第64話:天照大御神

宇治山田駅で降りた俺達は一条さんと合流して伊勢神宮へ向かう。


「稲荷神社の宮司さんから俺の電話がありましたよ。何やらお急ぎだった分挨拶もろくに出来ずすみませんとおっしゃっつてました


「あ、あはは……あの時は電車の時間があったので滅茶苦茶急いでましたから……お気になさらずと伝えて下さい」


「そうだったんですね、確かにあの特急は1日1本ですからね」


「あはは……お陰でゆったり過ごせましたよ、そうでなかったら転移で移動してくる予定でしたから、そうなったら風情も何も無いですからね」


「それは良かった、まぁこちらの移動はバスになってしまっているので風情も無いのですみません」


「後でゆっくりと観光させて貰いますので大丈夫ですよ」


そんな話をしていると裏道から伊勢神宮の内宮の中へと入った。確かに内宮の中は普通より神力が強く感じる。


最近分かった事だけど、人の多く集まる寺社仏閣の宗教施設は魔力よりも神力が多く入っただけでなんとなくわかるようになった。


「到着したようですね、お待たせしました」


バスが駐車場に到着した、ここからは込み入った話を聞くグループと散策をするグループに分かれる。


「それじゃあ任せたよ春華・鈴香・里菜・巴ちゃん、何かあったらすぐにここに戻ってきていいからね」


「はい、わかりました」


「基本的には大丈夫だと思いますけど……」


「何があるかわからないからね」


「任せて下さい!」


それから優羽と異世界組の皆と共におかげ横丁の方へ向かって行った……

正直厄介事の匂いがしてるのであれもあっちに行きたい……。


「ほら、優希はこっち。面倒だろうけど、さっさとお仕事を済ませるわよ」


「はぁい……」


耀に引っ張られて神宮司庁の中に入っていくのだった。


◇◆◇◆

「優希さん、こちらです。私は別室に居ますので何かりましたら内線を使ってください」


「わかりました、ありがとうございます」


一条さんに通された一室、貴賓室の様な場所へ通されると、そこには着飾った女性がちょこんと座っていた、その隣には綴さんの姿もある。


「あっ……うわぁぁぁぁぁぁん!!」


俺を見た着飾った女性が泣きながら目にもとまらぬ速さで俺に抱き付いて来る、鼻水が凄い……。


「あーあー、たいへんねぇ……お久しぶり、優希君」


苦笑いした綴さんがやって来る、どうやら先に着いていた様で説明をしてくれる。


「この子……アマテラスさんなんだけどね、優希君に会うためにこっちに来たのは良いけど落ちた場所が良かったのか悪かったのか、歓待されて数日間本当に大変だったそうよ」


「えっと……話を聞きたいんだけど……」


「うわぁぁぁぁぁぁん!!」


「もしもーし」


「うわぁぁぁぁぁぁん!!」


「はぁ……先に謝っとくよ……ていっ!」


スコーンと小気味いい音が鳴った速度でチョップを落とす。


「あべしっ!? あ、あれ私……」


「えっと落ち着いたかな?」


「は、はひぃ……しゅみません」


ポカンとしている顔で返される。


「落ち着いたなら良かった、とりあえず座ろうか」


「はい、私が言うのもなんですが……席へどうぞ」


なんか革張りのお高そうなソファーへ招かれる、沈み具合が半端ない。


「それで質問なんだけど大丈夫そう?」


「はい、何でも聞いて下さい! 私の権限で許す限りですが!」


了承が出たので俺達の周りを風魔法で包む、外に聞かれると問題ありそうな話になるだろうからね。


「わかった、まず聞きたいのは君は一体何なんだい? ツクヨミさんだったりスサノオ君、それから宇迦之御魂さんもなんだけど素体とかAIとか言われたけど、よくわかって無いんだ」


「はい、私達は理恵様より作られた量子演算AIです、肉体は素体ですので人間と変わらないですが、魂は入ってません」


量子演算……なんかアニメや漫画でしか聞いた事無いけど、凄いんだろうな。


「そうなんだ、それで聞きたいんだけど理恵は?」


「はい、理恵様は数百年に一度の神様の会議に出向かれてます。その間、理恵様が管理される世界の管理と維持を任されております!」


だから理映と連絡がつかなかったのか……それにしても会社っぽい構造だったし会議とかあるんだな、大変そうだ……。


「わかった、それでアマテラスさんはどうしてここに?」


理恵が居ないのもわかった、でもそれだったらアマテラスさんがここに居るのはおかしいよな。


「は、はい! それは……そのぉ……」


言葉尻から元気が無くなる、どうやら何か問題があるようだ。


「実は、私のミスで別の世界と繋げてしまい、その世界の情報が流入してしまったんです。そのせいで日本にダンジョンが増えてしまったり、神話や過去の偉人たちの意志や魂を持った存在が生まれてしまったんです」


思い当たる節がある、凄くある……。


「あーうん、思い当たる節があるな。つい最近もだけど確かにそういった存在と会ったよ……」


鬼一を思い出しながら言うと。


「すみませんでしたぁ!!」


見事な土下座をするのだった。


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作者です。


【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!

読者の皆様ありがとうございます!!


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