作者も読者も全員で楽しむ、年に一度の物語の祭典! 賞金総額750万円以上&商業化作品数日本No.1 KADOKAWA主催の国内最大級の小説コンテスト
12,309 作品
「お前を今日限りでこのパーティから追放する!」
突然そんな言葉が向けられたのは、幼馴染で親友のロロ。
突然の暴挙に反対するも、強硬な姿勢を崩さないリーダーのアルバートに嫌気がさしたユルグは、追放された親友ロロと共に国選パーティ『シルハスタ』を抜けることに決めた。
これまで一緒にやってきた仲間を理由もなくで放逐するパーティなど、国選だろうがこちらから願い下げだと告げ、ユルグはロロと共に東の辺境にある故郷マルハスへと帰還する。
そんな騒動の数日後、ユルグ達を追って冒険都市を旅立つ少女がいた。
『シルハスタ』を国選パーティへと押し上げた理由の一つ、〝聖女〟フィミアである。
当然、『シルハスタ』は、そして彼女に恋心を寄せるアルバートは大きく混乱する。
役立たずを一人切ったことで、主要メンバーと想い人がいなくなってしまったのだ。
思い通りにいかないアルバートはフィミアの追跡を始める。彼女がいなくてははじまらない、と。
一方その頃、ユルグ達はマルハス周辺の異変を調査すべく、冒険者として活動を始める。
名うての実力であるユルグとロロ、そしてフィミアの合流したパーティ『メルシア』は徐々に辺境で名を轟かせていく。
これはやがて〝辺境の勇者〟と称される冒険者、ユルグの物語である。
冒険ビギナーのJC配信者に弟子入りされて20年ぶりに潜ったら…
20年前、八王子市に出現したダンジョン。
ラスボスを倒して未知の資源が眠るダンジョンを開放した「無刀の英雄」藍川英二は、今はその功績を隠して「(株)日本ダンジョン」の下請け企業で社畜として働いていた。
元冒険者なのに特権である「刀」を持たない彼は、時に蔑まれるが、淡々と自分の職務をこなす日々。
そんな彼のもとに、かつての仲間の姪っ子・未衣が弟子入りしてくる。
「お願いおじさん。あたしと一緒にダンジョン配信して!」
一度きりという約束で付き合う英二だったが、かつての戦場が悪徳上級国民たちが跋扈するカネ儲けの場と成り果てているのを目にして――。
「ダンジョンはお前らの遊び場じゃない。汚いカネ儲けの場所でもない」
これは元英雄という過去をひた隠すおっさんが、娘のような歳の女子中学生たちの冒険をコーチしているうちに、心ならずもブレイクしまくるお話。
現実と地続きのファンタジーを描くこの「現代ファンタジー部門」ですが、その中でも最も作品数の多い「現代ダンジョン」作品。
たくさんの方が「ダンジョン」をベースに「ハズレ職」「配信」「学園」など様々に個性をつけて世界観を作っており、選考でありながらもそのアイデアやキャラクターの魅力を楽しませていただきました。
今回大賞に選ばせていただいた『『無刀』のおっさん、実はラスダン攻略ずみ』は、その世界観の作りこみが抜群だったと思います。
東京の誇るベッドタウン・八王子にダンジョンが存在し、さらには「(株)日本ダンジョン」の下請け企業に主人公は勤める。あれ、本当に八王子にダンジョンあるんだっけ?と思わせるリアリティが、五感情報を余すところなく記した表現力で描かれており、意識することなく作品の世界が理解できました。
これは設定の取捨選択の上手さ、そして細かい部分の描写にまで気を使い世界観を描写する意識から生まれるクオリティでした。
そしてその設定の中に埋め込まれているキャラクターたちの「王道」さ。
『元英雄』の肩書を隠している主人公、という昨今ではもはやベタなキャラ設定も、その作りこまれた世界観だからこそ、唯一無二のキャラクターの魅力として際立っていました。
そんな主人公に惹かれるヒロインたちもまた、作りこまれた世界の中で生き生きと動いており、当然魅力的。
神は細部に宿る。そんな表現がふさわしい本作を、今回大賞に推させていただきました。
今回は本作を大賞に選ばせていただきましたが、どの作品もそれぞれ魅力的な部分がたくさんありました。
ぜひ今後も皆さんが、自分の文章、そして作り上げる世界観ととことん向き合い、唯一無二の作品を掲載されることを心待ちにしております。
電撃はいつでも、皆さんが手掛ける真っ直ぐな「面白い」をお待ちしております。
電撃の新文芸編集部
愛なんて形の無い物、こっちも求めてないんですよ。白い結婚大歓迎!
