悠鬼よう子＠カクヨム短歌賞に応募中

　『ホットケーキタクティクス』は、あの日の放課後の空気や、帰り道の風の匂いまでよみがえるような、優しい記憶をそっとすくいあげる物語です。 　小さな紙に託された言葉が、こんなにも胸…続きを読む

　序章を読み終えたとき、思わずページを閉じて深く息をつきました。静かな物語のはじまりなのに、なぜか胸の奥がじんとする――そんな読後感でした。 　「命を捧げることは、騎士の本懐なの…続きを読む

　――1990年、けれど“どこか違う”あの時代。そこに再び目覚めることになった優の物語は、ただのやり直しではありません。読者の心にそっと触れてくるのは、繊細で切実な「誰かを救いたい…続きを読む

　ひとりの人間と、感情を持たないAIとの対話が、これほどまでに静かで美しく、そして心を揺らすものになるとは思いませんでした。 　コーヒー&アイ様の『遺言』は、終わりゆく世界の中で…続きを読む

　過労死した社畜OLが異世界で“魔道具師”としてやり直す物語――その設定だけでも心を惹かれますが、本作『魔道具師マリエルのやり直し生活』の魅力は、静かな優しさと情緒の機微に満ちた描…続きを読む

　タイトルに込められた逆説的な哀しさと可笑しみ、それが本作の魅力を象徴しているように感じました。 　『スローライフを送りたいだけの俺が大剣豪に100万回斬られたら、いつの間にか自…続きを読む

　まるで夢とうつつの境界をそっと歩くような、不思議な余韻が心に残る作品でした。 　夢月みつき様の『俺と月夜の蛍』は、都会の深い夜、更けゆく帰り道にふと訪れる、思いがけない出会いと…続きを読む

　この物語、読み進めるうちにまるで自分も“無茶振り”の現場に巻き込まれたような、心地よい焦燥と高揚感に包まれていきました。 　『ワグテイルプロジェクト』は、決して順風満帆ではない…続きを読む

　『Excel《ログ》で恋が攻略できると信じていた俺は、全感情ヒロインに今日もデータを破壊される』は、理系男子・越智隆之が、感情豊かな少女・犬神千陽、そして個性あふれる科学部の仲間…続きを読む

　夕焼けに染まる町の風景に、そっと寄り添うように漂う“懐かしさ”。そのやわらかな感情が、静かに心を揺らしてくれる物語があります。『犬神物語　〜転生少女と不思議な絆〜』は、明るく元気…続きを読む

　この物語は、ひと匙の砂糖のようにやわらかく甘やかな時間を紡いでゆきます。 　舞台は静かな図書資料室。ページをめくる音、そっと漂う香り、ふと交わる視線。そのひとつひとつが、ふたり…続きを読む

　こちらの作品『流れ落葉の夢現』、とある警察官・蕪城真輔がたどる、「夢とも現実ともつかない」不思議な歩みを描いた短編です。どこか乾いた煙草の香りが漂い、歴史と虚構が静かに混ざり合う…続きを読む

　『名探偵ノーマンと至極の推理命題』は、名探偵ノーマンとドジ助手アンジーの凸凹コンビが繰り広げる、」まるで濃密なショートコース料理を味わうような作品でした。 　涙に暮れる依頼人に…続きを読む

　まるで終末の空に、一筋の祈りが射し込んでくるような物語でした。 　『魔法少女たちの終末戦争　少女と魔法少女の願い事』は、ただのバトルファンタジーではありません。そこに描かれてい…続きを読む

　『バカ犬のリードになってしまった私』は、ひとことで言えば「バカ犬」と少女の、不器用でまっすぐな絆の物語です。ある朝、自分が“リード紐”になってしまった……というユニークな展開には…続きを読む

　現代と平安が重なり合うこの物語は、まるで記憶の海に浮かぶ小舟のよう。嵐の夜、魔物と共に蘇る前世の記憶——中でも伊月が壇ノ浦の記憶に呑まれ、激しい頭痛とともに教室を去る場面には、時…続きを読む

　「何度でも、君に恋をする。」という言葉が、この物語のすべてを優しく、そして切なく物語っているように思えました。かつて敵同士だった二人が、信じるものを越えて惹かれ合い、命すらも賭し…続きを読む

　まるで舞台の幕が静かに上がる瞬間に立ち会ったような、そんな特別な読書体験でした。 　異世界ザルダーズの月夜に、物語はそっと息づき始めます。主役を務めるのは、人でも魔物でもなく、…続きを読む

　時代の流れに置いていかれた一人の男が、新しい常識と向き合うところから始まるこの物語。けれど描かれているのは、単なる社会の変化ではありません。「人が変わる」ということの難しさ、そし…続きを読む

