|章間|仕事の増えた神々と、まだ帰らぬ神
◇アマテラスside◇
「ふぁぁ~あぁ……月読ちゃんおつかれぇ~」
睡眠兼メンテナンスを終えた私は、装置から出て月読ちゃん声をかける。
「天照姉様、おはようございます」
「うん~、交代するね~そう言えば優希さんが向かった、大江山の件どうなった?」
「はい、優希様は結菜様ととても濃厚に交わり、子を成してました。そして酒呑童子ともまぐわって、お嫁さんにしてました」
「はっ!?」
表情を変えずにしれっととんでもない報告をする月読ちゃん、そして固まる私。
「もう一度言いましょうか?」
先程と違い眉一つ動かさない月読ちゃん、AIとはいえ女の子なんだからもう少し恥じらいを持って欲しいんだど!?
「いやいやいや!? 女の子がそんな交わるとか、まぐわうとか言っちゃ駄目だよぉ!?」
「そうですか……じゃあセ〇クスとか性〇のが良かったですね、学術書にも載っておりますので」
「そういう事じゃないよ!?」
「映像……見ます?」
「見ないよ!?」
「え? 凄いのに?」
以外という顔をして来る月読ちゃん、なんでそんなに平気なの!?
「いえ、AIで疑似的とはいえ私は夜の神ですから、そりゃ世界の監視と管理をしてたらどの世界で、どの種族でもやる事ヤッてますって」
卑猥な手の凄きをする月読ちゃん、というか女の子がそんなことしたら駄目だよ!?
「とは言いつつも、姉様も詳しいんですね。むっつりですし仕方ないかと……今でも画面見てますし」
「みみみみみみみ見てないでございますよぉ!?」
「姉様、わかりやすすぎ……恥ずかしい事じゃ無いんですし好き嫌いは駄目ですよ? 大きくなれません」
「その言い方は食べ物のでしょ!? というか、そろそろちゃんと情報を教えてよ!?」
「はい、わかりました。優希様は大江山で酒呑童子さんの魂を結菜様より作った身体に収めて新しく囲いましたね、被害も少なく山の一部が被害を被りましたが木が折れたり、地面が抉れただけですので大丈夫です、優希様が大半は直しましたし」
「そうなんだ、さすが優希さん」
映像データを渡してくる月読ちゃん、見る限りはいちゃついてるので問題は無さそうだ。
「それよりも、新しく出来たダンジョンの様子はどう?」
「はい、東京の魔力だまりはある一点で膨張と収縮を繰り返してます、恐らくあの方が頑張って下さってるんでしょう」
「そうなのですね、他には?」
「日本では、活動状況は低~中くらいですね。それとは別に気になるところが現れてます」
「えっと……どこなの?」
月読ちゃんがデータを飛ばしてくる、そこには〝ルーアン〟と映されている。
「ルーアンって確か。という事はあの戦いが起きる前触れですか。私達が直接介入して歴史を変える事は出来ませんので、優希さんにお任せしましょうか」
「でも、どうやって優希さん達に参戦していただきましょうか?」
「そうですね、福引でペアの家族旅行が当たる位ならば……許されますよね? 優希様の頑張りを労う名目ですので」
「姉様も悪いですねぇ……」
「どこかの意地悪な妹のせいですよ?」
「あはは……それくらいですので、私は……そろそろおやすみでもいいかなぁ~?」
そう言って、仕事スイッチが切れた月読ちゃんが椅子に腰を下ろす、確かに日が昇りきった時間なのでもう眠い筈だ。
「ほら! 眠るならメンテナンスカプセルに入りなさい!」
「ふぁぁぁぁい……だっこぉ~」
両手を出して甘えて来る月読ちゃん。
「仕方ないわね……よっとっと……」
抱え上げてメンテナンスカプセルに入れる、スリープモードに入ったのを見送って私はコンソールの前に座る。
「さてさてお仕事お仕事……とはいっても現状は、保守管理だし。今の所歴史の情報と参照しても大きな問題は無い、世界中の数値も安定してるしなぁ……」
気になるのは東京とルーアンの事だけだ、とは言ってもすぐにどうこうなるような状況じゃない。
「…………ゴクリ……」
先程、月読ちゃんが残してたファイルを開く、画面一面にサムネイルが並ぶ。
「う、うん! 他の子達にも悪影響が出ない様にチェック! チェックをするだけだら!」
私はそわそわしながらサムネイルをクリックした。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇理映side◇