「これは政略結婚だ。君を愛するつもりはない」
どこぞの大衆娯楽小説で読んだ様な、オリジナリティの欠片も無い台詞から始まった結婚生活。
アナスタシアは傷付いて俯……かなかった。
「まぁ、ほぼほぼ想像通りの展開よね」
国有数の資産家である伯爵家の若き当主ユージーンと、下町育ちの公爵家の養女アナスタシアの、政略結婚から始まるちぐはぐストーリー。
育ちも価値観も違う2人に、徐々に絆は芽生えていく…のか!?
めげない、媚びない、容赦はしない!
雑草魂の伯爵夫人アナスタシア、ここに見参!!
主に女性読者を対象に異世界を舞台にした恋愛作品が多く集まった「恋愛(ラブロマンス)部門」。個性豊かなキャラクターとオリジナリティ溢れる世界観で繰り広げられる、多種多様な恋愛模様にとても楽しませていただきました。
今回、見事大賞となった『旦那様、ビジネスライクに行きましょう!〜下町育ちの伯爵夫人アナスタシアは自分の道を譲らない〜』は「契約結婚」に「特殊能力」、「両親失踪の謎」とあらゆる要素が盛り込まれながらも、読み手を惹きこむテンポとまとまりの良さは大賞を受賞するに相応しい完成度の高さでした。
そして何より魅力的だったのは、主人公のアナスタシア!
下町娘から突然公爵令嬢になり、身代わりの政略結婚をすることに。旦那様は非歓迎ムードで、嫁ぎ先は敵地同然。普通のヒロインなら心折れる状況にも関わらず、聡明なアナスタシアが雑草魂で次々と難題を乗り越えていく痛快さはたまりません。また、そんなアナスタシアに次第に影響され、心惹かれていく旦那様・ユージーンとの初々しい恋の行方も必見です!
次回以降も、現実を忘れさせてくれるようなトキメキやワクワクに富んだ素敵な作品を、編集部一同お待ちしております。
メディアワークス文庫編集部
目の前に不遇系ヒロインが現れた。
どうやら、この世界は乙女ゲームであり、自分は序盤にちょっとだけ登場する名もないモブ司祭だったらしい。
モブとしての役割を済ませてさっさとゲームから退場しても良いが……ちょっと待て、このままだとヒロインちゃんがとんでもなく酷い目に遭ってしまうぞ。
可愛くて優しいのに不遇な境遇のヒロインを救うため、俺が彼女を育成するしかない!
ここ数年でライトノベルの主流ジャンルとなった「ラブコメ」。今年もハイレベルな作品群が出揃った激戦部門となりました。
その中で見事大賞を受賞した『モブ司祭だけど、この世界が乙女ゲームだと気づいたのでヒロインを育成します。』は、昨今人気の出てきている「乙女ゲーム」を舞台にしたものです。
まず本作の注目すべきポイントの一つとして「乙女ゲーム」らしく、女性(ヒロイン)が男性(主人公)をしっかりと攻略……もとい篭絡しようと奮闘する物語となっている点です。
主人公はメイン舞台となる学園に登場するエリート生徒でも貴族でもなく、ただの田舎の司祭。冒頭で幼いヒロインを育てたのちは、学園に行ってしまったヒロインと(少なくとも序盤は)関わることなく離れて生活することになるわけですが、むしろそこからが本番。ヒロインの主人公に対する想いの深さがひしひしと伝わり、あの手この手でヒロインに取り入ろうとする男たちをばっさばっさとなぎ倒し、一途に主人公を想い続けるその姿にはトキメキを感じずにはいられません。
そう、これは読者の皆さまがヒロインに攻略される、ただそれだけの物語です。
本作はファンタジー世界でありながら、他のどんなラブコメ作品よりもしっかりラブコメをしている。それも新しい形で。そう感じたからこそ、本作を推させていただきました。
ラブコメはいかに魅力的なヒロインが生み出せるか、そのヒロインに好かれるだけの何かを持っている主人公をより多くの読者に伝わる形で描けるかどうかが大切です。
今後もそんな濃厚なラブコメ作品が生まれることを楽しみにお待ちしております。
角川スニーカー文庫編集部
売れ残り騎士と感情のない引退聖女。縁談回避が目的の不純な婚約の行方は。
救国の聖女、リネッタ。二年間の巡礼を終えた彼女は、自分の婚約者に伯爵家次男クウィルを指名した。
顔すら知らない聖女との婚約を王家から打診されたクウィルは、縁談回避のためだけにこれを承知してしまう。
巡礼を終えた聖女は、感情を失くした人形だった。恋愛ごとに興味のないクウィルはこれ幸いと婚約者を迎え入れるのだが。
