第59話:未知の敵③
仲間たちに敵を任せ本体の所まで来たのはいいが、相手の大きさと回復力に頭を悩ませていた。
「お待たせ!優希!!」
その声に振り返ると耀達が追い付いてきた。
「お待たせ、ユウキ」
「お待たせしました上凪さん!」
「お待たせしましたおにーさん」
「ごめーん遅れちゃった」
「ただいま到着しましたユウキ様!」
「待たせたな!!ユウキ!」
「クフフ…メインディッシュに間に合ってよかったぁ」
「皆!良い所に!」
「クフフ…やはり優希もぉ、こやつに手こずるかぁ」
「あはは…物理が聞かないのがきついです…」
「しかたないのぅ、魔術師二人ぃ、妾に合わせて純粋な魔力攻撃じゃ」
「はい!」
「わかった」
「では行くぞ!!」
三人が飛び上がり魔力が集まっていく。
「妾も竜らしい所、見せて無いからのぅ…ここらで使わせてもらうぞ」
その瞬間体に纏っていた魔力がティアさんの口元に集まり「——キンッ」という耳をつんざく音と共に強力な光線が吐かれた。
「「はあああああああああ!!!!」」
そして二人の魔術師も魔力で砲撃を撃つ。
その衝撃と光でその巨体が見えなくなる。
「「「「わああああああああ」」」」
「おおおおおうこりゃっすげえええええ!!!!!!!!」
皆その威力の飛ばされない様に踏ん張っている(ちなみにガリウスは大の字で受けてる)。
光が収まると敵の体積は半分ほど迄削れている。
「ふぅ、こんなもんじゃろぅ」
「はぁ…はぁ……はぁ………なにあれ…」
「ふぅ…ふぅ……ふぅ………多分、上位竜の秘儀、【
「ほぅ……勤勉なエルフじゃのぅ……この技を使えるのは妾を除いて先代と他数名じゃ」
「見れてラッキー」
「はぁ……凄いわね……」
「さて…いつまでも見てる暇は無いぞ?」
「そうだった」
「まぁユウキの仲間は優秀じゃのぅ…」
ティアさんが指差す先には春華と神楽坂さんが既に翔けていた。
「いくよ!春華ちゃん!」
「はい!鈴香さん!」
変化した敵に対して二人共飛び上がり迫り来る触手の攻撃を春華ちゃんが弾き神楽坂さんが切り落としていく。
「あの二人はすごいのぅ……妾もあの二人なら楽しめそうじゃ」
「止めてくださいよ……あの二人女の子なんですから……」
「クフフ……もう少し鍛える位なら良いじゃろぉ?」
「まぁ……二人が良いなら……強制しないで下さいよ?」
「わかっておる、妾の加護もやったしのぉ」
「【真龍の加護】かよ!へぇ……俺も戦ってみたいぜ……」
「もうやだこの戦闘狂達……」
「さて……そろそろじゃなぁ」
「おう!トウカ!白狼王の娘よ!行くぞ!」
「はっ、はい!!」
「さぁ!乗りな!!」
獣化したガリウスに二人が飛び乗り走り出す。
「「はああああああああああああああ!!」」
春華と神楽坂さんが残りの触手をまとめた腕を切り裂く。
「うおおおおおおおおん!!!」
そこに雄たけびを上げたユキが突撃して残りの体を吹き飛ばす。
「トウカ!外すなよ!!」
「大丈夫!外さないよ!!」
ガリウスに乗った冬華が至近距離で全力の矢を放つ、その衝撃で本体の核になった人間が出てきた。
「ウボアアアアァアアアアア」
黒い泥の様な体の中心に核がある。
「ユウキ、あの魔石が弱点」
魔眼で弱点を見抜いたユフィが俺に伝える。
「わかった……『小鳥遊流刀剣抜刀術改——
身体強化した状態で左手の魔石から充填した魔力を纏わせ、神速不可視の斬撃を3つ重ねる、それを点の様に束ね一点を切る、本体と後ろの森、そして上空の雲が消し飛ぶ。
「————ふぅ」
残心の姿勢を解いて刀を収める、うん……封印しようこの技、斬撃の余波がやばすぎる。
「いやぁ……楽しみよのぅ楽しみよのぅ……死合うのが楽しみじゃ」
開口一番怖い事言わないでくださいティアさん…
「ともかくこれで倒せたよね?」
「ん、鑑定と千里眼で見ても敵は居ない」
「ありがとう、便利だね魔眼」
「ん、疲れるけど優秀」
「優希~疲れたぁ~」
おう……耀さん、そんなに圧し掛かられると幸せな感触ががが……
「おうユウキ!早速嫁とイチャイチャしてるな……発情期か?」
皆を乗せたガリウスが戻ってくる。
「あ、ガリウスお帰りなさい」
「みてみて~ガリウスさん凄く乗りやすいの!」
ガリウスの上から冬華が手を振る。
「凄いですよね、こんな大きいのに……」
「おう!うちの娘も乗せて走り回ったからな!」
「なんか疑似、もの〇け姫っぽいんですよねこの感じ」
確かに……ライオンだけど……大きさがあのビジュアルとそっくりなんだよなぁ……
「ユウキ、俺はとりあえず先に戻るぞ。このままだとパンイチだからな」
「わかった、冬華達はどうする?」
「乗ってっていいなら乗ってく!」
「私も出来れば乗りたいです……」
「こんな機会無いですし……ご迷惑でなければ……」
「じゃあガリウス、迷惑でなければ乗せて行ってもらいたいんですけど……」
「おう、構わないぜ!じゃあ先に行くな!」
「「「きゃーーーー♪」」」
三人が楽しそうにガリウスに乗っていった。
「じゃあ帰ろうか?」
「妾もかえるかのぅ……ユウキ約束をわすれるなよぉ~」
「いつでも良いんですか?」
「よいよい……妾は暇でのぅ……明日でもぉ~10年後でもぉ~大丈夫やでぇ~」
そう言ってティアさんは飛んで行った。
「え?そのまま帰るの?」
「そうみたい」
「みたいだね~」
「それでユフィさん、何してるんですか?」
いつの間にか俺の首に腕をまわしぶら下がってるユフィ、俺の体で豊満ボディーが潰れている。
「ん、私も疲れた、運んで」
「でも手が塞がってるんだけど…」
「大丈夫、浮いてるから」
「浮いてるなら良いのでは?」
「ほらー優希、けち臭いこと言わずに良いじゃない」
「まぁ耀が良いならいいけど…」
そしてそのまま幸せサンドイッチで自陣まで帰ると尊敬と羨ましそうな目で見られる見られる、なんかすみません……
「ははは!流石はユウキだな!」
天幕の所で笑ってるシド様の前まで来て二人を降ろす。
「ユウキよ、一度ならず二度までも、よくぞ世界を救ってくれた」
「あはは、今回もですが。仲間も居てくれたので勝てましたよ」
「そうか、仲間たちにも感謝だな」
「はい!」
そうしてシド様が拡声魔法の魔道具を持つ。
「皆の者!敵は勇者とその仲間の手により倒された!凱旋じゃ!!」
シド様が手を上げると戦場に喜びと勝ち鬨が上がった。
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4章の山場は終わりました!次章は現代に戻ります!
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