概要
「この人は僕の依頼人だ。依頼人が危険な目に遭うのを僕は望まない」
文芸ハードボイルド長編。
夏至を過ぎたある日、東京・世田谷で探偵業を営む由名時多朗が依頼されたのは、ITベンチャーの機密漏えいの案件だった。調査を進めるうち、殺人事件に巻き込まれる由名時。美貌の人妻に翻弄されながら、舞台は梅雨明け直前の由比ガ浜へ。人間関係が複雑に絡み合うなか、由名時がたどり着いた驚愕の真相とは?
文学としてじっくり楽しめる、私立探偵の一人称スタイルで進行する抒情あふれるハードボイルドサスペンス。
夏至を過ぎたある日、東京・世田谷で探偵業を営む由名時多朗が依頼されたのは、ITベンチャーの機密漏えいの案件だった。調査を進めるうち、殺人事件に巻き込まれる由名時。美貌の人妻に翻弄されながら、舞台は梅雨明け直前の由比ガ浜へ。人間関係が複雑に絡み合うなか、由名時がたどり着いた驚愕の真相とは?
文学としてじっくり楽しめる、私立探偵の一人称スタイルで進行する抒情あふれるハードボイルドサスペンス。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!これぞハードボイルド。極上のミステリーをあなたに。
Web小説界では日の目を見る機会の少ないミステリー。あってもライトな作風が多く、なかなか好みの作品が見つからない。もっと大人も楽しめるミステリーはないのか! とお悩みのミステリーファンの皆さま、ご安心ください。ここにあなたを満足させる、極上の珈琲のような味わい深いミステリーがあります。
冒頭。夏の情景描写から物語は始まります。風に混じる夏の匂いから若かりし頃を想起する主人公の探偵。まだ未来への可能性を信じ、人生が無限に開かれていたあの頃……。二度と戻らない夏に思いを馳せる主人公の姿がそこはかとない哀愁を漂わせ、その文体の豊かさから一気に作品への期待が高まります。
続く探偵事務所のシーンで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一夏の案件を引き金に、暗い過去が暴かれる
作品が纏う独特な空気感と、想像の余白を上手く活用した読後感が魅力的な一作です。
話の展開は王道でありながらも同時に意外性があり、古き良きミステリーを踏襲したものといえます。特に主人公のキャラクター像がいいアクセントになっていました。変にデフォルメした滅茶苦茶なキャラではなく、現実にいそうな変わり者の雰囲気が面白かったです。どこまでが本音で、どこからが冗談なのか。そんな登場人物同士の台詞のやり取りは、本作の醍醐味の一つといえるでしょう。
ライトな作品が流行りのweb小説では中々日の目を見るのは難しいですが、本作の完成度はユーザー評価以上だと思います。純文学やミステリー小説を好む方なら、まず読…続きを読む