、大変失礼なのですが……」
ユキの事や優羽の事を説明すると、大神さんがニッコリと笑って了承してくれた。
「こうしてはおれんな……衣装を作らねば!!」
そう言って消えて行った。
「いやに乗り気だったな……」
「あはは……多分最近娘さんが独立して、暇だったからじゃないかな……」
娘居たんだ……。
「っとそうだ、理映も来てくれよ、クリスマスパーティー」
「良いのかい? お邪魔して」
「良いに決まってるだろ? 家族みたいなもんだし、なんだかんだ言って血のつながりがあるし」
「凄く薄まってるけどね」
「関係無い無い」
「それじゃあ、当日を楽しみにしておくよ!」
「あぁ、待ってるぞ」
そう言って俺は自宅へ転移した。
「さて……後は……プレゼントか……」
俺と耀の間で寝ている優羽を起こさない様に、布団へ入る。
そうすると、優羽が苦しそうな顔をして服を握って来るので、頭を撫でてあげるとすやすやと心地よさそうな寝息に変わった。
「それじゃあ、お休み……」
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明日は後編です!!
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