日常の一場面を切り取って物語を紡がれる作者様。日常のことだからこそ、するりと心に入り込んでしみじみと共感を呼びます。歳をとった父親の運転で、最後のドライブ。そのドライブがなぜ最後だったのか。どうしてその相手が息子だったのか。その理由に、夫婦間や親子間で長い年月をかけて育まれた深く穏やかな愛情を感じ、涙が溢れました。素晴らしい短編小説。是非とも読んで頂きたいと思います。
日常の中でお父さんも、少し気恥ずかしかったんじゃないか?と、思い出の詰まった温泉へ…いつかは、自分達も返納することを考えると今のうちに思い出を作って行きたい世代です。思い出深い最後の温泉だったと思います。
老父と息子が温泉にドライブに行く、ただそれだけのお話ですが、日常の中の何気ない会話の端々に誠実さや細やかな愛情があふれていて、とても豊かな人生を歩んできた人なのだと感じられます。決して華々しかったわけではないのでしょうが、静かで穏やかで温かな日々。こんな年の重ね方をしたいと思える味わい深い作品でした。素晴しいお話を綴ってくださってありがとうございます。
日常の些細な出来事や日常の中の些細な触れ合いが文章に散りばめられているので、自分の日常にも同じような感情や瞬間が存在することを思い出させられ、共感を通じて心に印象に残りました。
過去、現在、未来、どこかの自分と重なるところがあると思います。
気がつくと涙がこぼれていました随分前に亡くなった父を思い出しもっと話しをすればよかったと思いました家族と話す簡単なことのようで難しいですね心があたたかくなるとても素敵な物語です
父と俺。主人公の『俺』には妻もいて娘もいる。そして、父が突然言い出した「ドライブ」に同行する俺。二人きりのドライブだ。父親に、こんな提案をされたのは、初めてだという。なにやら不穏なことでも起こるかと思いつつ、読み進めました。ですが、物語は父と息子をより深く、より近しく結びつける展開に。その時が来たことを、静かに受け入れる父と息子。神聖なまでの静謐さが切なく胸に響いた作品です。
時と年を重ねると、十分起こり得る可能性のある日常のお話です。1話完結の、何気ない家族の一つの在り方を示した穏やかな物語。ぜひご一読をオススメします!
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