第65話:天照大御神②

話しが進まないので、再度ソファーに座ってもらい話を続ける。


「えっと、つまり今回のこちらの世界にダンジョンが増えたのはアマテラスさんのせいって事ですか?」


「はいぃ~申し訳ありません~」


ずびずび鼻水を出しながら謝って来る。


「うーん、質問なんだけど。なんで理映はそんなシステムを考えたんだい?」


「うーん……理映様が漏らしていたのは皆が安全にレベルアップ出来るようにしたいとおっしゃってました」


「んー? どういう事だろう……」


別の世界にそのシステムを作ることがどうして俺達の世界の人達をレベルアップ出来る事に繋がるのか?


「あーそれ……私知ってるかも……」


耀が手を挙げる。


「何か知ってるの?」


「うん、優希が召喚されて異世界に飛んでる時、私達がパワーアップしてたでしょ? その訓練を試験的なVR空間でやってたのよ。理映が言うには痛みはあるけど、死にもしないしいくらでも技や魔法の練習が出来るよって言ったのよ」


「はい! 実にそれです! 異世界に地球と同じフィールドを構成してそこで皆さんが様々な戦い方を学ぶ練習にするとおっしゃってました」


「そうなんだ……それってこの世界の人が誰でも出来る様になるの?」


「はい! さすがに全世界の皆様が同時に出来る訳ではありませんが【世界ダンジョン管理機構】の支部に設置して、探索者さんのスキルアップなどが出来る仕組みにするとの事でした」


胸を張って言うアマテラスさん、というかそんな事を喋って大丈夫なの? 理映に怒られない?


「というか何その【世界ダンジョン管理機構】って……初耳なんだけど……」


「その話、どこで聞いたんですか!?」


今まで聞き役に徹していた綴さんが、いきなり身を乗り出す。


「えっと……まさかまだこの世界に【世界ダンジョン管理機構】はありませんか?」


やらかしたという顔をしているアマテラスさん。


「えぇ、今はまだありませんね……。まぁ優希さん達には今回の出張から帰って来たら話すつもりでしたし、話が早くなりそうですから説明しますね」


綴さんは仕事用の鞄から紐で止めるタイプの茶封筒とファイルを取りだしてきた。


「こちらが説明用の資料です。今は世界中の省庁がダンジョン管理を行っている段階ですが将来的には設立される予定です。それに現状、世界最強の戦力が集まっているのが日本だけですから。世界中の都市や遺跡で発生しているダンジョン対策を講じる上で国際的な機関が必要になるという話は前々から出ていたのよ」


そこに書かれているのは国際的な機関としてダンジョンを管理運営していく事だったり運営費の事、訓練法や知識の共有等が書かれている。


「取引先企業として俺達の企業名が書いてある……」


「巴ちゃんから許可は貰っているわ、素材や魔石の代わりに装備などを手配してもらえるようにしているわ」


俺達以外にも書かれているが半分くらいは世界の兵器メーカーにカテゴリーが入れられている。


「そうだったんですね、まぁダンジョンとは長い事付き合っていくでしょうし、良いんじゃ無いでしょうかね?」


ちゃんと皆と話し合ってからにはなりそうだけど。


「ありがとう、もう少し中身が固まったら改まってお話をさせて貰いに行くわね」


「わかりました、皆にも参加しても良いか聞いてみますね」


「ありがとう、仮資料だけどこれ持っていってね」


茶封筒に仕舞われた資料を渡される……良いのかこれを俺達が持ってて……。


「それで、アマテラスさん。大分話が逸れちゃったけど戻しても大丈夫かな?」


「は、はい! 他に何か聞きたい事があるようでしたら私もお答えできる範囲でお答えします」


「わかった。それじゃ聞くんだけど、アマテラスさん、ツクヨミさん、スサノオ君と宇迦之御魂さんは、一般世間に知られた場合どう対処すればいいかな?」


現状アマテラスさんはこうして知られてるし、宇迦之御魂さんは数多くの人には見られてないが今日一日は伏見稲荷で巫女さんとして働いてるはずだ。


「そうですね……どうしましょう……」


個人的には隠すより、世間に公開してしまった方が早い気がするんだよなぁ……。何かあった時にフォローするのが凄く楽になりそうだし、とゆうか日本人は宗教に熱心では無いけど年始に初詣や家に神棚を飾るくらいには神様という存在は浸透してるし……。


「それと、アマテラスさんの仕事は地上から出来るの?」


「設備が整えば出来ない事も無いですが……地上ではまだ未知数の技術ですので持ち込むと何が起きるかわからないのです」


「そうか、その仕事は一日の内どのくらい時間かかるの?」


「そうですね……監視は月読ちゃんと交代でしているので大丈夫かと思います……諸々の作業も含め12時間程ですね」


「じゅ……12時間……」


神様の仕事……ブラック過ぎない?


「あはは……人間さんの労働時間もその位ですし、夜は月読ちゃんがお仕事してくれるのでそこまでではないですよ」


「それはそうだけど……うーん……そこは理映と相談になりそうだなぁ……いつ頃帰って来る?」


「えっと……ゴールデンウィークには帰ってくるそうです」


「そっか……あとひと月くらいか……ともかくバレちゃってる範囲には周知しておこうか、そうすれば何かトラブルが起きた時に動きやすくなるし」


「はい、わかりました。それで……月読ちゃんとスサノオちゃんがご挨拶したいそうなのですがここに呼んでも良いでしょうか?」


「うん、オッケーだよ……ん? スサノオ〝ちゃん〟?」


「はい、私達は理恵様の素体として作られましたので、〝身体〟は女性ですよ?」


「そ、そうなのか……そうなのか……」


「あ、あれ? 優希様!? わ、私何かしちゃいました!?」


「あー大丈夫よ、優希の事だから男友達が出来ると思ったんでしょうね」


耀の言葉に皆が頷く、いや俺そこまで男友達少なくないもん……もん……。



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作者です。


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