島流しにされた男爵イモ

繊細な筆致でありながらも、しっかりとした情熱を感じさせてくれる力作です。緩急のつけ方はまさに一級品。オンオフの切り替えなんて生易しいものではなく、オンのときには感性が爆発しています…続きを読む

こなれた調子の詩が織りなす、それとは真逆の人間模様。 そのギャップが本作の最大の特徴であり、深みを生み出している点だといえます。作品が洗練されるにつれて、表現したいものの自然さが薄…続きを読む

これほどまでに趣向の凝らされた短編は、数多の作品が犇めくWeb小説の世界でも、そうそうお目にかかれないのではないでしょうか。少ない文字数で、長編のそれに匹敵する考察の深みと感動を生…続きを読む

戦後を強く生きる人々の物語。 そう聞くと「難しそうな話だな」と苦手意識を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、本作においてはそんな心配は無用です。易しい文章表現と、個性的な登場人物…続きを読む

命ある限り誰もが進む、不思議な道。 まっすぐ続くかと思えば曲がりくねって、それでも先は続いていたり、途中で真っ暗闇になっていたり。それが環だと気づくのは、いつになるのやら。もしかし…続きを読む

偶像の死に、どう向き合うのか。 その事実に揺れる、自らの想いになにを見るのか。 偶像に魅せられた者の深層。陶酔しつつも、その行為を客観視する二面性。そんな人間の感情の機微にスポット…続きを読む

仮想箱なる装置が作り出す、多種多様な世界。 それらはときには断片、ときには一部始終をもって、私たちに語りかけてくる。 記憶、可能性、課題、到達点。 意味するものこそ抽象的であれども…続きを読む

時代や宗教、制度や法律。 そうしたひどく曖昧な物差しの上で揺れてきた、善悪という存在。 現代も例によって、その示し方を定められずにいます。あるいは、示し方などありはしないのかもしれ…続きを読む

うらぶれた精神世界から紡がれる、取り留めのない思考の断片たち。 ただの妄想？　諦観？　孤独をこじらせた人間の末路？ 答えはないのだけれども、だからこそ考える意味がある事柄たち。 時…続きを読む

ピリッとした怖さでもなく、ドロッした怖さでもなく、肚の底にずっしりと沈み込むような遅効性の怖さを味わいたい方にオススメの一作です。さっと読める短編なのに、その中身の重さは長編に勝る…続きを読む

この夏に読んでおきたい短編ホラーの一つです。 少ない文字の中に恐怖がこれでもかと凝縮されており、読了した暁には背筋が凍りついていること間違いなし。夜中に読んだら、トイレに行けなくな…続きを読む

夏休みの日記のような語り口で紡がれる、ぶっ飛んだ日常。 サルモ・ネラキン氏の言う通り、かーりぃちゃんに常識は通じません。それにしても貴方の名前、毒々しいにもほどがあるのでは……？　…続きを読む

抒情的に、作品の構成要素を切り集めた小説となっています。 戯曲のような趣もあり、少ない文字数を効率的に活用されていた印象です。短編は仕様上、薄味な作品になりがちですが、本作は薄味の…続きを読む

純文学風味の短編ミステリーです。 そういうわけで作品ジャンル、尺、構成要素が上手く噛み合うのか少し心配しながら読んでいましたが、ただの杞憂でした。尺の都合上、やや駆け足っぽく見えた…続きを読む

作品が纏う独特な空気感と、想像の余白を上手く活用した読後感が魅力的な一作です。 話の展開は王道でありながらも同時に意外性があり、古き良きミステリーを踏襲したものといえます。特に主人…続きを読む

いい感じのところまで拝読したので、一旦レビューをさせていただきます。 まず、本作の最大の魅力。それは第一印象から変わることはないのですが、やはりレトロで味のあるサイバーパンクな作風…続きを読む

営業や勉強を兼ねた書き手同士の交流。人気作品ばかりに集まる膨大な数の読み手。Web小説界隈では、そうしたユーザーの偏りは多いと思います。簡単な話、作品が多すぎるんですよね。カクヨム…続きを読む

話運びが丁寧で落ち着いていて、それでいて勢いのある作品でした。物語も心温まるもので、子どもの頃に読んでいた児童文学を彷彿とさせます。縛りがなく、どこまでも自由で想像的な晴れ渡った考…続きを読む

この作者様の作品を拝読するのは二作品目ですが、やはり「日常」をありのままに書くのが上手いのだと思わされます。だからこそ一回読んだだけでは「ふーん」で終わることもあるのですが、スクロ…続きを読む

題材が非常に重く、だからこそといいますか、かなり考えさせられる作品でした。フィクションならではの脚色も当然あると思いますが、それでも作中の出来事がすべてあり得ないかと問われれば、肯…続きを読む

表裏を一つにした仮面。貴方は今日も、表をまわりに見せて生きる。 醜美を一つにした顔面。貴方は明日も、美を振りまいて生き続ける。 仮面の裏側を疑わず。顔面の内側を知らず。人知れず蝶は…続きを読む

生きとし生けるもの誰もを風化させていく、残酷なときの流れ。それが生み出す忘却は救いなのか、幸せなのか。それとも、過去に生き続ける者たちへの餞別なのか。簡単に答えを出すことのできない…続きを読む

一人の、一つの気持ちの切り取り。それを飾らずに、あるがままに表現していたのが非常に魅力的でした。小説に限らず、創作をする方には自覚があるかもしれませんが、どうしても自分の作品を美化…続きを読む

これで拝読した同作者の作品は二つになるわけですが、やはり雰囲気が味わい深いです。沼のような世界観もさることながら、人間の描き方が本当に秀逸。サッパリとした読後感を好む方には合わない…続きを読む

