概要
戦争で家族を失ったかつらと、戦場で心に傷を負った隆。一度は生きることを諦めていた二人は、様々な人々の助けを借りながら障害を乗り越え、共に幸せになろうと決意する。
いちれんたくしょう~れんげのしたでむすばれて~
本作から始まるコレクション「一蓮托生シリーズ」があります。
https://kakuyomu.jp/users/ootayasuko/collections/16816452219598683101
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!戦争の、大きな爪痕。市井の人々が灯す、希望の明かり。
文章で魅せるドラマ。
ここまでの物語は、なかなかにお目にかかれない。
戦後という遠い時間を舞台にしながらも、その筆致、空気には、
少しの違和感もない。
景色が、音が、声が、響きが。
まるで今ここにあることであるかのように、脳裏に浮かび上がる。
それは身を寄せ合う、あまりに小さな力だった。
戦争の傷跡を背負う名もない庶民の暮らし。余裕など、あるはずがない。
ようやく手にしたささやかな居場所さえ、安寧の場ではない。
一つ一つを埋めていく。ただひたすらに、生きるため。
そんな中でも人は支えあい、だからこそ紡がれていく歴史が蘇る。
分断の時代を迎えた令和の世において、
広く読まれてほしい傑作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!語彙の引き出しの多さに脱帽。
正直に言います。最初と最後を読ませていただきました。
率直に、語彙が凄い!!きっとたくさん本を読まれたことでしょう。
このカクヨムに投稿なさる方は本当に、頭が『良すぎる』方が多いです。
『良い』んじゃなくて『良すぎる』んです。
まず、読み手のことを考えてみると、学がある人向けの小説です。
でも、そうじゃない僕のようなオパカさんには、
高嶺の花過ぎて何が何やら。わからない…。伝わらない…。
では、そういう人はどこを楽しめばいいか。
素直に尊敬しましょう。きっと僕のような才能ナシ君には
到底たどり着けない『高み』まで行っているのです。
大田康湖さんは、きっと物凄く努力家なのでしょう。
そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦後東京の空気を肌で感じる、静謐で力強い開幕。
『一蓮托生~蓮華の下で結ばれて~』レビュー
── たった一話で、時代の息吹が肌に触れる ──
レビュアー:ひまえび
第一話を読み終えた直後、私はしばし言葉を失った。
昭和22年、焼け跡に芽吹く人間の暮らしと、その奥にある見えざる痛み。それらが、過剰な説明なしにじわりと染み出してくる。台詞の一つひとつ、情景の一つひとつに、戦後の東京が確かに息づいている。まるで隅田川の河岸を歩いているかのように、埃と煤、そして人の営みの匂いが鼻先に感じられた。
主人公・かつらと弟・康史郎の生活描写において、筆致は冷静で淡々としている。だがその静けさの裏に、人間の誇りや孤独、ささやかな希望が確かにある。炊き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!闇市から未来へ、絆が導く再生の光
『一蓮托生~蓮華の下で結ばれて~』を読み、戦後の混沌とした時代背景の中で生きる人々の絆と再生の物語に深く心を打たれました。主人公・かつらの強さと優しさ、弟・康史郎との絆、そして京極隆との出会いを通して描かれる希望の光がとても印象的です。かつらが闇市で奮闘しながらも人を思いやる姿は、まさに逞しい昭和の女性像を体現しており、胸が熱くなりました。康史郎や葵がそれぞれの問題と向き合う姿もまた、私たち読者に勇気を与えてくれます。翡翠の玉や謎の男・八馬が物語にミステリー要素を加え、最後まで目が離せませんでした。
戦争が奪った日常や人間関係の喪失感が描かれる一方で、かつらが未来への希望を見出していく姿や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!姉弟を中心に戦後を強く生き抜いた人々の事件を切り抜いた物語
戦後を舞台とした作品ということで、時代背景として難しい時代だと思ったので、正直なところ、当初抵抗がありました。
空襲で焼き出された姉・かつらと、退役軍人である康史郎の恋愛物語ですが、読み進めるなかで巻き込まれる事件と、みんなで協力して解決していくさまに、人の温かさを感じることができました。
戦後の日本という、難しい時代を舞台とした、カクヨムでは珍しい作品です。
「あとがき」にあったカクヨムコンへの応募や電撃文庫では、レーベルのカラーと合わない可能性を感じましたので、雑誌等の文芸作品へのご応募をされたほうがよいような。
そこだけ少しったいないと感じますので、求められているところにご応募さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人は1人でも生きていけるのかもしれない(´・∞・` )けど…
1人では、考えもしなかったこと、やるはずもなかったこと、見ることもなかったもの。
大切に思える「誰か」がいてくれること…その存在があるだけで、強く生きられる。
「ささやかな強い生」は、なによりも暖かくて、美しくて。
前を向くまでの時間や機会すら与えられず、ただ時代に殺されていった人々の中で、きっと、こうした強く生きた人たちが時を重ねてくれた、そう感じさせてくれる作品です。
マジメ・チャウでした。
新聞・雑誌の連載小説かと思うほどっ(´・∞・`;)
「戦後?…重い話なのかなぁ」と思ったあなた。
ほっこり、キュン、ハラハラ、しんみり、キュン、目白押しですよ、あなたっ( ´・∞ ・` )…続きを読む