第21話:呪詛師・三条家①
「という訳で、細川君は
「そうか、すまへんなぁ……」
理事長室で花山院さんに合宿の事について伝える。
「そうそう、優希はん、三条の家御前試合を欠席すると伝えて来はったんどすけどなんか知らへんどすか?」
「いえ、何も知らないんですが……巴ちゃん、何か知ってる?」
思い当たる節が無く巴ちゃんに聞くが、巴ちゃんも首を傾げている。
「わからないですね……花山院様、三条家は戦いにおいて何が得意なのですか?」
「うちの手の者が聞いたとこによると、呪いどす」
花山院さんが各家について纏めたであろう、分厚い資料を渡してくる。
「呪いですか……優希さんって呪詛返しとか出来るんでしたっけ?」
「呪詛返しなんてやった事無いけど……それって出来るものなの?」
呪詛返しなんてやった事も無いし、そもそも呪いか……呪い……。
「それってさ、俺の身体に毒とか状態異常が効かないとか関係ある?」
「ふむ、どうなんでっしゃろか。もしその呪術は相手に『死』をもたらしたり、それでのうても体調を悪うさせる様な呪いであったら効かへん事になるなぁ……」
顎に指を当てながら見解を教えてくれる花山院さん。
「そうですね、後は優希さん自身の神力の高さも関係してるかと……」
そうか、そっちもあるのか、それなら大丈夫かな?
「それじゃあ俺に呪術は効かなそうだし、巴ちゃん車を回してくれる?」
「えっ? 優希さん……まさか?」
「うん、三条家に行ってみようかなって」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「あはは! さすが優希はんおもろいなぁ」
驚く巴ちゃんとケラケラ笑う花山院さん。
「そこまで驚く所? それに、呪いなら解呪が使えるし。被害に遭った人を助けられるでしょ?」
「…………そういえば、そういう性格でしたね」
「優希はんは、ほんまに人が出来てますねぇ……」
飽きれと関心が籠った瞳で見られるのだった。
◇◆◇◆
それから手配してもらった車に乗り、巴ちゃんと花山院さんと共に三条家へ向かう。
「それにしても、三条家って何の商売をしてるの? ざっと調べたら凄い会社名がいっぱいあったんだけど……」
隣に座る巴ちゃんに聞く。
「えっと……昔は呉服問屋でそれから流通を加えて百貨店になり、今は本家が百貨店業務と衣服ブランド、分家が料理店をやっておりますね」
「へぇ~じゃあ冬華が好きな服の『SANJO』って」
「そうですね、冬華ちゃんの好きなブランドですよ」
「じゃあ、これを機に仲良くなれればなぁ……」
「今はそれどころとちがう気ぃするんどすけど……」
「優希さんですから♪」
「そうどした、こないな気ぃ張ってるうちアホみたいどすなぁ……」
大きく溜め息を吐く花山院さん、そこまで気を張らなくても良いのに。
それから、美味しいお店やまだ行った事のない京都の名所の話をしながら通る、途中の車内から清水寺等の夜間でも拝観できる観光名所の話を指差しながら教えてもらったので、皆との観光に活かせると思いメモをする。
「さて、皆様。到着致しましたこちらが三条本家でございます」
到着したのは至って広いお屋敷でも、高層マンションでもない、下が呉服店になっている少し高めのマンションだった。
「なんか、もう少し大きなお屋敷とか想像してたんですけど……」
正直拍子抜けだ、なんか創造と違う……。
「なんも、古いだけが良きものとは限りませへん」
そう聞こえると、目の前に立派な髭を蓄えたご老人が立っていた。
「これは、三条様。お久しぶりにございます。いつもお世話になっております」
「花山院か、こちらも世話になってる」
「いえいえ、お陰で生徒たちにも好評ですから」
「そうか、それは良かった」
カカカと笑う三条さん、話が見えてこないけど良いビジネスパートナーらしい。
「えっと……話が読めないんですけど……」
「おお、すまんかったな置き去りにして。花山院の所には学園の制服を依頼されとってな、君達着てる制服もうちのデザインなんやわぁ」
制服を指しながら答える三条さん、想定してたより好々爺っぽい空気が出ている。
「それで、今日は何しに来たんやい?」
そう言われ、花山院さんが重々しく口を開く。
「えぇ、今日の用向きは御前試合において。事前に彼に対して呪詛を用いて呪おうとしたなぁ?」
「どこで、それを聞いた?」
「いえいえ、彼らの推察どすえ。三条家が手ぇ引いた事と、高名な呪詛師としての三条家、その二つのピース揃うてますさかい」
いきなりいつもの調子に戻った花山院さんが扇で口元を隠しながら笑う。
「うぐっ……まぁどうせ花山院の手の者も嗅ぎまわっとったしな、時間の問題か……それで、何が要求だ?」
苦虫を嚙み潰したような顔で言う三条さん、大して花山院さんは黒い笑みを浮かべている。
「そら、うちじゃ無おして、優希はんに言うべきでは?」
そう言って扇で俺を指す、ぐるりとこちらを向いた三条さんが苦々しく言う。
「うちは君に負けた、それ故に君にはうちになんか要求出来る事がある。要求を言いたまえ」
「それじゃあ……」
俺はここに来た目的を告げるのだった。
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作者です。
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