第53話:三十三間堂へ

それから歴史的に有名な大政奉還が行われた二の丸御殿の大広間での日本人しかわからない謎の感動や、鴬張りの廊下にビックリしながら恐る恐る歩くユキやクロコ、そして対抗して音を消して歩こうとするメアリーやシアの姿を動画に収めつつ楽しく回る事が出来た。


「さて……お昼も食べたし、この後はどこに行こうか? 一応この後頼まれてたイベントがあって、それに参加するから16時くらいまで時間があるんだけど……」


二条城近くのお店で昼食を食べた後、バスに乗り相談をする。


「ユウキ、それなら私行きたい所がある」


ユフィが手を挙げる、聞くと南禅寺の方にある琵琶湖への船が乗りたいらしい。


「ん、船というより琵琶湖までの水路が興味ある」


「へ? どういうこと?」


「新しい都市の上水道にする」


そう言う事か……。


「でも、湖の水は衛生的に問題あるでしょ?」


「衛生…的……?」


いやそんなびっくりした顔されても……あれ? 俺って異世界だと、どの水何飲んでたっけ?


「ユウキ、異世界で冒険してた時、川の水とか普通に飲んでた」


そういえば、最初の転移の時は自分で使える水魔法なんて無かったし、川の水飲んでたわ。


「そうだよ、川の水とか飲んでたわ……街中じゃ基本は井戸水だけどさ」


思い返すと平然と飲んでたわ……よく無事だったな俺。


「そういえばユウキ様、私達と居た時もお水は魔法でお創りになってましたわね」


リリアーナが思い出した様に言う、あっちの世界だと基本は魔法の水だったな、水飲んだの井戸掘った場所くらいか。


「そういえば耀達は向うの世界で、何を飲んでたんだ?」


「私達は、どっちの世界でも、魔法で出した水を飲んでいたわね」


「私はお陰でお水の生成が上手くなりましたね」


「そうね、自分で出せれば正直水筒とかもいらないからね」


「なんか、すまん……皆が、逞しくて良かったよ……」


そう言うと、皆が笑いだす。そのタイミングでメアリーが肩を叩いてきた。


「ご主人様、ユフィさんのおっしゃってました船、【琵琶湖疏水船びわこそすいせん】ですが既に本日の分は終了いたしておりまス」


「え? そうなの?」


「はイ、現在時刻は14時半、琵琶湖行は13時の便が最終でございまス」


「そっか……じゃあ明日の朝にしようか、それでも良い?」


ユフィに聞くと小さく頷く。


「ん、楽しみにしてる」



◇◆◇◆

と、いう訳でそこから行き先を変更して予定していた三十三間堂さんじゅうさんげんどうへ向かう事にした。


「それで、そのサンジュウサンゲンドウはなにがあるの?」


交代で隣に座ったリリアーナが聞いてくる。


「うーんとね、そこは弓の聖地と呼ばれててね。年に一回、遠的っていう遠くにある的を弓で射る競技の大会があるんだ」


「そうなのね、どのくらいの距離が離れているの?」


「60メートルだよ~」


冬華が笑いながら言う、そういえば冬華は大会に出た事あるのだろうか?


「トウカだったら、優勝だよね?」


セレーネがキラキラした目で見る。


「あー……実は参加した事が無いんだ~というか、参加できないのが正しいかな?」


「あれ? そうなのか?」


「うん、だってあの大会、20歳の新成人しか参加できないんだもん」


肩を竦めながら言う、年齢制限があるんじゃしょうがないか……。


「そうなの? トウカだったら優勝間違いないのにね」


「うん、絶対勝つ自信はあるよ~60メートルだし……倍ならどうかわからないけどそれ位なら必中距離だもん」


そういえば冬華ってどこまで矢を飛ばせるのかな? 今度異世界で試してみるか。


「異世界で、お祭りでもやるか……」


「お祭りですか? どういったものでしょう?」


「ユウキ様の考えるものでしょうし面白いものになりそうですわね」


王女様二人が身を乗り出してくる。


「あー遠的の大会だね、最低100メートル位から当てていって一番遠くまで行けた人の勝ち」


「良いですわね、今度お父様に話してみます」


「私達の世界だとそこまで飛ばせると人は少ないだろうし。もう少し短めかなぁ……そうだとしても国中に知らせないと……」


なんか話が大きくなってる気が……。


「え、いや。そこまで大きくするつもりじゃ……」


そう言うも、俺の言葉は二人の耳には入らず、何故か大きなお祭りになりそうな予感がしてくる。


「そ、そういえばセレーネの里は、そういった成人の儀は無いんだっけ?」


話しを変えよう、このままだと壮大な事に巻き込まれそうだし。


「無いわね、その代わりに数え16で子が成せるから、大体は早々に婚姻のお祭りはあるけどね」


あれ? そういえばセレーネって今17歳かそこらなはず……。


「あーうん、私は稀有な例だよ。幼馴染とか居ないし、元々私、奥手だったから。それに私、連れ去られてから誕生日迎えたからね」


そういえば、あの地下闘技場から連れ出したのが出会いだったな。


「許嫁とか居る訳ないし、同年代は皆早々に相手を見つけてるしで私なんて眼中に無かったからねぇ、虹の子になってからはこの髪目当ての大会とか開かれたかけどね」


「そういえば、そうだったなぁ……」


結果的にあっさり優勝したから特に覚えてないや……。


「皆様、そろそろ到着です」


運転手さんが、駐車場に入っていき、開いていた所にバスが停車する。


「さて、降りようか」


下車をすると目の前にお爺さんがたっていた。



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作者です。

昨日はすみませんでした、今だに臭いがきついですが……。


【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!

読者の皆様ありがとうございます!!


239万4000PV超えました!!ありがとうございます!

毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


♡も4万6200超えました!! 

毎日ありがとうございます!!

☆も1337になりました、1330超えました!ありがとうございます!

感想も新規ブクマもありがとうございます!!

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