第60話:豊穣神②

「さて……あの女性はどうするかな……」


下に向かった三人を見送った後、目の前の女性に向き直る。


「反応が無いのは不気味よね……」


「ん、それに。アレは生きてない」


魔眼を発動したユフィが言う。


「マジか……『鑑定』」


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名前:神の作りし素体 性別:無 年齢:無

状態:休眠中 ジョブ:無

備考:神の作りし、世界管理用の素体・ダンジョンと融合中。

   神性は『宇迦之御魂神』由来の豊穣神。

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どうやら理映の関係者の様だ。


「休眠中か……さてどうしたもんか……」


問題は、魔力を吸い上げて地上に放出し続けてるという事だ。


それ自体は、ダンジョンの外だと問題は無いのだが。ダンジョンの内部だと何かしら変異や異常が出る可能性がある。


「どうするユウキ?」


――ヒュン!


ユフィが聞いて来た瞬間、空から矢が飛んで来た。


矢文やぶみ?」


「矢文だね」


「矢文ですね」


「凄い……初めて見た……」


咄嗟にキャッチしてしまったが、どこからどう見ても矢文だ。


「えっと……これは勝手に読んでも良いのかな?」


「良いんじゃない、優希に飛んで来たわけだし」


「じゃあ……何々、『拝啓 上凪優希様。桜の季節も終わり春も深まるこの時期いかがお過ごしでしょうか。 この度は、私共の手違いで疑似神の素体を落とし、地上に迷惑をかけてしまい大変申し訳ございません。つきましては、こちら側(神)の介入が出来る様にダンジョンとその素体の融合を解除して欲しいのです』」


「えっと……想像以上に大変な事になってるのかしら?」


「みたいだな……二枚目もあるな『方法なのですが、皆様の神器で全力の一撃を入れて欲しいのです、神の力を外部から叩き込むことにより、私達の介入が出来る様になりますので。何卒宜しくお願い致します。今だ寒い時期が続くとは思いますが、皆様ご自愛くださいませ。ツクヨミ』だって」


「ツクヨミってあの神話に出て来る月読命ツクヨミノミコト?」


「そうかもしれない……さっき綴さんから、伊勢にアマテラスを名乗る人が落ちて来たって言ってたし」


話半分だったけど、アマテラスさんも本物っぽいな。


「じゃあ本物……」


「恐らくそうだろうね、神器か……ユキと鈴香に来てもらう必要があるのか……」


『優希さん、鈴香さんは二ノ峰から折り返すそうです。ユキちゃんも準備は出来ました』


「わかった、じゃあユキを迎えに行ってくる」


「わかったわ」


「ん、いってらっしゃい」


「私達は警戒してますので!」


「いってら~」


最後に一人だけ気が抜ける様な冬華の声に見送られ、俺はふもとまで転移するのだった。


「そういえば、ユキちゃんっておにーさんとあんまりしてないから耐性は低いよね?」


「「「「あっ……」」」」



◇◆◇◆

「よっと……ユキお待たせ!」


「ユウキ様! 準備できてます!」


駆け寄って来るユキの手を取り、転移の為に頂上に居る皆の魔力を捉える。


「そういえばご主人様、ユキちゃんの耐性、大丈夫なんですか?」


ニヤニヤしながらシアが聞いてくる。


「耐……性……?」


「やだなー忘れちゃったんですか? 上の皆さんはご主人様のご寵愛を沢山受けてるから、ダンジョンの異変に耐性があるんですよ~」


「「あっ……」」


俺と巴ちゃんが間抜けな声を出す。


「ごちょうあい?」


「閨事の事ですヨ」


メアリーさん何教えとるんですか!?


「という訳デ、ご主人様。こちらニ、移動式の簡易ルームをご用意しましタ」


指差した先に何故か見えるピンクのトラック、何か女子がざわついてると思ったらそんなものあればそうなるよ!?


「マジッ○ミラー号でございまス」


「何用意してるの!? とういうかそれって普通に手に入らないよね!?」


「おヤ、ご主人様はこれが何か知ってるご様子ですネ。まぁ、ご主人様の趣味を理解するために倉庫を漁った甲斐がありましタ」


「うっ……ヒュッヒュー」


「うわぁ……誤魔化し方下手ですねぇ……」


仕方ないだろ健全男子なんだから!


「うっ……あの手は全部バレない所に……」


「無駄だよ~けんさくりれき? も全部共有済みだから」


「もう……コロシテ……」


「という訳デ、こちらヘ」


ガシッとシアとメアリーに掴まれる、そして持ち上げられる。


「ちょ!? まって!!」


「今は緊急事態ですのデ」


「そーそー、観念して身をゆだねて♪」


「さ、流石に皆が見てる前でMM号あそこに連れ込まれるのは恥ずかしいし、顔合わせられなくなるから!?」


「ユキちゃン、さあいらっしゃイ」


「はい!」


「ちょっと待って!流石に不味いって! というか唾液でも良い筈じゃん!」


身じろぎするけど、なんか凄い力強いんだけど!?


「それは鈴香さんに取っておいて下さイ」


「それと、ユキちゃん。大人モードに変身してね。そっちのがご主人様の外聞を守れるから」


「はい? わからないけどわかりました!」


大人モードのユキも加わり押し込まれる。


「と、いう訳でサクッと搾りましょう」


「時間無いからね~」


そう言ってシアが扉を閉め、鍵がかけられた。



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作者です。

緊急時だからね!シカタナイネ!


【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!

読者の皆様ありがとうございます!!


242万2000PV超えました!!ありがとうございます!

毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


♡も4万6700超えました!! 

毎日ありがとうございます!!

☆も1343になりました、1340超えました!ありがとうございます!

感想も新規ブクマもありがとうございます!!

いつの間にか6240超えてました! ありがとうございます!

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