　木山喬鳥先生の『木山忍法帖』は、読むほどに心の奥にさざ波が広がっていくような、不思議な読後感をもたらしてくれる作品です。 　懐かしさのなかに滑稽さがあり、笑いの裏にどこかひんや…続きを読む

　この作品の魅力は、華やかなアクションだけでなく、その奥に流れる“心の余白”にあります。何かを終えるということ、そしてそれでも消えない想い。その小さな揺らぎを、風鈴の音のように繊細…続きを読む

「吸殻の忘れ物さえ捨てられず　遺骨に炭素は残留しない」という一句に、私はそっと心を奪われました。 　吸殻という、まさに生活の残骸のような存在――そこに残る微かな痕跡が、まるで過ぎ…続きを読む

　まるで“正義の皮をかぶった悪知恵の天才”――そんなフィアー・フライの型破りな魅力に、読み始めたその瞬間から心を奪われました。「勝てばよかろう」という信念のもと、ズルさも狡さも恐れ…続きを読む

　読んでいるうちに、胸の奥にざわりとした何かが残る――それが『爆弾魔シゲミ💣怪異専門の殺し屋女子高生💣ジロギン２』を読み進めた私の素直な感覚です。 　シゲミという女子高生の存在は…続きを読む

『ヤスダヤスオは安っぽい？半分は正解、でも半分はディフェンダーです！』は、心の奥にひっそり眠っていた“誰かを守りたい”という小さな炎に、そっと手をかざしてくれるような物語です。 …続きを読む

　夢月みつきさんの『アマビエ♂の日常』は、ユーモアとあたたかさに満ちた妖怪たちの共同生活を描きながら、人間社会の陰影もやさしくすくい取ってくれる傑作です。 　特にヨゲンノトリと赤…続きを読む

　『キャッチボール』は、ふとしたきっかけで、昔手放してしまった大切なものが、そっと手のひらに戻ってくる――そんな温かな時間を描いた、心に残る物語です。 　時はただ過ぎるだけでなく…続きを読む

真夜中のロードバイクが繋いだのは、偶然の出会いと秘密を抱えた絆。夏の夜風を受けて疾走する描写が瑞々しく、心に残るのは“夜にしか咲けない花”のような彼女の存在感。互いの違いを超えて心…続きを読む

この作品を読んで、心の奥深くにそっと触れられるような感覚を覚えました。 人と人との関係には、時にすれ違いや痛みも伴いますが、それでもなお、大切にしたいと願う気持ちが、物語の中に静か…続きを読む

　雪女とは、本来「畏れ」と「儚さ」の象徴。しかし本作に現れた彼女は、まさかの“アホ”。その予想外のギャップが、読者の常識と恐怖をひっくり返し、思わず笑いを誘う。しかしその笑いの奥に…続きを読む

　静かな泉に銀貨が落ちる――それだけの場面から、こんなにも深く心に残る物語が生まれるとは思いませんでした。 　『銀貨を沈めた娘と、泉に住む天使と悪霊の話』は、「願いとは何か」「人…続きを読む

　『ヴィラン』は、「悪意」が異能として現れる近未来の世界を舞台に、主人公・忍夜景（しのや けい）の心の旅を描いた繊細で力強いヒューマンドラマです。幼い頃から深い傷を抱えてきた景が、…続きを読む

　『オルオーレンの花巡りの旅』は、読んでいるうちに、まるで心の中に小さな花がそっと咲くような、あたたかい気持ちになれる物語です。白銀がかった髪と若草色の瞳を持つ青年・オルオーレンは…続きを読む

蜂蜜ひみつ様の詩『献花』を読ませていただきました。 　喪失と向き合う無力感、あふれる涙、それでも誰かに寄り添いたいという優しさ。思わず自分の中の大切な人を思い出させてくれるようで…続きを読む

　言葉ではすくいきれない心の澱が、そっと静かに水面に映し出されたような物語でした。 　誰にも気づかれず、それでも確かに存在した魂たちの声が、玉川上水のせせらぎに重なり、そっと心に…続きを読む

　遥か遠く、潮風と共に運ばれてきた記憶の声が、静かに胸の奥を揺らしました。語られぬ痛みと赦しの狭間で揺れる人の想いが、波のように寄せては返す情景が目に浮かびました。 　無念を抱えた…続きを読む

　この物語は、幼い夏の思い出をそっとたどるように始まり、静かな時間と優しい記憶が物語全体を包んでいます。都会での疲れを抱えた主人公が、祖母の笑顔や懐かしい風景、そして蛍の光に癒され…続きを読む

　黒い服に大きな鎌、見た目は立派な死神なのに、中身はどこか抜けててちょっと必死。そんな死神が「営業」に来るなんて、最初は笑ってしまうけれど、読み進めるうちにだんだんと胸があたたかく…続きを読む