今回もライト文芸部門への沢山のご応募ありがとうございました! 昨年に引き続き、様々なジャンルの物語が集まり、どの作品も楽しく読ませていただきました。
近年の人気の高まりを受けてか、中間選考突破作はファンタジー系統の作品が増えた印象でしたが、いずれのジャンルであっても、キャラクターを主軸に、彼らの人物としての魅力や関係性、物語を通じての変化などを読ませてくれる作品を多く拝見でき、部門に求める作品像をしっかり捉えていただき嬉しく思います。
その反面、タイトルやキャッチ、導入部分で面白そうだと期待したものの、実際に読んでみると、キャラクター像や展開などが既存の型の範疇から出ておらず、選出を見合わせた作品もあり、非常に惜しく感じました。
人気の設定やモチーフを参考にするのは悪いことではないのですが、単に要素を組み合わせるのではなく、その中で自分が強く描きたいと思うことは何なのか、ということを突き詰めてもらえると、より生き生きと創意に富んだ作品になるのではと思いました。
その中で、今回大賞に選ばれた『琥珀色の騎士は聖女の左手に愛を誓う』は、西洋風世界を舞台にした結婚(婚約)をめぐるファンタジー。救国の巡礼のために感情を失った聖女リネッタと、彼女との婚約を打算ずくで受けたいわくつきの黒騎士クウィル。事務的な関係から始まった2人が心通わせ、本当の意味での婚約者となるまでの物語で、2人をめぐる様々な思惑や残酷な真実に翻弄されながらも、想い合う力が世界に変革を引き起こしていく――という心ときめくラブロマンスでもあり、胸が熱くなる力強いファンタジーでもあり、とても引き込まれました。
「聖女と騎士」「仮初めの婚約」「王国(王家)の秘密」といった多くの読者がグッとくるような王道設定を上手く織り込みながらも、キーアイテムとなる「婚約の誓約錠」や、魔術に関する世界観設定など、ディテールに趣向が凝らされていることに加え、人物や関係性の描き方にも血の通った魅力があり、この作品ならではの要素が詰めこまれていることを高く評価しました。
次回以降も、多種多様な作品が寄せられるのを楽しみにするとともに、作者の「熱」や「工夫」を感じられる物語に出会えることを、心より期待しております!
角川文庫キャラクター文芸編集部
某大手出版社に秘密裏に伝わる、絶対に扱ってはならない禁忌のテーマ。それにまつわる恐怖体験談です。
今年のホラー部門には、多くのヒット作が生まれているモキュメンタリーや、因習村系、ヒトコワ系、復讐系、ゴシック風ホラーにバディものまで、バラエティ豊かな作品が多く寄せられ、このジャンルの大きな盛り上がりを実感する選考となりました。たくさんのご応募ありがとうございます。
大賞に選ばれた『Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案』は、出版業界に伝わる「禁忌」をテーマに、苦戦している小説家が怪異を調べていくというストーリーで、ニュースやSNSの投稿、担当編集者から送られてくるメールなどから、断片的にもたらされる情報がやがてひとつの怪異に収束していく構成が見事だと感じました。主人公が調べを進めていくうちに、怪異がじわりじわりと現実を侵食していく様子、そしてクライマックスで提示されるさらなる恐怖まで、ストーリー全体に緊迫感があり、最後の最後まで読者を引きつけてやまない企みに満ちた作品です。
ホラー部門には、非常に幅広い傾向の作品が集まります。ただ、昨年度と同様、怪異の設定のブレや唐突な変更など、ご都合主義に見えてしまうような作品も散見されました。また、物語の最後にすべてを一気に説明するのではなく、丁寧な情報開示を心がけていただけると、さらに読者が物語の世界に入り込みやすくなると感じました。
次回もまた、震えるほどの作品をお待ちしております。
文芸単行本編集部
思想犯として地球上から追放され、宇宙空間の個人牢獄に収監されていたカイト・クラウチ。
ある日、日課のトレーニングを終えたところで生活サポートロボットのエモーションから重大な事実を告げられる。
「地上が滅亡しました。人類社会の終焉にともない、刑期を終了したものと判断します」
同じように宇宙空間の個人牢獄に繋がれた人はいるのか?
