第48話:愚王対面

「さて君らの雇い主は知ってるんだけど、どうして襲ってきたのかな?」


蹴り飛ばした最後の1人も簀巻きにした後に問いかける。


「そ、それは我々にもわからない……、ただ、スティシアを連れてこいという命を受けたのだ」


「そっか、まぁそれだけ分かればいいよ」


「ご主人様、お待たせしました、レノス大司教より兵を借りてきました」


「ありがとうシア。さて君達はこのまま教会で保護をするよ、まぁ命の危機は無いから安心して」


「では使徒様、後はお任せください」


「ありがとう、一応これから挑発しに行くのと、教会にちょっかいが来るかもしれないから頑張って」


「はい、今は交代で勇者様が付いていてくれますので!」


「そっか、あの三人頑張ってるんだな……」


最近は様子を聞いて無いけど、この世界で一番きついダンジョンで鍛えられてるし大丈夫でしょ。


「じゃあシア、行こうか」


そう言ってシアを抱え上げ屋根上を伝って行く。


「しかし、あの王は馬鹿なのかな?」


「うーん、話してみないとわからないけど。少なくとも無能では無いんじゃない? アミリアのご両親を追い落としてはいるし」


「そうだったね」


「まぁ、卑怯な手段や騙し討ちだったら、あんまり関係無いけどね」


しかし、勢いで出ちゃったけどどうするかなぁ……。


「ねぇ、シア。どうしようか?」


「何をですか?」


「いやほら、色々と調査とかしてた訳じゃん。このまま突っ込んで良いものか」


「そうですね、浅はかな考えですが。この状況でいっその事、啖呵切って真正面からご主人様の力で叩き潰すのはどうですか?」


「マジ?」


「はい、宣戦布告して、ご主人様が聖剣のレプリカを作って、アミリア様の王位継承権を主張します。そうすると聖剣を持ってない王は聖剣の元に向かうか。それともここで隠し持ってるなら持ち出して正統性を語ると思うのです」


「あー確かに、アミリアが聖剣の聖女だし。これほどまでに国民に浸透しているおとぎ話の存在が現れたら慌てるだろうね。でも、聖剣の聖女への王位継承権があるって初めて聞いたんだけど」


そう言うと凄く変な顔をされた。


「この国を建国したのは聖剣の担い手なんですよ、歴代の王はその治政を借り受けているだけというのはこの国の人ならばある程度の年齢で習います」


「ちょっとまって!? それ初めて知ったんだけど!」


「えぇ……歴史書を調べてたんじゃないのですか、ご主人様……」


「調べてたけど! 魔族領の歴史書には載ってなかったんだ」


「そうだったのですね、じゃあ今日獲って来た資料には書いてありますね」


「そうだったのか……でもそれだけだと貴族は靡かないよね?」


「そうですね、今王側に付いてる貴族は私が生まれた後の貴族ですから」


となると350年前以上の貴族って数少ないのでは?


「ご主人様……年齢を想像するの止めてもらえませんか? これでも500歳は超えて無いのですよ?」


そう言って口を膨らませるシア。


「ごめんって……じゃあもし偽物でも聖剣を持ったアミリアが居たらどの位の貴族が靡く?」


「恐らく半分は以上はこちらの仲間になるかと……それに旗色が悪ければこちらに寝返る新興貴族は多そうですね」


「そうか……うーん悩みどこだ……」


「どうしたのですか?」


「いやね、征服をしたら統治をしなきゃいけないでしょ?」


「ですね」


「でも俺は別世界での生活もあるんだよ」


「そうですね」


「多分行き来は出来るけど……ぐあぁ~面倒!!」


「そこは『頑張れ!』ですね」


「だよなぁ……」


「ほら、そうこうしてる合間にもうお城ですよ」


シアが指差すと城が見えて来た、もうどうにでもなーれ。


堀手前の地面を大きく蹴り風魔法で城壁を越える。


「とりあえずあの光が点いてるとこに降りるか」


「そうですね、そこが一番かと」


そのまま窓を蹴破りながら着地をすると、中にいた恰幅の良いおっさんと目が合った。


「何ものだ!!」


「えっと……お邪魔します」


「やぁ、愚王様。お久しぶり」


シアがニヤニヤしながら降りる、慇懃に礼をすると俺の元に戻る。


「ご主人様、あ奴が愚王バルダーンです」


「だから愚王はやめたげてよ」


「仕方ないですね……」


「えっと、バルダーン。先程は刺客をどーも」


俺の言葉に思い当たる節があったのか立ち上がり叫ぶ。


「貴様! スティシアとその主人の商人か!!」


「耳は良いらしいね」


「クソッ、スティシア! そ奴を殺せ!!」


なんかブローチ取り出して喚きだしたぞ?


「「…………」」


「ワシが言ってるんだ! ワシの奴隷だろ!!」


再度叫ぶが何も起きない。


「シア、あれは?」


俺が聞くと、シアは思い出した様に手を打つ。


「そうだ、あれは僕を従属させるために使ってた奴だ」


「何故いう事を聞かん!!」


「いや、俺が主導権握ってるからね」


そう言うとシアがメイド服の裾を持ち上げてお腹を見せる、いやはしたないよ?。


「ほら、これがご主人様の愛の証さ!」


「ちょっと待て! 俺そんなとこに奴隷紋出した覚え無いぞ!!」


「えぇ! 私が自分で彫りました!」


「止めて!! 『——復元ヒール!』」


傷を治すと、凄くつまらなそうな顔をする。


「せっかくご主人様の為にやったのに!!」


「いや、俺そこまでの趣味無いから!!」


「うぅ……年増は駄目ですか! エルフの中じゃ若いんですよ!!」


「そういう事じゃないから!」


「貴様らワシを置いて舐めた真似をするなぁぁぁあぁぁぁぁ!!」


一向に話が出来ないバルダーンが遂にキレた。


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作者です!

カクヨムコン受賞ならず!

でも皆様のお陰で中間超えられたのは嬉しいです!


ドラノベコン用に急ぎで新作書いてるので更新遅れが出たら申し訳ないです!


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