|章間|②:針の筵と、冬華の想い
◇優希side◇
耀にプロポーズした翌日、午前中に耀が来て母さんの代わりに色々荷物とか持ってきてくれた、数日鳳さんと用事があるようで明日と明後日は来れないとの事だ、そして夕方に小鳥遊姉妹がやって来た。
「優希さん、こんにちは!」
「優希おにーちゃんこんにちは!」
「あ、あぁ……二人共い、いらっしゃい……」
昨日は勢い余って耀に
多分二人は俺が
どう説明したもんか……。
(だけど、先延ばしにしても解決する訳じゃ無い……)
「あのな二人共……」
「はい?」
「なーに?」
「伝えなきゃいけないんだが……」
俺は、耀に告白した事、OKを貰った事。
それを前提として俺の能力を説明とした。
途中冬華に怪我の事や治療や魔法の事に付いて聞かれたりしたけど、出来るだけ隠さず伝えた。
「どう……かな……?」
「「…………」」
「す、少し……考えさせて下さい……」
泣きだしそうな声で言う春華、冬華も真剣な顔で何かを悩んでいる。
「虫のいい話かもしれないけど、二人とは戸籍上の夫婦にはなれないし、一番にもなれない。でもそれで良いなら俺は出来るだけの力で幸せにするよ……」
(あれ? なんか俺凄くクズみたいなこと言ってるな……)
その言葉に二人共黙って病室を出て行った。
「当然だよな……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇小鳥遊冬華side◇
私達の両親と優希おにーさんが顔を合わせた翌日、再度おにーさんの病室を訪れた私達に衝撃が走った。
おにーさんはなんと耀さんと結婚するといわれてしまった!人類史上かつてないほどの私の大ピンチだ。
(不味い……ひっじょーに不味い……)
ただでさえライバルとして強すぎる、血を分けた春華が居るのに最強の敵が王手を決めてきていたのだった。
春華をみると春華の涙はもう決壊寸前だった、おにーさんはそれを見てめちゃくちゃ大慌てをしている。
それからおにーさんが自分の能力の事を話し始めた、要はお嫁さんが増えれば強くなるというとんでもな能力らしい。
『虫のいい話かもしれないけど、二人とは戸籍上の夫婦にはなれないし、一番にもなれない。でもそれで良いなら俺は出来るだけの力で幸せにするよ……』
それで良ければ私達の事はしっかり考えるとの事だった。
そしてそれから病室へ戻った私達で今後の事を話し始めた。
「春華はどうする? って聞かなくてもわかるか……」
「どうするって? ああ、優希さんの事? 私は優希さんを支えていくつもり、だって好きなんだもん。冬華はどうするの? 好きって言ってたけど……」
涙の止まった春華は目を見開き、気合を入れる為にお父さんから習った型をしていた。
「正直私は運命だと思ってるよー、だってめっちゃ格好よかったじゃん」
私の言葉に春華が動きを止める、何でそんなに驚いてるのさ!?
「え、冬華がそう言うの意外……普段はモデルの○○さんが良いとか俳優の○○さんが良いとか言うのに」
「そうなんだけどねー、カッコ良い人はカッコ良いよ? でも心がときめかなかったんだ。でもお母さんとお父さんの馴れ初めを聞いたらさ、なんとゆうか……そうかこれが恋って奴かと思っちゃったんだ~、春華だってそうでしょ?」
「私もダンジョンで助けてもらった時にはドキドキしてた、それがお父さんたちのお話聞いて納得しちゃった」
春華の目は覚悟を決めている、もう優希おにーさんと添い遂げるつもりだ。
私も姉妹だからわかる、どんなイケメン俳優も芸能人も……クラスで一番も学校で一番にも動かなかった私の心はおにーさんの事を考えると早鐘を打つ。
「やばっ……私、優希おにーさんの事滅茶苦茶好きだ……」
「こんな冬華初めて見た……」
優希おにーさんの事を考えると頭がふっとーしそうだ……。
話を逸らさないと……。
「それにしても、優希さんの固有能力には助けられたねー、お陰で春華と戦わずに済んだんだもん……」
そういって汗を拭うふりをすると「え?」っと驚いた顔をして止まる。
「え? 春華って私より人気あるんだよ? 学校で一番人気だし、私も何度〝春華の代わり〟に告白されたか……あっ……」
ヤバい、秘密にしていたことを……。
「冬華……それってどういう事?」
「えっとぉ……あはっ♪」
私は誤魔化そうとする、流石にこれは春華がブチギレるので誤魔化そうとする。
が、無駄でした……。
「信っっっっじられない!!」
学校の男子諸君に謝罪しつつ春華を宥める、それから両親が迎えに来る時間まで長らく説明するのであった。
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作者です!
今回も読んでいただきありがとうございました!
改稿するとしたら春華と冬華の学校生活の部分とか書こうかなぁ……。
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