主人公の霧島ユウタは、異世界へ転生したものの、スキルは「ペットフード」というよくわからないハズレスキルだった……と思いきや、何もない空間からペットフードが好きなだけ出てくるという、大当たりスキルだった。
とりあえず飢えることはないという安心から始まった異世界ライフ。
ユウタのペットフードは魔物に与えるとテイムできることがわかり、牧場を作ることになった。異世界は危険な魔物がいっぱいいるが、その悉くをテイムし、ユウタが知らない間に牧場はどんどん強い魔物たちが増え、最強になっていく。
感想:語り口が必要最低限にしぼられていて、童話のような雰囲気があり、スローライフを満喫できる。
『異世界に転生で牧場を作ろう』は、主人公・ユウタが日常に疲れた心をそっと癒してくれる優しさに満ちた冒険ファンタジーです。特に魔物たちとの温かな絆が、読むたびに心を和ませてくれます。最初の仲間となる11匹のイノシシ型魔物たちは、まるで元気いっぱいな子犬のようで、彼らが牧場で跳ね回る光景が頭に浮かびます。また、力強いオガーナの登場は、物語に頼もしい風を吹き込み、彼女がドライフードに心を開くシーンでは、自然と笑みがこぼれました。
現代の喧騒を忘れ、魔物と人間が共存を目指す牧場の風景に癒されます。この作品は、スキルや戦闘ではなく「共に生きる」ことの大切さを教えてくれます。私たち読者の心にそっと寄り添い、穏やかで希望に満ちたひとときを与えてくれることでしょう。