【250万PV突破】【転生陰陽編開始！】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど！？〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【毎日更新】

第40話：創作劇の開始

結果的に言うと大百足は瞬殺しました。

「いやぁ、参った参った。退屈かと思ったらこんな才能の芽に出会えるなんてな！」

肩をバシバシ叩くこの人は一条 秀房 《ひでふさ》さん、先程自己紹介をされたのだけど、やたらテンションが高い。

「というか、貴殿は身体もすさまじく強いな！」

「は、はぁ……」

ヤバい、この人のテンションについていけない……。

「い、一条様……そろそろ次の試合が始まりますので……」

三条家の案内役の人が、申し訳無さそうに言う。

「つまらない事を言うな！　退屈な試合よりも、貴殿も式神について話す方が良いだろう！？」

途端に口をへの字に曲げる一条さん。

「あーいえ、すみません……実は次がかなり重要なので……」

「あー、六条家のか……じゃあ終わったら式神について話そうか！」

「わかりました、その時は土御門さんも良いですか？　彼女も才能は素晴らしいので」

そう言うと少し悩んでから顔を上げる。

「わかった、それじゃあさっさと済ませてくれると嬉しいな」

「は、はぁ……」

ウキウキな気分なのだろう、鼻歌を歌いながら控室の方へ向かって行った。

そうして、入れ替わりで華組の皆が現れた。

「優希さん……」

覚悟を決めた顔の土御門さん、その表情はどちらの意味を持つのだろう。

「上凪さん、お願いします」

「いきますわ！」

「い、いきます！『わ、我が魔力により賀茂 依与里（いより）が命ずる！　この藁人形（いれもの）に、汝の魂を宿らせん。血の繋がり、五行の理、天地の陰陽に従い、魂の鎖よ縛りし給え！　――魂縛命躯（こんばくめいく）！』」

飛び出してきた二人と共に、一瞬だけ脚が重くなる。

「これは！？」

「覚悟！」

「貰いましたわ！」

細川君の袈裟斬りを受け止め、背後からの西園寺さんの攻撃は魔力で硬化した髪の毛で受ける。

「なに！」

「受け止めるんですの！？」

「まさか、魔装（これ）を使わされるとはね……」

西園寺さんを受け止めた髪を振りまわし、二人を弾き飛ばす。

「それと……はぁ！！」

「きゃう！？」

脚にだけ掛けられた緊縛魔法を押し返す、賀茂さんの持っていた藁人形の一つが弾け飛ぶ。

「メイ・ユイ！　今よ！」

隙を見た土御門さんが、火と氷の魔力砲で俺を狙う。

「なんのぉ！」

自由になった足で蹴り弾く、当たった篝火の台が一瞬で燃え、凍り付く。

（ヤバい威力だろ！？　ユフィさん改造し過ぎでは！？）

『わ、我が魔力により賀茂 依与里（いより）が命ずる！　この藁人形（いれもの）に繋がりし高潔なる汝の魂を繋ぐ。た、魂の繋がり、五行の理、天地の陰陽に従い、わが友を天下無双の徒となり給え！　――豪剛心身（ごうごうしんしん）！』

すかさず賀茂さんに強化された二人が、着地を狙って来る。

「甘い！！　『小鳥遊流守りの型———流水』」

互いに攻撃を受け流し、一撃入れる。

「ひゃぐっ！？」

「ぎふぅ！！」

西園寺さんは受け身が取れなかったようで、ゴロゴロと転がっていく。だが細川君はギリギリ防いでた様だ。

「今のを防いだのかぁ……」

「あぁ、獣に近か立ち回り。ティアニール様とん訓練で目一杯受けたけんな！」

「なら納得だ！」

剣と盾で、ラッシュを繰り出す、身体強化をフルに使っているので普通の人間じゃない様な動きをしている。

「ぐうぅ……！」

――バギンッ！

遂には刀が折れる、そのタイミングに合わせ盾で横から叩く。

「うぐぅ！？」

流石に受け身は取れなかった様で、転がっていく。

「ライ・カイ！　援護して！」

今度は電撃と石の砲弾が飛んで来る。

「流石に電撃は不味いなぁ！」

地面を叩き魔力で土壁を作る雷撃と砲弾が壁に当たって弾け飛ぶ。

そのまま飛び出して土御門さんへ向かう。

「だめ！『わ、我が魔力により賀茂 依与里（いより）が命ずる！　この藁人形（いれもの）に、汝の魂を宿らせん。血の繋がり、五行の理、天地の陰陽に従い、魂の鎖よ縛りし給え！　――魂縛命躯（こんばくめいく）！』」

「効かないよ『——解呪！』」

呪術を解呪で打ち消して、土御門さんに肉薄する。

「優希さん！！」

逆に俺に飛びつき、組み付いて来る。

「両親は止められませんでした……お願いします」

「わかった、出来るだけ痛くないようにするよ……」

そして土御門さんを投げ飛ばした瞬間、立て直った西園寺さんが賀茂さんの強化で飛び込んで来る。

「貰いましたわ！」

「だから無意味だって！」

「がっ！？」

腕を弾き喉元を手で掴む、そこから段々と締め上げる。

「ぐがっ……がぁ……」

手を引っ搔き、剝がそうとするがそんなんじゃ剝がれない。

「ががっ……が……」

――バギッ！

そして鈍い音がしてだらりと両手が落ち、西園寺さんが白目を剥く。

「うっ……うそ……」

賀茂さんの信じられないと言う声と共に西園寺さんの藁人形がポトリと落ちた。

「お前ぇーーーーー！！」

もう一振りの剣刀を構えた細川君それをかち上げ心臓を一突きする。

「ごぶっ……ぎまだぁ！」

決死の力で抱き付いて来る細川君、それと同時に魔力砲台が俺を照準に捉える。

「ユイ！　今！」

放たれた炎は俺に当たる訳はなく両手を切り落とした細川君にのみ当たり燃え上がる。

「はぁ！」

首を斬り落とすとそのまま燃えて炭になった。

「さて……後二人……」

空間収納（アイテムボックス）から、自分の血をこっそりと出して纏う、赤黒い騎士の誕生だ。

「まず一人……」

「ひぃぃぃぃぃ！？」

そのまま賀茂さんに近づくと首を支点に持ち上げる、じたばたするが力で抑え込み指を鳴らして着火する。

「ぎゃぁぁぁ！？　あついぃぃぃぃ！？」

ゴロゴロと動く賀茂さんに、だが炎は消える事も無く次第にぐったりとする。

「さて……最後は土御門さんだけだ」

「やめっ！　助け！！」

十条家の人達がいる方へ逃げようとする髪を掴み、背後から剣を突き立てる。

「がふっ……やべでぇ……じにたぐなぃ……」

涙を流し、口から吐かれる血が砂利を汚す。

そして動かなくなった後に手を放し剣を抜く。

「さて……十条の皆さん。これで終わりですか？」

俺は、御簾に向こうに居る人たちに声高らかに問いかけた。

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作者です。

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