地上の様子は?
生き残りは?
そういった普通の疑問を全て放り出し、カイトは笑顔でエモーションに告げる。
「取り敢えず、残された食糧と酸素で行けるところまで行ってみようか」
これは、一人の地球人が外宇宙の文明に接触し、新しい世界で自由に暮らす物語。
今年も本部門には既存の型やジャンルにとらわれない、強烈な個性を放つ作品が集まり、エンタテイメント小説の魅力が詰まった物語たちに唸らされました。
中でも『銀河放浪ふたり旅~宇宙監獄に収監されている間に地上が滅亡してました』は新時代のSFを思わせる希望に溢れた作品だと感じました。
世界観は丹念に練り込まれていますがくどくなく。異文明の中に放り込まれるわくわく感を追体験させる従来のSFらしい楽しさ・読み応えはしっかりとあり。だからといって、ハードルの高さを感じさせません。テンポの良い展開、イベントの連続、魅力的なキャラクターたちのおかげで、非常に読みやすいSF作品に仕上がっています。また、主人公のカイトと相棒エモーションのバディは読者に宇宙空間での孤独を忘れさせ、二人の旅路をいつまでも読んでいたいと思わせます。
かつて国内国外のファンタジー作品に影響を受け「異世界ファンタジー」が1ジャンルを築いたように、古典や最新あらゆる物語を土壌にしたWEB発のSFエンタテイメント小説のムーブメントが日本でも生まれるのではないか……そして、本作品こそがそのビッグバンのなかで存在感を示してくれることを、信じて疑いません。
来年度も、新たなる希望に満ち、出版不況と呼ばれる流れに逆襲し、新時代の夜明けを呼び込んでくれるような作品に出会えることを、編集部一同楽しみにお待ちしております。
電撃文庫編集部
カクヨム1日ひとりじめ賞
B級冒険者であるロイは、派手な活躍をする上級冒険者たちを尻目に、淡々と地味な仕事を地味にこなす、地味な生活を満喫していた。
そんなある日、彼は一人の少年が勇者のパーティーを追放される現場に居合わす。
成り行きで彼の面倒を見ることになったが、風呂から出た少年の姿を見たロイは、彼の真の姿を見て驚く。
――――え!? まさか女子!?
成り行きで一緒に暮らす事になり地味だった彼の生活は、終わりを告げるのだった。
一方勇者たちは、追い出した仲間の重要性に気づくのだが……
死亡フラグだらけ?なら大人しく領地でスローライフを目指します。
最多読者賞
ゲームの噛ませ犬である悪役キャラに転生した主人公は、死亡フラグだらけの主要キャラたちといれば死亡フラグを回収されかねないと怯えていた。
そんな時ゲームのストーリー通り両親が死亡し、そのまま家督を引き継ぐことになったので領地を立て直し、主要キャラたちからフェードアウトしつつスローライフを目指す事にする。
最多フォロー賞
B級冒険者であるロイは、派手な活躍をする上級冒険者たちを尻目に、淡々と地味な仕事を地味にこなす、地味な生活を満喫していた。
そんなある日、彼は一人の少年が勇者のパーティーを追放される現場に居合わす。
成り行きで彼の面倒を見ることになったが、風呂から出た少年の姿を見たロイは、彼の真の姿を見て驚く。
――――え!? まさか女子!?
