病気という強敵と戦いながら、日々を懸命に生きる戦士たちの物語です。
イルネスカドルという会社に所属する主人公ルーク。
病気に苦しみながらも仲間を思い遣り、助け合い、支え合う姿が、とてもリアルに描かれています。
また文章の巧みさが光る戦闘シーンが圧巻で、本当に目の前で見ているような迫力があります。
そして人間の描き方も秀逸で、彼らの息遣いすら感じられる、そんな錯覚に陥ることすらあります。
いつの間にか自分もイルネスカドルの一員になって、彼らを間近で見守っている、そんな気分で読み進められる作品です。
まだこの作品に出会ってない方は、是非読んでもらい一作です!
株式会社イルネスカドル。
鬱病を患った青年ルークが新たに就職したその会社には、同じく精神疾患を患う四人の仲間たちとの出会いがあった。
症状は違えど、皆同じ問題を抱えている。
日々悩み、苦しみ、時には病んで死にたくなってしまうけど、彼彼女たちはそれでも生きようとする。
これも一種の人間賛歌だと思います。
そして読み進めていくたびに、精神病というものが他人事ではないということが読者の皆様にも分かるようになります。
同時に、生きるというみんなが当たり前にやっている行為が、実はとても難しいことだということも理解できます。
気分の問題? 大したことない? 周りに甘えてるだけ?
精神病を知らない人からすれば確かにそう見えるかもしれません。精神病の苦痛は精神病を経験した人間にしか分からないものですから。
しかし、作者の方もルークたちと同様に精神病を患っている方です。だからこそこの作品は、精神病という病が何であるかが精神病の経験が無くてもダイレクトに読み取れる。
滅多にない素晴らしい作品です。
舞台は、精霊術があつかえる異世界、携帯連絡機があるくらい、ほどほどに文明は発達している。
ここは株式会社イルネスカドル。
剣士、槍士などの戦士が集い、給与は完全出来高制。
社員寮の提供、生活支援、希望者へのカウンセリングを破格で受けられるという契約内容だ。
『精神福祉支援制度』の認定を受け、国からの補助金で成り立っている、半分、福祉施設である会社。
ここに入社することになったルーク(剣士)。
はじめの自己紹介では、皆、己のポジションと……、「地雷」を紹介する。
「地雷」とは、自分が言われて、されて、嫌で、爆発しちゃうこと。
そう、ここは皆、何かしらの精神疾患を抱えたメンバーが集まっているのだ。
本格バトルファンタジーと、精神疾患との闘病が融合した、唯一無二のファンタジーです。
バトル描写も多く、精霊術もしっかり考えられており、心理描写が細かく、人同士の関わりあいが丁寧に描かれます。
ルークは、過去、辛い事件があり、精神を病んでしまい、己との付き合い方にいっぱいいっぱいです。
でも、仲間を思いやり、いつでも人の為に動きます。
本人は気がついていませんが、「友愛」のひとです。
そんなルークと関わり、また、まわりの人々も変わってゆきます。
物語、はじめの立ち上がりはゆっくりめですが、読んでるうちに、チームのどのキャラも大好きになりました。
面白いですよ!
諸々により精神病である鬱病を患ったルーク、職場と故郷から去って、彼が再就職果たした先は、ルークとは異なるといえど精神病を患うメンバーであった。
口悪い魔術師のログマ。
槍使いの酒飲みのカルミア。
弓使いのケイン。
治癒術師のウィルル。
あらすじにある簡易の紹介通りに、まさに癖が強そうな彼ら。
でも、ルークを含めた彼らの話を追っていると、彼らの精神病について知れることもあります。その精神病に関わること自体が、彼らの過去に起因しているもの。最初は少し読みづらそうと思っても、ルークの行動や彼らの前に歩もうとする姿みて読み進めてしまいます。転げても前に向かって足掻いて進む彼らを見守っても良いと思えてきます。
また現実にも精神病あるからこそ、精神病を少しでも知りたい方にもおすすめできる作品です。ただの異世界ファンタジーと侮ることなかれ。自分は他の人にも勧めたいほどの物語です。
必死に足掻いて生きようとする彼らのお話、一読してみてはいかがでしょうか?
この作品、キャラの心理描写がリアルに書かれていて面白い。
心をグサグサと刺してきます。
でもそれがいい!
主人公のルークは鬱病を患い転職。
そして転職先の仲間達がこれまたキャラが濃くて、全員が精神疾患を持っているというオマケ付き。
初めはその仲間達の看病から始まり、その後色々な依頼を経て、様々な困難を乗り越えていく。
あれ、精神疾患を扱った話のはずじゃ?
