第37話:御前試合開始

「ではここに十条の勇士に相対する愚かなる存在を征伐すべく、六条の名の下、ここに御前試合を開始を宣言する!」


大仰な身振り手振りをしている小太りな青年を眺める、十条の皆さんはおれたちより一つ高い所に居る、紫宸殿ししんでんと言われる所だ。


六条以外の十条は御簾を垂らして影しか見えないけど四条さんと三条さんはよくわかる。


一方俺達はその下の南庭で待機している。


華組の皆や某FPSに出て来た対弾装甲を纏ったジャガー○ートの様な兵士の集団、それから映画で見る様な特殊部隊みたいな防弾チョッキと暗視ゴーグルで固めた兵士の集団。


普通じゃない雰囲気を纏った侍だったり、白と藍色の狩衣に烏帽子を被ったいかにも陰陽師!って人が居たりする。


(うーん、正直相手になりそうなの数人だよな。銃火器は相手にならないし一番警戒しないといけないのは華組だよなぁ……)


「ふぁぁぁ……、さっさと片付けるか……明日も学校だし」


わざと欠伸を噛み殺しながら言うと【六条家】の人が喚き散らす、それに対して耳を塞いでいる他の家の人達。


(煽りが効いてるなぁ……ため息をつく人も多い)


「うーん、誰でも良いですよ。銃火器でも刀でも式神でも全部返り討ちにしてあげますから」


不敵な笑みを浮かべながら煽り散らす、案の定【六条家】の人は滅茶苦茶キレながら言葉にならない罵詈雑言をぶつけて来る。


「しゃあないのぅ……このままでは始まりもせんし、若いのいっちょやろうか」


背の高い人(ジャ○ーノートの集団)に囲まれていたので見えなかったけど、この人相当な手練れだよな……鷲司さんより強い。


「お願いします、貴方なら胸を借りれそうだ」


「ははは、言うなぁ。てっきり無謀者か思たけど見どころはありそうや」


皆が捌けて二人残される、照明はライトから篝火に挿げ替えられる準備は完了の様だ。


それから互いに構えを取る、お爺さんは居合の構えでこちらをじっとりと見ている。


こちらは、どう打って来ようが受けきれる【流水の型】だ。


1分…。


5分……。


10分………。


互いに構えたまま時間が過ぎる、イライラしてるのか六条家が騒いでいるが耳に入ってくるわけがない。


「……お主、名前は?」


「上凪 優希」


「優希殿、この戦いはワシの負けじゃ、どう打ち込んでも返す刀でワシが死ぬ。だが武人として一度だけ、一太刀だけ試しても良いか……」


「えぇ、返しはしません。どうぞ打ち込んできて下さい」


そう返すと、お爺さんの纏う空気が空気が鋭くなる、まるで強く張った鋼糸の様に。


その緊張が最高潮に達した時、その姿が揺らめく。


「きえぇぇぇぇぇぇいい!」


――バギンッ!


重く響く金属の音、受け流した刀が地面に刺さり時が止まる。


「————まいった」


無手になったお爺さんの宣言により決着する。


それと共にお爺さんの雰囲気が柔らかくなる。


「負けた負けた、70年武に努めてきてまだこないな高みの相手がおるなんてな! 降伏じゃ」


「ありがとうございました、一つ聞いて良いですか?」


「なんじゃ優希殿、それとワシの名前は幻斎げんさいと呼んでくれ」


「ありがとうございます幻斎さん。先程の居合、どうして姿が消えたように見えたんですか?」


「ほう、それはアレじゃ」


そう言って篝火を指差す。


(そうか……篝火の揺らめきで足元が影になってるせいで足の動きが見えないのか……)


「その様子じゃ、わかった様じゃな」


「ありがとうございます!」


「ほほほ、元気だのぅ。今度は茶でも飲みながら話でもしようか」


「わかりました。それと、これを」


拾った刀を渡しながら笑う、刀を受け取った幻斎さんは笑いながら紫宸殿の階段を上り御簾の向こうに腰を下ろした。


「さて次は……っつ!?」


一気に篝火が消され真っ暗になる、その直後銃声と共に防御魔法が発動する。


「うーん、良い戦い方だけど……見え見えなんだよね」


魔力探知共に動く、姿が見えないけど魔力で判別可能だしな。


暗視ゴーグルの上から相手の頭を握る、俗にいうアイアンクローだ。


「ぐがぁ!?」


そのままその人を武器に、周りの人間を吹き飛ばす。


「何だコイツ!?」


「なぜ我々の位置が!?」


「がはぁ!?」


灯りを消した程度じゃ意味無いしなぁ……。


「さて、銃で撃つって事は、撃たれても文句は言えないよね」


空間収納から拳銃を抜き太ももを撃ち抜く。


「ひぎゃぁぁ!?」


それから隠れている相手まで見つけ出して、捕まえながら致命傷を与えていく。


「さて、皆さん。早急に治療をしないと、出血多量で手遅れになりますよ?」


「た、助けて!?」


「その前に、いう事があるでしょ?」


隊長っぽい人の目の前にしゃがみ視線を合わせる。


「わ、わかった! 俺達の負けだ!?」


あっという間に降伏した兵士達を治療して返してあげた。



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作者です。


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