作詞だって執筆。小説を書くのだって執筆。求められるものに小さな違いがあるだけで、本質はさして変わらない。思いのままに、虚構にリアルを込めて、真っ新なキャンバスに叩きつける。そのお手…続きを読む

あまりにも既視感があり、本当にフィクションなのか疑いながら読み進めました。作中で描かれる歪みは、どことなく薄暗い現実を表していたと思います。もしかしたら、当時の自分はそういう風に利…続きを読む

実は過去に二、三度ほど企画で拝読していたのですが、かなりの強敵ということで敬遠していました。が、今回も企画で拝読して、これは宿命（?）だと思ったので紹介させていただきます。というわ…続きを読む

なにかと息苦しさの多い社会。競争が生む、優越感と劣等感。決められたレールから外れることに対する恐怖。それは今に始まったことではなく、数千年前からの社会の構造であって。主人公の八重子…続きを読む

登場人物も物語の骨子も語彙力が消失した作品でしたので、僭越ながらノーマル語彙力の私の方から作品を紹介させていただきます。さて、そんな無茶苦茶な本作ですが、完全に時代を追い越していま…続きを読む

作品の構造といい、人物の心理描写といい、読み進めるほどに胸のうちが焼けるような感覚になる作品でした。どこまでも露悪的で、ステレオタイプ。脚色なしの実在の人物を描いているようで、かな…続きを読む

なんとも形容し難い読後感がクセになる作品でした。ミステリーとタグにあるように、読み進めるほどに謎が増えていき、最後は主人公とともに読者は予想だにしない結末を見るといったところでしょ…続きを読む

中々に興味深い短編集でした。作品としてはもちろんのこと、それを書いた作者様への関心も深まるような。一話完結なのですが、それぞれのお話を別人が書いたんじゃないかと思うぐらいウィットに…続きを読む

この作品の特徴を一言で表すならば、起承転転結。 タイプミスではありません。五千字ほどで、それだけ深い内容に仕上げる作者様の技術力に感銘を受けました。オチを考えながら読んでいたのです…続きを読む

想像の余白の設け方と、どの登場人物を軸に置くかによって見え方の変わる物語とが、絶妙な後味を演出していた作品だと思います。短編というのは難しく、「解釈を読者に丸投げ」や「説明ばかりで…続きを読む

車でたとえるなら、運転手（読者）を乗せて走り出したと思ったら急加速、勝手にドリフトをキメて、最後は窓から放り出す。そんな予想外が連発する作品でした。結末を推測しながら読んでいました…続きを読む

日常の小さな一コマの切り抜きや、独り言に妙に親近感の湧く作品でした。普段なにげなく思うことも文字になると、言葉以上に多岐にわたる解釈を生むことがありますよね。本作はその一例だと思い…続きを読む

永遠の命題をぶつけられたようでした。仮に自分が主人公だったら、どんな選択をしたのだろうかと考えてしまうほどです。答えがないからこその葛藤、答えを出さなければならないという苦悩とが読…続きを読む

少女ルクスースはある異能、あるいは呪いを生まれ持っていた。それは精神感応能力。これは自らの情念を言葉も仕草も介さず、他者に伝えることのできる能力だった。それは人々の目に神秘と映った…続きを読む

物語自体は重く陰鬱な雰囲気を醸し出していたものの、主人公や妖の存在によって上手く調和のとれていた作品でした。こうした要素は実際の出来事に対する、ある種のIfの展開を示唆していたのか…続きを読む

才には様々な種類があり、世間一般に異常とされている行為も突き詰めれば才というわけですが、本作はそのことを如実に表していたように思います。焔と倒錯した情動を組み合わせるのは定番ではあ…続きを読む

五千字程度の作品でしたが、感想を書けと言われれば、ゆうにそれを越える文字数が書けてしまうほどに濃密な作品でした。タイトルから崇拝を思い浮かべましたが、本作はもっと深い意味をこの言葉…続きを読む

本来は読了後にレビューする質なのですが、この作品はもっと多くの方に読まれるべきだと思い、先にレビューをさせていただきました。さて、昨今は現実世界との対比として「異世界ファンタジー」…続きを読む

とある人物の日常の一コマを切り取った短編。 なんの変哲もないその一瞬は、解釈の数ほど新たな横顔を見せる。もしかすると、私たちの日常もそんなことの連続なのかもしれない。ある者にとって…続きを読む

漠然とした恐怖を感じられる作品でした。 ネタバレになるので細かなギミックは明かせませんが、「すべてを知ったうえで、もう一度読みたい」と思わされます。さして珍しい手法ではありませんが…続きを読む

ひょんなことから出会った男女。 二人は独自のビジネスを開拓し、社会の暗部へと突き進んでいく。貧困や暴力、そして飽くなき渇望。渦巻く欲望に吞み込まれた末に出した、彼らの答えとは。 …続きを読む

孤独なウンディーネと、彼女を想う一人の青年。 掛け違えたボタンの如くに、気づかぬ間に紡がれていく運命までの道程。 二人の道は交差して、ときに別れ、そして最後は。 得も言われぬ恋の…続きを読む

あらすじに目を通した方は、是非とも本編も読んでほしい。きっと、頭の中で思い浮かべた内容とは違うはずだから。いい意味で期待を裏切られること間違いなし。作業員の小さくて大きなミスから始…続きを読む

王道ハイファンタジーに和を取り入れ、ダークに味付けした作品です。昨今のファンタジー小説とは対極にあるような硬派な作風ですが、個性あふれる登場人物や緩急のある物語のおかげで親しみやす…続きを読む

好きなタグで検索をかけて偶然発見。 綺麗にまとまっており、温かみを感じる作品でした。 本作はSFですが、とりわけドラマ部分に注力されているような印象を受けました。そして、アンドロイ…続きを読む