第67話:これからの指標
それから一度休憩時間を取ってから話を戻す、内容は新しく発生したダンジョンについてだ。
「それで、今の所新しいダンジョンが確認されてるのは近畿地方だけですか?」
「そのはずだけど……もしかしたらまだ未発見な所があるかもしれないのよ」
アマテラスさんを見る綴さん、そうか、アマテラスさんの方が今回の事件の引き金を引いた訳だし理恵の代理だからわかるだろう。
「ふぇ? ふぁんでふか?」
差し入れられた赤福を頬張りながら首を傾げる、美味しそうだな……。
「えっと、今回のダンジョン発生の件って起きてるのは近畿地方だけなの?」
もごもごと咀嚼してるアマテラスさんに聞く。
「……んくっ。 えっとですね……実はすぐに止めたのですが。奈良・滋賀・京都・岐阜・長野・栃木・神奈川・東京・福岡・香川の強い逸話などに惹かれ出現してます。実はこの伊勢神宮を中心に広がってまして。京都・奈良・滋賀は既に出現。岐阜や長野・香川はこれからの発生になります。特に岐阜・東京・香川・福岡は優希さんが赴かないと正直不味いです」
なんかやたら散らばってるな……逸話に惹かれてる?
「逸話に惹かれてるって……例えば、鞍馬山の天狗伝説とか?」
「はい! そうですね! 後は大江山や伊吹山の鬼伝説や、少し前に漫画の話題になりました両面宿儺や日本三大怨霊とかですね!」
うーん……俺の耳が悪かったのかな?ラインナップがとんでもないんだけど……。
「……マジで?」
「はい! ですが本物ではありませんし、逸話を吸収した存在ですので正直別物です!」
「いや……逸話って〝性能〟が盛りに盛られるじゃん……」
「大丈夫です、何かあればスサノオちゃんが居ますので!」
今はツクヨミちゃんの膝枕で寝ているスサノオちゃんを指差す。
「あ、そうか。龍脈との接続を斬れば、実質弱体化するのか」
「そうですね、それに優希さんの強さでしたら敵なしです!」
何だろう……凄く期待が重いんだけど……。まぁこの件を安全に解決するのは俺達のがうってつけなんだろうな……。
「ん? そういえば、神様パワーでどうにかできないの?」
忘れてたけど、理映の代理ならば神様パワー使えるのでは?
「あー……それなんですが……。構築したのが理映様なので私達の力じゃ改変出来ないんです……」
「そうなのか……まぁ神器もあるしスサノオちゃんも居る。最悪は時間を稼げば理映が帰ってくるまで持たせればいいでしょ」
深く悩んでも仕方ない、やる事やるだけだからね。
「よし、特に何も無ければ今日はお開きにしようか……アマテラスさんはどうします? ずっとこのままだと息がつまりますよね?」
そう声をかけるとアマテラスさんの瞳に涙が浮かんで来る。
「うぅ……出来る事なら連れ出して……もう窮屈なのぉ……」
辛そうな声を上げる、まぁ大変なんだろうな……。
「わかりました。綴さん、ダンジョンの探索と攻略にアマテラスさんのガイドがあった方が良いですよね?」
綴さんに話を振る、ダンジョン庁でも今回の大量発生したダンジョンについては把握してない筈だ。
「そうね……目撃情報なんかの絞り込みは出来てはいるけど、わからないわね」
「それだったら、アマテラスさんは事態の収束まで俺達と行動を共にしてもらいたいな」
「い、良いのですか?」
「だって、ここを中心に影響が広がっていくなら早めに動かないといけないし、政府としても被害が出る前に対策をしないといけないですからね」
「えぇ、ダンジョン庁としてはアマテラスさんへの協力をお願いいたします」
そう言って俺と綴さんは笑う。
「は、はい! 是非とも協力させていただきます!」
笑顔が広がるアマテラスさん。
「それじゃあ一条さんと神宮の人達に許可を貰って来よう」
「ありがとうございます!」
「それではアマテラス姉さま、私は一度戻りますね」
「えぇ、朝には戻りますので、夜の間お願いいたします」
「はい、お任せください」
そう言ってツクヨミさんは帰って行った。
「それじゃあ行こうか」
「はい!」
◇◆◇◆
それから別室に居る一条さんに話を通して神社本庁の上役の人を呼んで貰い、ダンジョン対策をする事とそのためにアマテラスさんが離れる事を伝えると目を丸くしていたが特に大きな混乱も無く離れる事が出来た。
「うぅ……私一人だとアレやらコレやらで引き留められてたのに、どうして……」
外に出て、大きく伸びをした後に肩を落とすアマテラスさん。
「あはは……まぁアマテラスさんは優しそうですから、一人で外に出して事件に巻き込まれたりすると思われたのでは?」
上役の人も最初こちらをジロジロと値踏みしてたし、一条さんが口添えしてくれなかったら引き留められてたかもしれない。
「では優希さん、私はここらで帰らせて貰いますね。私も明日は用事がありまして……名残惜しいのですが、貴重な体験をさせて頂きありがとうございます」
「いえいえ、こちらも色々と手を貸していただきありがとうございます」
「もし、何か面白い式神がお仲間になったら又見せて下さいね!」
良い笑顔で言う一条さん、流石に神様を式神にしましたとか言えないし……黙っておこう。
苦笑いをしつつ手を振るのだった。
「さて、宿に行って伊勢名物でも食べますか!」
「良いわねぇ……私はこれから報告書にどう書こうか頭を悩ませてるのに……」
こめかみを擦りながら、眉をひそめている綴さん。
「あーあはは……綴さんも、もし良かったら一緒に来ます? 今日くらいはゆっくりしましょうよ」
「そうですよ、それに綴さんには色々と聞きたい事ありますし」
「そうですね、新しい国際機関でのユウキ様事とか……」
「えっ? えっ?」
二人に肩を掴まれ目をぱちくりさせている綴さん、ドンマイ。
「優希様、あれは助けなくてもいいのでしょうか?」
「うん、巻き込まれると大変だし、アマテラスさん、スサノオちゃん何か食べたいものある? 今日は歓迎会も含めるつもりだからさ」
「ありがとうございます……ですが、神社本庁で沢山名産品はいただきましたので、スサノオちゃんの食べたいもので良いですよ」
スサノオちゃんの頭を撫でるアマテラスさん、姉妹らしさが伝わって来る。
その姿を見ながら、皆で大鳥居をくぐるのだった。
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作者です。
本日は遅くなりすみませんでした!
カクヨムコン用に書いてるのが思うように進まなくて難儀してました……。
【第12回ネット小説大賞】二次選考通過してました!!
【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!
読者の皆様ありがとうございます!!
244万5000PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も4万7100超えました!!
毎日ありがとうございます!!
☆も1343になりました、1340超えました!ありがとうございます!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
6260超えてました! ありがとうございます!
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