文章で魅せるドラマ。
ここまでの物語は、なかなかにお目にかかれない。
戦後という遠い時間を舞台にしながらも、その筆致、空気には、
少しの違和感もない。
景色が、音が、声が、響きが。
まるで今ここにあることであるかのように、脳裏に浮かび上がる。
それは身を寄せ合う、あまりに小さな力だった。
戦争の傷跡を背負う名もない庶民の暮らし。余裕など、あるはずがない。
ようやく手にしたささやかな居場所さえ、安寧の場ではない。
一つ一つを埋めていく。ただひたすらに、生きるため。
そんな中でも人は支えあい、だからこそ紡がれていく歴史が蘇る。
分断の時代を迎えた令和の世において、
広く読まれてほしい傑作。
もしあなたが傷を負っているのなら。
彼女たちの物語は、心を癒す一杯の粥のように、胸中に染みわたるだろうと思う。
正直に言います。最初と最後を読ませていただきました。
率直に、語彙が凄い!!きっとたくさん本を読まれたことでしょう。
このカクヨムに投稿なさる方は本当に、頭が『良すぎる』方が多いです。
『良い』んじゃなくて『良すぎる』んです。
まず、読み手のことを考えてみると、学がある人向けの小説です。
でも、そうじゃない僕のようなオパカさんには、
高嶺の花過ぎて何が何やら。わからない…。伝わらない…。
では、そういう人はどこを楽しめばいいか。
素直に尊敬しましょう。きっと僕のような才能ナシ君には
到底たどり着けない『高み』まで行っているのです。
大田康湖さんは、きっと物凄く努力家なのでしょう。
そうじゃないと書けない。さらに完結も出来ない。
それだけで100点満点です。胸張ってください。
終わらない長編ほど駄作無し。それをクリアしています。
でも…良かったら、僕のような底辺馬鹿にも分かる作品を書いてくれたら。
それはそれで嬉しいなぁ。
『一蓮托生~蓮華の下で結ばれて~』レビュー
── たった一話で、時代の息吹が肌に触れる ──
レビュアー:ひまえび
第一話を読み終えた直後、私はしばし言葉を失った。
昭和22年、焼け跡に芽吹く人間の暮らしと、その奥にある見えざる痛み。それらが、過剰な説明なしにじわりと染み出してくる。台詞の一つひとつ、情景の一つひとつに、戦後の東京が確かに息づいている。まるで隅田川の河岸を歩いているかのように、埃と煤、そして人の営みの匂いが鼻先に感じられた。
主人公・かつらと弟・康史郎の生活描写において、筆致は冷静で淡々としている。だがその静けさの裏に、人間の誇りや孤独、ささやかな希望が確かにある。炊き出しの米の香り、バラックの板のきしみ、髪の結い上げ方──それらが、この物語の「骨格」を成している。
私が最も心を打たれたのは、“過去を語りすぎない”という勇気だ。説明を省き、余白に読者の想像を委ねる手法は、昭和の物語として非常に美しい。こういう「語らないことで語る」作品に出会うと、読者としても背筋が伸びる。
まだ序章にすぎない。それでもこの作品は、戦後という時代の空気を、生身の体温と共に伝えてくる。
これからの展開が非常に楽しみだ。
『一蓮托生~蓮華の下で結ばれて~』を読み、戦後の混沌とした時代背景の中で生きる人々の絆と再生の物語に深く心を打たれました。主人公・かつらの強さと優しさ、弟・康史郎との絆、そして京極隆との出会いを通して描かれる希望の光がとても印象的です。かつらが闇市で奮闘しながらも人を思いやる姿は、まさに逞しい昭和の女性像を体現しており、胸が熱くなりました。康史郎や葵がそれぞれの問題と向き合う姿もまた、私たち読者に勇気を与えてくれます。翡翠の玉や謎の男・八馬が物語にミステリー要素を加え、最後まで目が離せませんでした。
戦争が奪った日常や人間関係の喪失感が描かれる一方で、かつらが未来への希望を見出していく姿や、隆や康史郎の成長とともに、人々の絆が再生への光を見出す様子は、戦後を生き抜いた人々の力強さそのものです。
本作は、戦争を知らない世代にも、家族や絆の大切さを改めて考えさせてくれる心温まる読後感が広がる物語でした。
戦後を舞台とした作品ということで、時代背景として難しい時代だと思ったので、正直なところ、当初抵抗がありました。
空襲で焼き出された姉・かつらと、退役軍人である康史郎の恋愛物語ですが、読み進めるなかで巻き込まれる事件と、みんなで協力して解決していくさまに、人の温かさを感じることができました。
戦後の日本という、難しい時代を舞台とした、カクヨムでは珍しい作品です。
「あとがき」にあったカクヨムコンへの応募や電撃文庫では、レーベルのカラーと合わない可能性を感じましたので、雑誌等の文芸作品へのご応募をされたほうがよいような。
そこだけ少しったいないと感じますので、求められているところにご応募されることを期待しております。
1人では、考えもしなかったこと、やるはずもなかったこと、見ることもなかったもの。
大切に思える「誰か」がいてくれること…その存在があるだけで、強く生きられる。
「ささやかな強い生」は、なによりも暖かくて、美しくて。
前を向くまでの時間や機会すら与えられず、ただ時代に殺されていった人々の中で、きっと、こうした強く生きた人たちが時を重ねてくれた、そう感じさせてくれる作品です。
マジメ・チャウでした。
新聞・雑誌の連載小説かと思うほどっ(´・∞・`;)
「戦後?…重い話なのかなぁ」と思ったあなた。
ほっこり、キュン、ハラハラ、しんみり、キュン、目白押しですよ、あなたっ( ´・∞ ・` )
最後は、心洗う美しい涙をお約束します(´・∞・` )
戦後を強く生きる人々の物語。
そう聞くと「難しそうな話だな」と苦手意識を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、本作においてはそんな心配は無用です。易しい文章表現と、個性的な登場人物たちが織りなす物語に、気づけば貴方は夢中になっていることでしょう。テンポがよく、それでいて細部にまで配慮の行き届いた筆致はまさに圧巻の一言。軽小説の趣を維持しつつも、時代背景や小道具を疎かにしない構成からは、作者様の作家としての練度の高さが窺えます。
そんな中でも本作の醍醐味は、やはり人のぬくもりが繊細に描かれている点でしょうか。厳しい生活の中にある悲哀ばかりに焦点を当てるのではなく、そんな状況で生きる人々の逞しさや情の厚さも同様に書き込まれています。その表現力たるや、思わず読み進める手を止めて見入ってしまうほどです。本作から得られる勇気や感動には、なにものにも代えがたい尊さがあります。これぞ人間ドラマの神髄。このぬくもりを一人でも多くの方に感じ取っていただきたいです。