そうです。
この作品はリアルな心理描写で描かれている精神疾患を、上手くファンタジーの世界観に落とし込んだ神作なのです。
現実にあるものを題材にファンタジーに落とし込んだ作品は数あれど。
精神疾患を扱った作品はイルネスウォリアーズが唯一無二!であり至高!
まだ読んだ事がない方は是非読んでみて下さい。
イルネス=病気、疾患、不健康
毎日がしんどい!
精神がしんどい!
病気がしんどい!
新しい職場で人生再出発な主人公!
自己紹介で自分の地雷アピールは必須!
出会った仲間も全員、心に病を抱えてる!
最初の仕事は仲間の看病!?
あれやこれやとお世話をしながら!
ケンカや衝突することもあるけど!
仕事という名の、冒険をしながら!
ちょっとずつ、一歩ずつ!
仲間の絆が深まっていく!
病を抱えた仲間たちが助け合う異世界ヒューマンドラマ!
どんな困難も泣いて笑って乗り越えるハイファンタジー!
彼らの前向きで、心あたたまる冒険を一緒に応援しませんか!!!
タイトルに偽りなく、正にイルネス(病気)と闘う戦士たちの物語です。
世界観は、ギルド(本作では会社)に所属し、パーティーを組んだ仲間たちと共に依頼をこなして報酬を得る、というタイプのバトルファンタジーがベースとなっています。
ジョブ、武器、防具、戦闘スタイルなどの基本設定がしっかりと作り込まれており、それらを活かした戦闘描写も大迫力で、純粋にファンタジーとしてのクオリティが高いです。
しかし、本作はそれだけに留まらず、主人公を含めたパーティーメンバー全員が精神疾患を抱えている、という衝撃的な特徴があります。
生きる為に薬の服用や通院を余儀なくされ、精神が安定していないと外にも出られない、たまたま自分の調子が良くても他のメンバーの調子が悪いと本領発揮できない、一度沈むと際限なく自分を追い込むような思考に襲われる……。
心も体もボロボロにしながら、それでも必死に前へ進もうと足掻く主人公たちの姿を応援せずにはいられません。
地に足を着けて、どころか、這いつくばって懸命に生きる戦士たちの生き様が、一人でも多くの読者様の胸に届くことを願います。
93話まで拝読させていただいた上で、これを書いています。
依頼を受けて難題を解決する職種、冒険者。ファンタジーに於いては極めて一般的で、説明は要らないかと思います。
この物語の主人公ルークを始めとする五人も前述した冒険者なのですが、彼らが所属する「株式会社イルネスカドル」は、少しばかり毛色が違っています。
他作品の冒険者達と彼らが一線を画している要素…それは、所属する全員が何かしらの精神疾患を抱えている事。
この物語は、冒険者として依頼をこなしながら、主人公ルークが自身や過去、そして仲間や世間と向き合い、自問自答しながら疾病と闘っていく、唯一無二のファンタジー小説です。
物語は鬱病を患うルークの一人称で進んでいくのですが、彼の思考や言動の端々に見える微細な揺れや痛々しさは、疾患を身近にする人は勿論、詳しくない方でもきっと息を呑むリアリティーがあります。
これはルークを囲む仲間達にも同じ事が言えます。皆一様に辛い事情を抱えていて、でも簡単には話せない、話したくない。それが互いに分かっているから踏み込めない、踏み込みたくない。この絶妙な距離感を文体で表してしまう作者様の力量が凄まじいです。
それでいて、ただ暗く悲しいだけに留まらないところが、この物語の素晴らしいところです。
時にはぶつかり、時には間違い、反省や自省を繰り返しながらも徐々に絆を深めていく彼らには胸が熱くなりますし、ルークの思考が突っ走ってしまう場面や、仲間達とのやり取りの中にはクスリと笑わされる事も多いです。特にログマが相手の時は最高です。
そして彼らは冒険者。依頼によって魔物と対峙する場面は少なくありませんが、精緻に書かれた生々しい戦闘描写は痛みや疲労までもが伝わり、きっと息を呑んでしまうはずです。
また世界観や人物設定にも、作者様の非常に強い拘りが散見されます。ハルバードをメインウェポンにする人物など、他作品では先ずお目にかかれません。そんな彼らがあまりにも生き生きと動き回るので、必然、愛着が湧いてしまい……現在、推しを決めかねている状態です。
少し脱線してしまいました。上手く生きられないルーク達と、辛くて苦しくて、でも希望を失わない旅路を共にしていただけるのなら、本当に嬉しいです。