第36話:だから、怖いって…
貴族の待つ部屋に入ると、室内に居た人達の視線がこちらに向いた。
大半は驚いた顔を、数名の若者は『誰だコイツ?』という顔をしている。
「皆様お待たせしました、本日はお集まりいただきありがとうございます」
そう言ってざわつく貴族を見回すエアリス。
そして見た事無い若手の貴族が手を上げる。
「すみません姫様、そちらの方は?」
「おま!そちらの方を知らないというのか!!」
ご老人の貴族が慌てる、さらにもう一人、成金みたいな恰好をした貴族が声を上げる。
「それに馴れ馴れしくないですか?我々の姫様に」
大半の貴族が溜息をつく、半分が顔見知りだし、昔俺にちょっかいかけてきた貴族は顔を背ける。
『前回の戦いには出てたのですが、後方で兵站管理を任されていた貴族の息子ですね、先週あたりから父親がご病気で代理で来られてます、それもあって知らないかと』
こそっとメイド長が耳打ちしてくる。
「あら…この方を知らぬとは…」
王都近郊にある港湾都市の統括している貴族の女性当主がクスクスと艶やかに笑う。
それにあの人…以前より若くない?
「まぁ、貴殿は代替わりした故、知らぬと思われる、妾が説明をよろしいか姫よ」
「えぇ、お願いするわ」
エアリスがにっこりと返事をする。
なんか二人の間で火花散ってない?なんか圧が怖いんだけど…
「このお方は、あのクヌスの街で1000人切りをし、獣王に打ち勝ち、ドクリンでは竜を討ち取り、エルフの森を数多の魔物より救い、最後には邪神を討ち払った【勇者】カミナギ ユウキ様その人であらせられるぞ!」
うん!話盛られた!100人だし、ガリウスには負けてるんだけど!倒した竜は人を襲う下級竜だよ!?後は本当だけど。
ちなみに上~中級竜は人語も判るし知能も高いので人は襲わない、敵対することは無いので腕試し以外戦う事はない。
うんまぁ、エアリスのドヤ顔が可愛いし、相手の貴族もビビってるからほっとくか。
「なっ…こいつが…あの勇者!?」
「「「コイツだと(ですって)?」」」
メアリーとエアリス、女当主さんが地獄より深い声を出す…怖いって!
「まぁ、かような
「
そう言ってエアリスは左手に着けた指輪を見せる。
「「「「「「「「「「!?!?」」」」」」」」」」
集まった貴族たちが呆けている、無論先程ビビっていた貴族もだ。
「あら?でも婚約指輪や結婚指輪は右手に着けるのが慣習…そうでしたわね…勇者様の世界は婚約指輪を左手に着けるのが慣習でしたね」
なんか勘違いされてるが、まぁ…何も言わなくても良いか…
「ええ…ユウキ様が慌ててしまいまして…せっかくなので、そのままにしています」
「あら、残念…せっかく勇者様を味見出来ると思ったのに。まぁ…いいでしょう…代わりに勇者様には妾と一戦交えていただきますわ…竜王様より先に」
解かれたお団子から角が生えチャイナドレスからは尻尾が、頬が鱗に変わり、瞳は竜族の眼になる。
「構いませんよね?ユウキ様?」
「はい、お手柔らかにお願いします。ハーフとはいえ上級竜に数えられる
「ククフ…これは儲けもんじゃ…この
そう言うと会場はざわつく、この世界で複数ある港湾都市それも指折り3つの中に数えられる程の大きさ、ドクリン(竜の国)・アストラ両国の国境を股にかける大貴族が参加をするとなれば会場もざわつくだろう。
しかもそれが手柄をより多く貰う為の会議で、勇者と手合わせという未知数の報酬を手にされて引き下がられれば多くの貴族は混乱する。
「ふう…風家にそう出られてしまっては欲張れんではないか…」
そう言って老齢の貴族が腰を上げる。
「勇者殿、我が息子・孫にも稽古をつけてもらえんだろうか?あの【獣王】を超える男に鍛えられたとなれば、孫の嫁の貰い手も増えようぞ」
「ホークアイツ侯爵、よろしいのか?」
「元より様子見していたがここいらが潮時だろう、それを土産に参戦しよう」
『王国の三大巨頭の内2つが…』
『だが、ホークアイツ侯爵が言うように勇者殿も参戦されれば、戦も終わりだろう』
『そうだな、ここが引き時、更に勇者殿の呼び声に集まれば箔が付くか…』
「俺も参戦しよう!」
「俺もだ!」
そう言いだした諸侯により次々と参戦を表明する。
「では、会議を終える、参戦される諸侯には時間が無くてすまないが、5日で合流してもらいたい」
そう言うエアリスに不満を漏らす者、肯定する者様々だが古い貴族であればあるほど文句は無い。
そんな中俺はメアリーとメイド長に聞く。
『流石に5日は少なくないですか?』
『そんな事は無いですね。ほとんどの貴族はこの会議の後、参戦するつもりでしたから。恐らくもう駆け付ける準備はしてありますよ』
『そうですネ、恐らく有利な条件を引き出しテ、それから迅速に参戦して好印象を高めようとしていたでしょうかラ。実際王都に来る途中の貴族ハ、既に準備を終えているようでしたかラ』
『小狡いですねぇ…』
『そうでなければ、貴族は出来ませんよ』
『苦い顔をしているのは大体が新興貴族ですし、納得ですね』
『そろそろ会議ガ、終わりそうですヨ』
会議は終わり、ぞろぞろと会議室から貴族が出ていく。
急ぐ者、ゆったり出る者、その顔も悲喜こもごもである、何人かに握手を求められたり、夕食会に誘われたり、睨まれたりした。
後のメイド二人が睨んだ貴族の名前をチェックしてたりする。
『フフフフ…』
『クックックッ…』
だから怖いって…
そうして皆が出て行った後残ったのが、龍頭伯爵とホークアイツ侯爵の二大貴族家だった。
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あとがき
作者です。
※追記※
龍頭さんの情報を近況ノートに追加しております。
手足の痛みとPV数が落ちて心が折れそうな作者です。
今日は2話更新できそうなら頑張ります!
その内異世界の設定をもう少し出しますね(生活用品とかそうゆう分野での)。
56万7000PV超えました!!感謝!!
昨日は5300PVでした!
それでも読んでいただける方、ありがとうございます!
♡も1万1800!超えました!
伸び続けてる!!感謝です!!!
☆610を超えました!!
ありがとうございます!感謝!!
新規ブクマもありがとうございます!
☆もらえるとランキング上昇するのでくれると嬉しいです!!目指せ週間50位以内!!!
ジャンル別
週間:104位
日間:165位
月間:84位
です!
総合ランキング
週間:366位
月間:270位
感謝です!!!!
遂に週間100位より落ちました…
皆様の☆(星)とブックマークのお陰で登ってます!
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