成り行きで一緒に暮らす事になり地味だった彼の生活は、終わりを告げるのだった。
一方勇者たちは、追い出した仲間の重要性に気づくのだが……
本気を出さないと学園を退学させられる!? 待って、それは困るんだけど!
編集部激推し賞
「あの英雄――『黒騎士』の正体は、実は侯爵家の恥さらし。だそうですよ、ご主人様」
「ちくしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
英雄や騎士団長など、多くの才ある人間を輩出してきた由緒正しき騎士家系に、一人の少年がいた。その少年───アデルは何も才能もなく、日々自堕落な生活を送っており、そのため家族からも世間からも『恥さらし』と呼ばれていた。しかし、アデルが実は人々を救ってきた英雄───『黒騎士』であることが判明する。
「マズい、このままでは馬車馬街道への片道切符が無料配布されることに……ッ!」
「ご当主様もご家族も急いで屋敷に戻ってこられているみたいですし、逃げ場はありませんね」
侯爵家の恥さらしが、実は人々を救ってきた英雄だった───なんて話が広まれば、家柄故に間違いなく騎士として活躍させられることになる。
そうなれば、望む自堕落ライフは遠のくだろう。
だから───
「そうだ、学園に逃げよう!!!」
学園は三年間、全寮制。
ほとぼりが冷めるまで逃げるには絶好の場所。
それ故に、アデルは学園への入学を決意した。
ただし───
「は!? 本気を出さないと退学ってマジかよ!?」
「ふふっ、であれば本気を出すしかありませんね……ご主人様♪」
そこは王国一の学園、弱者を拒む実力主義。
あの『黒騎士』が本気を出したらどうなるのか?
そして、学園に通っても優しい英雄は、王女や聖女、久しぶりに会う兄妹───次々と出会う困っている人を放っておけるのだろうか?
「無理でしょうね……まぁ、それが私の惚れた理由でもあるのですが♪」
「ん? 何か言ったか?」
スコッパー賞
恋愛(ラブロマンス)部門
ラブコメ(ライトノベル)部門
ライト文芸部門
ホラー部門
ホラー部門
エンタメ総合部門
カクヨムプロ作家部門
最熱狂レビュー賞
異世界ファンタジー部門
現代ファンタジー部門
恋愛(ラブロマンス)部門
ラブコメ(ライトノベル)部門
ライト文芸部門
ホラー部門
ホラー部門
エンタメ総合部門
カクヨムプロ作家部門
今回4賞を新設した「カクヨムコン読者まつり」は、作者だけでなく読者にもより積極的に本コンテストに参加してもらいたいという目的で、読者の新しい挑戦と活躍の場として用意しました。
「スコッパー賞」では、受賞作品に対して文字ありレビューを投稿したユーザーのうち、受賞を的中させた作品数とレビュー内容を総合的に評価して、選出しました。受賞者の朱音ゆうひさんは20作品の受賞を的中させ、さらに作品の面白さを的確に伝える魅力的なレビューを多く投稿しました。
「最熱狂賞」では、読者選考期間中に投稿された文字ありレビュー数が最も多い作品を各部門で選出しました。いずれも作品に思い入れのあるファンを多数獲得した力作です。また、それらの作品に投稿された、最も熱量の高いレビューを「最熱狂レビュー賞」として選定しました。ぜひレビューをチェックしてから、作品を読んでみてください。
「特別審査員賞」では、11人のプロ作家と、4人のカクヨム公式レビュワーが特別審査員を担当し、読者評価にかかわらず各部門から合計21作品を選出しました。こちらのページに特別審査員の推薦コメントを掲載していますので、Web小説の目利きがどのような点に着目し、作品を評価したのかご覧ください。
最後に、ご参加いただいたユーザーの皆さま、特別審査員の皆さま、「カクヨムコン読者まつり」を大いに盛り上げていただき、ありがとうございました。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト 選考委員一同
映画・映像化賞では、選考にあたって純粋な物語としての面白さの他に、まだ映像として見たことのないような新規性やオリジナリティといった要素が焦点となりました。今すぐに映像化着手を目指す「映画・映像化賞」は残念ながら該当なしとなりましたが、大いに可能性を感じた2作品を「佳作」として選出させていただきました。