「しかし、数年に一度とは言え、長いよなぁ……」
会議というか最早お祭りである、酒盛りに、賭け事、うわさ話に、世界運営のノウハウ交換会。その様相は様々であり色んな神様が楽しく過ごしている。
そんな会場を私は横目に見ながらちびちびとお酒を飲んでいる。
「おっ、理映さんじゃん! お久しぶり!」
6つ腕の大柄な男性が話しかけて来る。
「あ、お久しぶりです。えっと……今は何とお呼びすれば?」
本来なら失礼に当たるのだけど、この人は数百の名前を持っていてかつその時々によって名前を変えているので都度聞くことがマナーなのだ。
「今は【戦神ガラディラル】だな」
「わかりましたガラディラル様、それで声をかけて来られるのは珍しいですね」
この神様は私よりもかなり高位の神様で、運命神様の旦那様である。管理する世界はおよそ1000、その全てを繁栄させている凄い人なのだ。
「いやー実はね、妻が理映さんの事を心配してて、ほらあんな事件があったでしょ? だからそわそわしてるんだけど、抜けるに抜け出せなくてね。様子見てきてと言われてしまったんだ」
「そうだったんですね、ご心配をおかけました。傷もだいぶ癒えましたし今では補佐を作る分の力も回復しましたから」
「そうか、それは良かった。神とはいえ元人間だからね、怪我の治りも遅いから皆心配してたんだよ」
「ありがとうございます、運命神様にも感謝をお伝えください」
「あぁ、伝えておくよ。それで一つ聞きたい事があるんだけど、良いかな?」
「はい、何でしょうか? 私に答えられる範囲ならですが……」
「実はさ、神様内で自世界の勇者から選りすぐりの者達を選んで、戦わせるっていうのが流行ってるんだけど。もし良かったら参加してみない? リスクは無いし、勝っても負けても参加者には景品があるんだ」
「それって……あそこでやってる賭けですか?」
先程から盛り上がっている賭けを指差す。
「あー、そうだね。とはいっても賭けなくて良いからね。出場するだけで恩恵があるからさ、戦う人もちゃんと生き返るし大丈夫、というか彼ならばそこそこ良い結果出せると思うよ?」
にっこりと笑うガラディラル様、彼というのは優希君の事だろう。
「そうなんですね……じゃあ参加するか、帰ったら聞いてみます」
「あぁ、もし叶うのであれば彼と手合わせもしたいのだが……」
うずうずとしているガラディラル様、今は戦神を名乗ってるし少し興味があるのだろう。
「わかりました、ではそちらも聞いてみますね」
「あぁ、頼んだ! それと、もし断られても、祭りの後で良いから。彼と一度面会させてくれ、妻も話があるとかで会いたがってたし」
「話ですか……分かりました」
そう答えた所でアナウンスが入る、どうやらガラディラル様が呼ばれた様だ。
「それじゃあ、祭りを楽しんでくれ!」
そう言って、颯爽と走って行った。
「ふぅ……一体、何の話しなんだろう」
気にはなるけど、運命神様は忙しいからアポ取るにも数日かかる。
「気にしても仕方ないか……」
気を取り直して、カップに残ったお酒を飲み干して闘技場へ向かった。
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作者です。
アマテラス達の精神年齢は大体15歳位です、AIですので仕事などはバリバリこなせるのですが、子供っぽい一面も多々あります。
※精神も時間をかけて成長中なのでかなり感情が豊かだったりします。
スサノオちゃんは精神年齢8歳位です。
【第12回ネット小説大賞】二次選考通過してました!!
【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!
読者の皆様ありがとうございます!!
249万PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も4万8000超えました!! 爆増過ぎて驚きました!!
毎日ありがとうございます!!
☆も1347になりました、1340超えました!ありがとうございます!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
6270超えてました! ありがとうございます!
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