第48話:奇妙な光景が広がってました……

鞍馬から電車に乗り京都駅に到着する、時間は11時を回った所だ。


「間に合いましたね優希さん」


京都駅へ先に到着していた巴ちゃんが隣に並ぶ。


「うん、間に合わなかったら『転移』で戻って来るところだったよ」


「そうなると大変ですよね、周囲の皆様が驚かれてしまいます」


ふふっと笑う巴ちゃん、今日は久々に皆と出かけるという事もあって気合が入っている。


「でも、これだけ人が多いと気付かれは無さそうだけどね」


「そうですね、一昔前は外国人の方が多かったですけど、今は日本人の方がとてもいいですね」


聞く所によると、世界中にダンジョンが出来てから海外旅行での危険度が上がったせいで国内での旅行の需要がかなり上がっている。


それと同時に訪日する人は減り、世界各国で国内旅行への転向が行われている。


とは言っても俺が居るという事で、日本は世界でトップクラスに安全地帯と言われてるんだけどね。


「あ、そうだ。綴さんから連絡あった?」


「はい、ダンジョンがあると思わる地域……特に山や湖が多いのですが、規制はかけてあるそうです」


モンスターやダンジョンの目撃された地域……伊勢や丹波や吉野と昔妖怪の名残があった地域が多いそうだ。


「そっか……京都校の皆が偵察に行くのは5日後だっけ?」


「そうですね、今は皆さん春休みを楽しまれておりますね」


「それじゃあ、俺達も楽しまないとなぁ……」


大きく伸びをする、今日の顛末含め綴さんに伝えないとなぁ……。


「あっ、皆さん来られました」


報告用の文章をスマホに打ち込んでいると、巴ちゃんが声を上げた。


「おぉ……」


遠目から見てもわかる、あの一団だけ作画が違う……外から客観的に見た事無かったけど皆とびきりの美人揃いだ。


「皆さん、気合入ってますね……」


「あぁ、普段から可愛いし美人だと思うけど、ここまで凄いとは……」


道行く男女が振り返り足を止める、エアリスやリリアーナから出ている高貴さなのか、いつもは遠出する際に隠しているユフィやユキやセレーネの耳が出ているからなのかわからないけど、人の波が割けて道が出来る。


「ですね……私なんて気後れしちゃいますよ……」


「いやいや、巴ちゃんも今日は凄く可愛いよ? いつもしてないお化粧もしてるし、服も持ってきてない奴でしょ?」


「えっ? 気付いてたんですか?」


「いやいや、気付くさ。言うタイミング逃しちゃっただけで……」


「ふふっ、気付いてもらえてよかったです」


そう言って腕にくっついてくる巴ちゃん、とても上機嫌なのかガッチリホールドしてくる。


「——ぐえっ!?」


ホールドされた瞬間、左脇腹に衝撃が来る、痛みは無いしバランスも崩さないけどこの感じ久しぶりである。


「おはよう冬華、こうして突撃されるのは久しぶりだね」


「むぅ……巴ちゃんとイチャコラしてるから油断してると思ったのに……」


久々に甘えてるなぁ……いつもは優羽や皆が居るからやって来ないけど非常に珍しい。


「俺は命でも狙われてるのか……それにしても今日はかなり可愛い系の格好だね」


「えへへ~、おにーさんの匂い、久しぶりだぁ~」


――すぅぅぅぅ。


「ほらほら、こんなところで吸わないの」


頭を撫でながらゆっくり剥がす、すると次に正面に衝撃が来る。


「冬華、ずるいです……」


春華が抱き付いて来る、珍しいな。


「次は私も~」


今度は耀だ、それから次々と交代でくっついて匂いを吸って来るのだった。



◇◆◇◆

「えっと……皆、食事会ぶりだね元気だった?」


それから皆に吸い回され解放される、順番待ちの後継が凄く奇異の目で見られてたど……。


「元気よ、大体皆1週間前に会ってるじゃない……」


「あーうん……そうなんだけどな……」


なんかこれだけ一同に会うと俺の居場所がどこに居れば良いのか、わからなくなる。


「なーに気負ってるのよ……全員優希の嫁でしょ?」


「そ、そうなんだけどね……」


「とりあえず移動しようか! せっかくだし着物を用意したからさ!」


駅前で固まっているのも悪いし、とりあえず移動しよう。


手配していたバスに乗り皆と三条さんのお店に向かった。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇アマテラスside◇

「いたたぁ……まさか一直線に落ちてくるなんて思いもしなかった……」


どこだろう……暗い倉庫みたいな場所に落ちちゃったんだけど……。


「これは……鏡?」


綺麗に割れている、これって歴史的な遺物なのでは!?


「あわわわわわ、どうしよう……」


ガサゴソと合わない鏡をくっつけようとするが、上手くくっつかない。


そんな奮闘をしていると倉庫の外がざわざわとし始める。


「……ね………………のは」


聞き取れないけど、外で人が話している……これはまずい。


「やばいやばい、これは怒られる!?」


隠れる場所は!? いやいやまず土下座を!


――ギギッ……。


扉が開く音がする、まずは天井と鏡の件、誠心誠意謝ろう!


「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!」


私は思いっ切り、完璧な土下座するのだった。




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作者です。


【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!

読者の皆様ありがとうございます!!


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毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


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毎日ありがとうございます!!

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