『睡蓮、願わくは永遠に』はガールズフッドとホラーが見事に融合されており、そのオリジナリティとジャンルを横断した面白さが評価されました。自ら死を選んだ後、その力を使って世界中のいじめ加害者たちを呪い殺そうとする少女・睡蓮と彼女の悲しい決断を懸命に止めようとする少女・琴子の友情はこれまでに見たことのない形の関係性と物語を生み、幻想的で美しくも恐ろしい、独自の世界が表現されていました。しかし、いじめの描写やキャラクター造形には既存の作品以上の現代性や新規性が見えず、また、大いなる力を有した睡蓮が「この世界からいじめを一つ残らずなくす」ことを掲げながらも実際には琴子とその周辺以外に力を及ぼしている様子がないことから、二人だけの世界に終始してしまった印象がありました。実際に映像化を目指すには、いくつかのルールを設け睡蓮の能力に制限をつけることや、世界観の広がりといった部分を強化していくことが必要になると考えます。
『ベジタブル&フルーツ ソレイユマート青果部門』は、「お仕事もの」のサクセスストーリーとして王道を行きながらも、スーパーの青果部門という非常に身近にもかかわらず実はよく知られていない業界に注目した点に新鮮さがあり、着眼点の面白さ・新規性が評価されました。青果の知識が各話に非常に丁寧に練り込まれており、最後まで楽しく読み進めることができました。登場人物の描写も豊かであり、上司と部下の一風変わった関係に現代性を感じました。映像化の観点から言えば、主人公の設定を拡張し、スーパーから飛び出したサブストーリーを追加する等で世界観をより広げることができれば、見応えも増し、今後の映画や連続ドラマの開発にも期待できると考えます。
今後もカクヨム発映画・映像化作品の発掘に向けて、魅力的な作品の応募をお待ちしております。
映像企画制作部門
2024年冬 応募開始 予定
次回コンテストの開催情報は、秋頃を目処に本サイト上で順次お知らせします。
詳細はお知らせブログやカクヨム公式X(Twitter)をご確認ください。
「第9回カクヨムWeb小説コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
今回の異世界ファンタジー部門も、読者を面白がらせたいという作家としての意気込みと熱量が高い、幅広いジャンルの作品が集まりました。
「面白がらせたい」の中にも様々な種類があり、ネタで笑わせたいものもあれば、予想を裏切る展開づくりであったり、日常の癒やしになるような和やかさであったりと、どんな体験を読者にさせたいかという書き手の想いがそこに表れているように思います。
今回大賞を受賞した『親友が国選パーティから追放されたので、ついでに俺も抜けることにした。』は、この登場人物達の行く末をずっと一緒に見ていたいと思わせることに重きを置き、読者を面白がらせた作品でした。
主人公のユルグは、冒険者として強いという点を除くと、我々が少なくとも1カ所は自身を重ねることができる「よくいる」人間です。
昔の失敗を悔やんでいたり、自分に自信がもちきれなかったり、友人のおかげで自己肯定感を得られたり、好きな人の前ではちょっと良い姿を見せたかったり。
この作品が読者に愛されてやまない理由の一つは、そんなユルグのことを仲間が全身全霊で愛してくれていることではないでしょうか。もし自分だったらと自己投影しながら読んでいると、仲間がユルグを信頼し、ユルグだから良いんだと示してくれるたび、読者も今までの自分の努力や苦労が報われたように感じられるのではないかと思います。
主人公だけでなく、仲間や他の登場人物達みなが物語の中でちゃんと生きており、愛されるべきキャラクターを創りあげた点は、高い評価を得られるべきと考え、今回大賞を授賞させていただきました。
作家様方が書きたい作品は次々と楽しく書いていただきたいと心待ちにしていますが、「今の読者はどういう気持ちで物語を読みたいだろう」「どんなキャラクターたちと冒険したいだろう」とたまに視点を変えてみるのも、ご自身が気づいていなかった新しい引き出しが見つかるきっかけになるかもしれませんね。
本コンテストの特別賞の多さにも、面白い作品が多く激戦だったことが表れておりますので、今後もたくさんの作家様方の挑戦をお待ちしております。
カドカワBOOKS編集部