その魂は愛に殉ずる

孤独なウンディーネと、彼女を想う一人の青年。
掛け違えたボタンの如くに、気づかぬ間に紡がれていく運命までの道程。
二人の道は交差して、ときに別れ、そして最後は。

得も言われぬ恋の形を遺憾なく表現した短編です。その形は賛否が分かれるものかもしれませんが、私情を交えずに最後まで見届けたくなる。無意識にそんな風に思ってしまうほどに淡く儚い物語でした。元ネタを知っているか否かで物語への没入度が変わる反面、作者様によるウンディーネの現代風の演出には、あっと驚かされました。

明確な題材に加えられた瑞々しいオリジナリティ。それが導くは幻想的で、どこか物悲しい世界。読者の感性を揺さぶること間違いなしの一作です。作品のあらすじを読んで、興味を持った方は是非ともご一読ください。絶対に後悔しません。読後はきっと深い余韻に包まれることでしょう。